【重要ニュースまとめ(11/13~11/19)】ビットコインの大型アップデート「Taproot」が実装完了、Paradigmが過去最高額となる業界特化型ファンドを組成

今回は、11/13~11/19の暗号資産・ブロックチェーン業界重要ニュースについて、田上 智裕 氏(@tomohiro_tagami)に解説していただきました。

目次

  1. 初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】
    1-1. NFTアーティストに男女格差
    1-2. マスターカードが暗号資産対応のクレジットカード発行へ
    1-3. Paradigmが25億ドルの業界特化型ファンドを組成
  2. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★☆】
    2-1. ビットコインのTaprootが実装完了
    2-2. シティコインがマイアミ、ニューヨーク、オースティンに拡大
  3. 暗号資産・ブロックチェーン重要ニュース【難易度:★★★】
    3-1. 米SECがDAOトークンの申請登録を差し止め
    3-2. 財務省が暗号資産の外為法の対象にする計画公表
  4. まとめ、著者の考察

初心者向け主要ニュース【難易度:★☆☆】

NFTアーティストに男女格差

引き続き盛り上がりをみせているNFT市場ですが、クリエイターの男女比に格差が生じていることが明らかとなりました。もともと、暗号資産・ブロックチェーン業界で課題となっていた点が、NFTでも同様に起きてしまっていることになります。

調査会社Art Tacticによると、過去約1年間におけるNFTアートの売上のうち、77%が男性クリエイターに支払われ、女性クリエイターに支払われたのは5%にとどまるといいます。なお、残りの18%は性別不明となっています。

売上高トップ10のNFTをみると、女性クリエイターがランクインしたのはわずか1名だとのことです。また、男女比だけでなく、NFT市場には富の不平等の問題も指摘されています。

今回の調査結果では、NFTアートの売上高の55%が、わずか16人のクリエイターに支払われたと報告されました。

【関連記事】NFTアートにおける男女格差が判明、調査レポートを公開

マスターカードが暗号資産対応のクレジットカード発行へ

マスターカードが、暗号資産決済に対応したクレジットカードをアジア太平洋地域で発行することがわかりました。消費者は、マスターカードが使用可能な店舗で暗号資産を決済手段として利用できるようになります。

店舗側は、暗号資産決済を受け入れつつも、受け取るのは法定通貨になるとのことです。マスターカードが仲介役を担うことで、暗号資産を法定通貨に換金するブリッジ機能を提供するといいます。

暗号資産決済を利用したい消費者がどの程度存在するかはわかりませんが、決済手段の選択肢が増えることは良いことだと言えます。マスターカードには、ステーブルコイン決済への対応も進めており、暗号資産経済圏と法定通貨経済圏の融合を推進する重要な役割が期待されます。

【関連記事】マスターカード、暗号資産対応のクレジットカード発行

Paradigmが25億ドルの業界特化型ファンドを組成

暗号資産・ブロックチェーン業界特化のベンチャーキャピタルParadigmが、25億ドルのファンドを組成したことを発表しました。業界特化のファンドとしては、過去最高額を更新する規模となっています。

調達した資金は、DeFiやWeb3領域を中心に投資していくようです。今回のファンド組成に際しては、暗号資産・ブロックチェーンがより社会に浸透していくために、規制や技術的な課題などに対応するための専門家チームを強化することも目的にしているといいます。

Paradigmは、暗号資産は依然としては世界人口の10%にしか普及していないと主張しました。DeFiのTVLは1,000億ドルを超える規模にまで成長したものの、従来の金融システムと比べるとその差は歴然です。今後は、暗号資産・ブロックチェーンをマスに広げるための活動により一層注力していくと説明しました。

【参照記事】Paradigm’s New Venture Fund

初心者向け主要ニュース【難易度:★★☆】

ビットコインのTaprootが実装完了

約4年ぶりとなるビットコインの大型アップデート「Taproot」が実装され、最初のブロックがマイニングされました。

Segwitが実装された前回の大型アップデートから4年が経過した今回のタイミングで、スケーラビリティとプライバシーを高める仕組みが実装されました。Taprootの目玉となる要件はシュノア署名です。

