20代の投資デビューに適した投資と主なサービスは?メリット、リスク比較も
20代のうちから資産運用を始めると、将来的にゆとりのある老後生活の実現ができる可能性も高まります。しかし、投資には配当金や売却益などの利益だけでなく、元本割れや損失を被るリスクもあるので、若い世代ほど投資の特徴を事前によく把握して金融商品を選ぶことが大切です。
この記事では、20代で始めたい投資の特徴やメリット・リスク、20代の投資デビューに適した金融商品をご紹介します。これから投資を始めようとしている20代の方、投資の種類について詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・サービスへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2021年11月17日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- 20代で始めたい投資とは
1-1.キャピタルゲインとは
1-2.インカムゲインとは - 20代が投資を行う際のメリット・リスク
2-1.資産形成の効率が高まる
2-2.インフレ対策になる
2-3.経済や金融の知識が身につく
2-4.価格変動リスク
2-5.為替変動リスク
2-6.流動性リスク
2-7.信用リスク - 20代の投資デビューに適した金融商品
3-1.投資信託
3-2.つみたてNISA
3-3.iDeCo
3-4.個人向け国債 - まとめ
1 20代で始めたい投資とは
投資とは、将来的な利益を期待して資産運用を行うためにお金を運用することです。投資で得られる利益の種類には、主に「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類あります。
1-1 キャピタルゲインとは
キャピタルゲインとは、購入した金融商品を売却した際に得られる利益です。投資対象となる金融商品の価格は常に変動するため、購入時の価格より売却時の価格のほうが大きくなるケースもあります。
例えば、100万円の金融商品を購入し、その後、150万円まで値上がりすれば、50万円の売却益を得られます。これをキャピタルゲインと言います。
キャピタルゲイン狙いの資産運用は、短期取引の方法で行われるのが一般的です。ただし、短期取引は大きなリターンを狙える一方、損失リスクも大きくなるのが特徴です。
例えば、株の信用取引やFX(外国為替証拠金取引)では、証券会社に預けるお金の数倍の資金を運用できるのでレバレッジ効果を期待できます。しかし、値動きが予想と反対方向に動けば、レバレッジをかけた分だけ損失も膨らみ、元本を下回る可能性があります。
また、株式市場を分析して売買タイミングを図るにはある程度の投資経験も必要になってくるので、投資未経験者や20代で投資デビューする方には、ややリスクの高い投資手法となります。
1-2 インカムゲインとは
インカムゲインとは、購入した金融商品の保有時に得られる利益です。金融商品を購入して保有を継続すると、配当金や分配金を得られる場合があり、これをインカムゲインと言います。
インカムゲインで得られる利益は、金融商品の保有数や価格に対する割合で決まります。例えば、株式投資で保有銘柄の1株当たり5円の配当金が出る場合、銘柄を100株保有していれば500円、1,000株を保有している場合は5,000円の配当金を得られることになります。
長期的に金融資産を保有すれば、そのぶん、インカムゲインを得られる期間も長くなります。さらに、配当金は再投資に回すことで運用元本を大きくする複利効果を得られるため、積立投資と相性が良く、長期の資産形成に向いています。
少額投資非課税制度であるNISAと併用すれば、一定額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益に対して税金が発生しなくなるので、少額投資でも運用コストの負担を極力抑えたい20代の方にも適しています。
なお、配当金が支払われる時期は各企業によって異なり、企業の経営状況によっては無配(配当金が出ない)の場合もあります。
2 20代が投資を行う際のメリット・リスク
投資には元本割れのリスクを伴います。一方、運用手法によってはリターンもかなり大きくなるので、資産形成のスピードを早めることも可能です。20代が投資を行う際のメリット・リスクについて、詳しく確認してみましょう。
2-1 資産形成の効率が高まる
銀行預金はお金の預け場所として最もよく利用されていますが、大手銀行の普通預金口座の金利は0.001%と超低金利です。ネット銀行の中には、一定条件を満たすことで普通預金口座の金利が0.1%程度になる場合もありますが、それでも預貯金のみで効率的にお金を増やすことは難しい状況となっています。
一方、株式投資や投資信託などの金融商品には数%以上の利回りを期待できる銘柄もあるほか、上記の通り、運用で得られた利益を元本に組み入れる「複利運用」を行うと、その分、投資元本の金額が大きくなるペースも早まります。
特に20代のうちから複利運用を行うことで、元本に利益を組み入れない形で運用を行う場合と比較して、得られる利益の額も理論上大きくなります。定年後まで約30年以上の運用期間を確保することができるため、複利の恩恵をより多く受けられる点が大きなメリットです。
2-2 インフレ対策になる
インフレとは、モノの価値が上がり、相対的にお金の価値が下がることです。現状、銀行預金のみではお金を増やすことが難しいため、景気が上向きになって物価も上昇すれば、現金資産の価値は相対的に下がることになります。
一方、株式や投資信託などの有価証券は、物価上昇と併せてその価値も上昇していきます。20代の早い時期から投資を始めれば、投資によるインフレ対策ができる期間もより長くなり、今後の景気回復に備えて実質的な資産価値の減少を回避することも可能です。
2-3 経済や金融の知識が身につく
国内外の経済状況や定期的に発表される経済指標の結果は、金融商品の価格に影響を及ぼすことが多くあります。そのため、投資を始めるとこのような国内外の経済状況をチェックする習慣ができ、金融リテラシーの向上に繋がります。
