【米国株決算】フェデックス2021年9~11月期 利益見通し引き上げにより株価上昇 グリーン物流推進へ

米物流大手のフェデックス(ティッカーシンボル:FEX)が16日に発表した2022年度第2四半期(2021年9~11月期)決算は、売上高が前年同期比14%増の235億ドル(約2兆7,000億円、1ドル=114.1円換算)となった一方、純利益は15%減の10億4,000万ドルだった(*1)。22年5月期通期の1株当たり利益予想を引き上げたことなどが好感され、決算発表翌日の12月17日に株価は5%ほど上昇した(*2)。

eコマースの配送需要が高まったことにより、売上高の拡大に成功した。しかしながら、労働市場のひっ迫による追加コストが利益を圧迫する形となった。人手不足により業務は混乱をきたし、非効率な物流や輸送コスト・人件費の上昇をもたらした。これらによる追加コストは4億7,000万ドルにのぼったという。また、多額の税金を支払ったことも利益を押し下げた。

9~11月期決算の発表にあわせて、22年5月期通期の1株当たり利益予想を20.50~21.50ドルに引き上げた。従来は19.75~21.00ドルだった。そのほか、新たに50億ドルの自社株買いが承認されたことも発表している。

加えて、17日にはゼネラル・モーターズ(ティッカーシンボル:GM)が新たに立ち上げた電動商用車部門「ブライト・ドロップ」より、電動トラック500台が納車されたことを発表した(*3)。このことは、フェデックスが電気自動車による宅配・物流を進めるうえで転機になると見られている。

フェデックスは8万7,000台の車両を保有していることから、電気自動車の占める割合はわずかであるが、ブライト・ドロップの最初の車両となる「EV600」の利用は、国際物流最大手のフェデックスがサステナビリティに力強くコミットしていることを示す。また、同社は電動車に切り替えることで、メンテナンス費用が半分になると見込んでおり、グリーン物流を推し進めることでESG(環境・社会・ガバナンス)投資家からの関心を集めることも期待している模様だ。 なお、フェデックスは2025年以降の配送車両の購入を電気自動車のみとするとともに、2040年までにすべての配送車両を電気自動車にすることを目指している。

電動商用車市場の競争は激化している状況だ。たとえば、フォード(ティッカーシンボル:F)やアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)が支援し、21年11月に上場を果たしたばかりの電気自動車(EV)メーカーのリヴィアン・オートモーティブ(ティッカーシンボル:RIVN)は、2024年までにアマゾンへ10万台の配送用EVトラックを納品する予定である(*4)。また、英国を拠点とする新興EVメーカーのアライバル(ティッカーシンボル:ARVL)は、米物流大手のUPS(ティッカーシンボル:UPS)より電動商用車1万台を受注した(*5)。

フェデックスがグリーン物流を通じてサステナビリティ経営を実践し、さらに業績を拡大することに期待したい。

【参照記事】*1 フェデックス「FedEx Corp. Reports Higher Second Quarter Operating Income
【参照記事】*2 Yahoo!ファイナンス「フェデックス
【参照記事】*3 フェデックス「Charging Ahead: FedEx Receives First All-Electric, Zero-Tailpipe Emissions Delivery Vehicles from BrightDrop
【参照記事】*4 cnbc「Amazon is purchasing 100,000 Rivian electric vans, the largest order of EV delivery vehicles ever
【参照記事】*5 アライバル「UPS invests in Arrival and orders 10,000 Generation 2 Electric Vehicles
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