GPIFの第2四半期、運用収益率+0.98%、9月末の運用資産額は過去最高。国内株高が寄与

公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2021年7月~9月の運用実績で、積立金全体の収益が1兆8763億円の黒字となり、収益率はプラス0.98%だった。四半期の運用収益率がプラスとなるのは6四半期連続で、国内株式の上昇が寄与した。9月末の運用資産額は194兆1197億円で、過去最高となった。

資産別に見ると、国内債券が501億円(プラス0.11%)、外国債券が4091億円(マイナス0.85%)、国内株式が2兆5919億円(プラス5.35%)、外国株式3565億円(マイナス0.77%)と、国内株式、債券で黒字となる一方、外国債券、株式が赤字という図式。宮園雅敬理事長は11月5日の発表の際、「主要国における緩和的な金融政策の転換が意識される中、外国株式市場は小幅に下落した。一方、新型コロナウイルスのワクチン接種による経済活動の正常化や今後の経済政策に対する期待感などから、国内株式市場が大きく上昇した」と分析している。

9月末の資産構成比率は、国内債券26.79%、外国債券24.17%、国内株式25.03%、外国株式24.01%だった。2001年度に市場での運用を始めてからの収益率はプラス3.7%で、累積収益額は102兆1946億円で過去最大となった。

GPIFは、年金積立金の持続可能性を高める上で、投資においてESG(環境・社会・企業統治)を考慮することが重要であるとの考えから、2015年に国連の責任投資原則(PRI)に署名し、以降はESGに関する様々な取組みを進めている。具体的には、外国株式を対象としたESG指数の採用、グリーンボンドなどに関する国際機関との協働とコロナ債への投資、スチュワードシップ活動、ESG投資の推進など。特に、20年度の上場企業向けアンケートでは、機関投資家による統合報告書の活用に対してポジティブな評価をした企業が増えた。またエンゲージメント強化型パッシブ運用では、企業価値創造の課題に対し、投資先企業の具体的なアクションにつながったケースもあったという。

「長期にわたって安定した収益を獲得するためには、投資先の個々の企業の価値が持続的に高まり、ひいては資本市場全体が持続的・安定的に成長することが重要。資本市場は長期で見ると環境問題や社会問題の影響から逃れられないので、こうした問題が資本市場に与える負の影響を減らすことが、投資リターンを持続的に追求するうえで不可欠」とGPIFはユニバーサル・オーナーとしての姿勢を明示している。ESG活動は「ESG 活動報告」および今年10月に発刊の別冊「2020年度 GPIF ポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」で報告されている。

【参照レポート】GPIF「2021年度の運用状況
【参照レポート】GPIF「2020年度GPIF ポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」を刊⾏しました

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