マンション投資で注意したい不動産取得税の仕組みは?その他の税金も
投資用マンションを取得すると、不動産取得税が課されます。取得時一回限りの課税であるため、その仕組みについてよくわからない方も多いのではないでしょうか。
不動産取得税の納税資金を確保しておくために、税額計算の仕組みを知っておくことが重要です。また、住宅とその敷地に対しては税額減額の制度もあるため、活用を検討するとよいでしょう。
本記事では、不動産取得税の賦課、計算の仕組み、マンション投資を始める際の他の税金について解説していきます。
※記事内の税金・税率などは2022年1月時点の情報となります。最新の情報については、国税庁などのサイトをご確認のうえ、税理士などの専門家へのご相談もご検討ください。
目次
- 不動産取得税の仕組み
1-1.不動産取得税とは
1-2.不動産取得税の計算方法
1-3.課税標準額と免税点
1-4.住宅とその敷地に対する軽減制度 - マンション投資を始める際にかかるその他の税金
2-1.登録免許税
2-2.印紙税
2-3.固定資産税・都市計画税 - まとめ
1.不動産取得税の仕組み
投資用マンションを取得したときに課される不動産取得税は、どのような税金なのでしょうか。
以下では、まず、どのような手続きを経て誰に課税されるのかを確認したうえで、計算方法と免税点、住宅とその敷地に対して適用される軽減制度についてみていきます。
1-1.不動産取得税とは
不動産取得税とは、土地や建物を取得したときに一回限り、取得した人に対して課される税金です。購入したときだけでなく、贈与や交換によって取得した場合も対象となります。建物は、建築によって取得した場合にも課されます。
土地や建物の所在する都道府県に対して納める税金であり、取得者がその都道府県の都県税事務所に申告をし、それに基づいて都道府県が課税するのが原則になっています。ただし、申告をしなくても都道府県が調査して課税されることになります。
出典:東京都主税局「不動産取得税」
1-2.不動産取得税の計算方法
不動産取得税の計算方法は、下記の計算式によります。
課税標準額×税率(原則4%、住宅及びその敷地3%)
出典:総務省「地方税制度>不動産取得税」
原則4%税率となりますが、住宅及びその敷地については、住宅取得の負担を少なくするため、一時的に3%に軽減されています。税率軽減の適用期限は、令和6年3月31日までとなっています。(※参照:国税庁「不動産取得税に係る特例措置」)
1-3.課税標準額と免税点
課税標準額は、不動産を取得したときの購入価格ではなく、総務省の固定資産評価基準により評価、決定された価格になります。原則として、固定資産税評価額になります。
課税標準額が、土地の場合10万円未満、建物の場合、新築・増築・改築では23万円未満、売買などでは12万円未満であれば免税となります。
出典:東京都主税局「不動産取得税」
1-4.住宅とその敷地に対する軽減制度
住宅とその敷地に対しては、住宅取得の負担軽減や、良質な住宅の建設と流通を促進するため、特例措置が設けられています。
税率については、令和6年3月31日まで3%に軽減する措置がとられています。その他、課税標準額の計算においても、下記の軽減措置が設けられています。
新築住宅とその敷地の減額特例
床面積が50㎡以上240㎡以下の新築住宅を取得した場合(ただし、区分所有の貸家の場合、40㎡以上)、住宅の課税標準額から1,200万円が控除されます。マンション投資の場合、区分所有の区画ごとに控除され、40㎡以上が基準となります。※(地方税法第73条の14第1項)
新築住宅の敷地については、住宅用地として課税標準額が評価額の2分の1になるほか、住宅取得3年前から1年後までの取得を条件に、次のうち、いずれか大きい税額が控除されます。
- 4万5,000円
- 土地1㎡当たり固定資産税評価額×1/2×(課税床面積×2)×3%
出典:東京都主税局「Q12 新築住宅を取得したときに不動産取得税の軽減制度はありますか。」
中古住宅とその敷地の減額特例
中古住宅の場合、床面積が50㎡以上240㎡以下であること、自己居住用であること、新耐震基準に適合していること、を条件に、新築された年に応じて定められた控除額が、課税標準額から控除されます。※(地方税法第73条の14第3項)
中古住宅の敷地についても、住宅取得1年前から1年後までの取得を条件に、新築住宅の敷地と同様の税額軽減があります。
ただし、投資用中古マンションでは、自己居住用という条件に当てはまらないため、減額特例の適用はありません。