経済や金融に関する知識は、ビジネス上でも日常生活上においても役に立ちます。そのため、20代の方は社会人としてデビューしたばかりでも、投資を通じて経済や金融の知識を身につけ、仕事に活かすことができます。
2-4 価格変動リスク
投資を行っていると市場環境の変化によって損失を被ることもあります。その中の一つが、購入した金融商品の価格が市場環境によって変動する価格変動リスクです。
金融商品を購入した後の市場環境が好調であれば、その価格は値上がりして含み益(取引決済により確定する前の利益)が生じやすい状況となります。一方、市場環境が悪化すると、金融商品の価格が購入時よりも下がり、含み損(取引決済により確定する前の損失)が生じ得ます。
価格変動リスクはあらゆる金融商品に伴うため、特に20代で投資を始めたばかりの場合、株価や相場の動きに一喜一憂しない心がけも大切になります。
2-5 為替変動リスク
為替変動リスクとは、為替レートの変動から生じる投資の利益もしくは損失の可能性です。外貨建ての金融商品に投資する場合、円安方向に進むと円換算による手取り額が多くなる一方、円高方向に進むとその金額が少なくなります。
そのため、好調な外貨建ての金融商品を購入しても、予想外の円高により損失となる可能性もあります。
2-6 流動性リスク
流動性リスクとは、希望する価格やタイミングで取引できないリスクです。キャピタルゲインを得るには、保有する金融商品を売却しなければなりませんが、買い手も必要になります。
市場環境の悪化や金融商品の種類によっては、買い手不足により取引がなかなか成立しないケースもあります。その結果、自分の希望する価格やタイミングより悪い条件での取引を余儀なくされ、損失を被る可能性もあります。
そのため、投資未経験者や20代などの若い方は、高利回りでも流動性の低い金融商品の購入は避けるほうが無難です。
2-7 信用リスク
信用リスクとは、金融商品である有価証券の発行する国や企業が、財政難や事業不振によって資金不足に陥り、投資家へ元本や利息を支払えなくなる可能性のことです。このような状況になると、投資家からの信用が低下し、金融商品の価格が下落したり、無価値になったりします。
特にベンチャー企業や未上場企業は信用リスクも高くなります。最近は株式投資型クラウドファンディングの普及により、個人でもベンチャー投資をしやすい環境が整っていますが、未経験者や投資を始めたばかりの方には、やや不向きな金融商品です。
3 20代の投資デビューに適した金融商品
投資には様々な種類があります。中でも20代の方が投資デビューするのに向いた金融商品・サービスは以下の通りです。
3-1 投資信託
投資信託とは、ファンドマネージャーと呼ばれる専門家が投資家本人に代わって運用を行う金融商品です。不特定多数の投資家から預かったお金を1つにまとめた上で、その資金を投資の専門家が運用方針に従って、株式、債券、REIT等などの資産へ投資を行います。
投資信託の運用によって利益が発生した場合、出資者である投資家に分配金という形で支払われるか、分配は行わずに再度、投資元金に組み入れられます。
投資信託は、投資の専門家に難しい運用を任せられる点や、ファンド自体が複数の投資先から構成されているためリスク分散を図りやすい点が特徴です。
さらに、積立の方法で月100円から投資できる証券会社もあるので、収入の少ない方や20代の方でも始めやすい金融商品となっています。
3-2 つみたてNISA
投資信託で資産運用を行う場合、「つみたてNISA」や「iDeCo」の制度を活用することで、税制上のメリットを受けられます。つみたてNISA(少額投資非課税制度)とは、毎年40万円の購入額まで、最長20年間、運用益が非課税になる制度です。
つみたてNISAで運用できる金融商品は、国の基準を満たした一部の投資信託およびETF(上場投資信託)に限られており、長期の積立・分散投資に向いた銘柄を中心に構成されているのが特徴です。
20.315%の所得税を毎年支払う必要がなく、信託報酬などの運用コストも一定基準以下に抑えられているので、投資デビューをする20代の方にも適しています。
3-3 iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、毎月一定額を掛金として積立購入した資産を運用し、60歳以上になった後、その資金を受け取ることができる年金制度です。
iDeCoの掛金は、投資信託による運用も可能となっています。iDeCoを活用して運用を行うと、以下のような税制上の優遇措置を受けられます。
- 掛金の全額が所得控除の対象になる
- 掛金を投資信託で運用した時に発生した利益は非課税対象になる
- 掛金の受取時にも所得等の控除対象になる
3-4 個人向け国債
個人向け国債とは、個人の方でも購入できるタイプの国債です。国が資金調達をする際に発行される債券を国債と言い、国債には満期が設けられています。投資家はその期間内に国から定期的に利子の支払いを受けられる仕組みになっており、国債の満期が到来した場合、国債の購入代金である元金の返済を受けることが可能です。
国債は投資先が国であることから、信用性が高く、運用による元本割れが発生することもありません。そのため、初めて投資を行う20代の方にも適した金融商品です。
中でも個人向け国債は、1万円から購入可能で、最低金利0.05%が保証されているほか、発行後1年経過すれば1万円から中途換金可能です。
まとめ
投資は資産形成の効率化を図れるほか、インフレ対策や経済・金融に関する知識を身に付けられるなど、20代の方にとって様々なメリットがあります。しかし、金融商品の種類によっては元本割れリスクの高い投資もあるので、リスクについても事前に把握しておくことが大切です。
特に投資未経験者や20代などの若い方の場合、リスクの低い商品選びがポイントになります。資産運用を始めるのに向いた商品は、つみたてNISAや個人向け国債など様々あるので、検討してみてください。
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