シュノア署名では、署名部分をブロックの外部へ取り出して保存することで、匿名性を高めつつデータサイズの削減が期待できます。

Taprootが本格的に機能するには、ビットコインネットワークを構築するノードやウォレットプロバイダーがサポートを開始する必要があります。Segwitの場合は、50%が対応するまでに約2年かかっており、今回のTaprootでも対応期間に注目が集まっています。

【関連記事】ビットコインの大型アップデート「Taproot」が実装完了

シティコインがマイアミ、ニューヨーク、オースティンに拡大

米国の地域通貨プロジェクト「シティコイン」が、マイアミ市とニューヨーク市に続きオースティン市でも発行が開始されることがわかりました。州単位ではないため規模はまだまだ小さいものの、地域に根ざした暗号資産プロジェクトとして徐々に注目を高めつつあります。

シティコインは、ビットコインのブロックチェーンを使ったStacksプロトコル上で発行されます。Stacksは、ビットコイン上でも柔軟に使えるスマートコントラクトを開発することを目的に誕生した稀有なプロジェクトです。高いセキュリティ性能と安定性を誇るビットコインのブロックチェーンを活用することで、より安心できる暗号資産・DAppsを提供しようとしています。

シティコインプロジェクトを通して発行されるマイアミコイン、ニューヨークコイン、オースティンコインは、収益を自治体が管理することができるようです。マイアミ市は、収益をビットコインとして市民に還元する計画を発表しており、より地域に根ざした暗号資産にしていくことを目指しています。

【関連記事】シティコイン、マイアミ市とニューヨーク市に次いでオースティン市でも発行開始

初心者向け主要ニュース【難易度:★★★】

米SECがDAOトークンの申請登録を差し止め

世界で初めてDAOを法人として認める法案を可決していた米ワイオミング州から、トークンの発行申請がSECに出されました。SECは情報不足として一時保留の回答を出しています。

ワイオミング州のDAO法人として登記されているAmerican CryptoFed DAOが、SECに対して独自トークン「ducat」と「locke」の発行申請を出しました。前者はステーブルコイン、後者はガバナンストークンになるようです。

申請の目的は、トークンが証券に該当しないことを承認してもらうためになります。SECは、「実質的に不十分で誤解を招く表現が含まれている」と判断し申請を一時保留にしたとされています。

DAO法人として申請が出されたことも初めてのことになりますが、今回の申請はクリプトママことHester Peirce氏の提唱するセーフハーバールールに沿って作成されたものになるといいます。同氏のセーフハーバールールはSEC公認のものではないため、今回は認められなかったものの、このガイドラインに沿って申請された最初のトークンとなりました。

【関連記事】ワイオミング州のDAO法人がSECへトークン発行申請、SECは一時保留

財務省が暗号資産を外為法の対象にする計画公表

日本の財務省が、暗号資産を外為法(外国為替及び外国貿易法)の対象にする意向を明らかにしました。以前より受けていたFATFからの指摘を反映させるための措置だと考えられます。

日本は、国際犯罪などを取り締まる専門機関FATFより、重点フォローアップの大相国として8月に名前をあげられていました。なお、これは暗号資産に限らず金融全般のことになります。

財務省は、暗号資産を外為法の期待対象とすることで、資産凍結などの権限を持つことができるようになります。暗号資産にはイノベーティブな側面がある一方で、国際犯罪のために使用されているのも事実であるため、FATFとして暗号資産取引の入口となる暗号資産取引所を通して資金の流れを確実に抑えたい思惑があると考えられます。

【参照記事】FATF第4次対⽇審査結果と 外為法における対応

まとめ、著者の考察

今週は、ビットコインのTaproot実装やParadigmの巨額ファンドなどが話題となりました。ビットコインは、最も分散化された暗号資産であるため、開発スピードが遅いこともあって大型のアップデートが数年に一度しか起こらない点が特徴です。その分、実装されたタイミングでは大きく話題になる傾向があると言えるでしょう。

引き続きイーサリアムエコシステムを中心に形成されているWeb3やDeFi領域では、Paradigmが25億ドルもの巨額ファンドを組成しました。a16zなども複数の特化型ファンドを組成しており、業界全体に前向きな動きが続いています。

一方の日本では、規制強化の動きばかりが話題になりますが、イノベーションを促進する取り組みが出てくることを期待しています。

【関連記事】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法
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