※出典:東京都主税局「Q6 不動産取得税の計算で用いる「不動産の価格(課税標準)」とは何ですか。」
2.マンション投資を始める際にかかるその他の税金
マンション投資を始める際にかかる不動産取得税以外の税金として、登録免許税、印紙税、固定資産税・都市計画税があります。以下で、それぞれについて説明します。
2-1.登録免許税
マンション投資を始めるにあたり、投資用マンションを取得したときは、取得した事実を公示するため、所有権を登記する必要があります。所有権移転登記は、取得した原因によって、登録免許税が異なります。
また、不動産投資ローンの抵当権を設定する場合は、抵当権設定登記の登録免許税がかかります。
登録免許税の税額は、それぞれの登記の種類によって、下表のようになっています。なお、自己居住用の住宅用家屋の所有権移転登記、自己居住用家屋の購入資金借り入れのための抵当権設定登記については、軽減税率が適用されます。
登記の種類 | 登録免許税額 |
---|---|
売買による所有権移転登記(土地) | 不動産の固定資産税評価額×1.5% |
売買による所有権移転登記(建物) | 不動産の固定資産税評価額×2% |
相続による所有権移転登記 | 不動産の固定資産税評価額×0.4% |
贈与による所有権移転登記 | 不動産の固定資産税評価額×2% |
抵当権設定登記 | 債権額×0.4% |
※引用:国税庁「登録免許税の税額表」
2-2.印紙税
売買契約書を作成する際には、契約書に収入印紙を貼付して印紙税を納めることになります。投資用マンションの購入価格あるいは、建設工事価格によって印紙税の金額は次のようになっています。なお、令和4年3月31日までに作成される「不動産譲渡契約書」および「建設工事請負契約書」の印紙税は、軽減措置により原則の半額となっています。
売買価格 | 印紙税額 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円超50万円以下 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 160,000円 |
10億円超50億円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
※引用:国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
2-3.固定資産税・都市計画税
固定資産税は、市区町村や都が毎年1月1日に土地や建物を所有する者に対して、税額を算定し、課税を決定します。
税額を算定する前提として、3年ごと、あるいは新築建物については適宜、土地・建物の評価をおこないます。評価は、国が定めた固定資産評価基準に基づいておこなわれます。固定資産税の税額は、以下の算式で計算します。
課税標準額×1.4%
ただし、固定資産の評価額がそのまま課税標準額となるのではなく、土地の場合、住宅用地の特例措置などによって評価額が減額されることがあります。建物の場合、新築住宅・認定長期優良住宅の取得、耐震・バリアフリー・省エネリフォーム、について、固定資産税額が減額されます。
都市計画税は、市区町村や都が、原則として市街化区域内の土地・建物を所有する者に対し課税します。税額は、以下の算式による計算が基本となっています。
課税標準額×0.3%
なお、年の途中で中古マンションを購入した場合、固定資産税・都市計画税については、すでにその年分を売主が支払っているため、取引慣例上、引渡し日以降の分を清算金として売主に支払うこととなります。
※出典:総務省「固定資産税の概要」
まとめ
不動産取得税は、土地・建物取得時に一回限り、課されます。原則は、取得者が都道府県に取得した旨を申告すると、都道府県が税額を計算して課税する仕組みになっています。固定資産税評価額に対して、3%の税率で計算され、一定条件を満たす住宅とその敷地については、税額減額の特例があります。
マンション投資を始める際にかかる、その他の税金には、登録免許税、印紙税、固定資産税・都市計画税があります。購入したマンションの金額、ローン金額、評価額などに応じて、税額の算定方法が決められています。
不動産の購入前に、税金分の資金をどのように捻出するのか、事前におおよその金額を確認しておくことが大切です。不動産会社から事前にシミュレーションを出してもらうことに加えて、申告の手順についても把握しておきましょう。税金関連に不安がある場合には税理士への依頼も検討しておくことが大切です。
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