株式投資にかかる税金は?節税のコツや運用のポイントも

株式投資の売却益や配当金には20.315%(内訳:所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が課税されます。しかし、税金の仕組みを知り、自身の状況に最適な方法で納税することにより、節税も可能です。

今回は株式投資にかかる税金や節税のポイントなどを解説します。

※2022年1月24日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。また税務上の判断については、最寄りの税務署もしくは税理士にご確認ください。

目次

  1. 株式投資にかかる税金の種類
    1-1.所得税
    1-2.地方税
  2. 売却した銘柄の取得額が不明の場合
    2-1.証券会社に問い合わせる
    2-2.ご自身の手控え
    2-3.名義書換日を調べ、取得額を算定
  3. 証券口座の種類と税制
    3-1.源泉徴収ありの特定口座
    3-2.源泉徴収なしの特定口座
    3-3.一般口座
  4. 節税方法
    4-1.NISAを活用する
    4-2.iDeCoを活用する
    4-3.配当控除を活用する
    4-4.損益通算を活用する
    4-5.外国税控除を活用する
  5. まとめ

1 株式投資にかかる税金の種類

株式投資の利益は、売却益と配当金の2種類です。これらの利益には、所得税(15.315%)と住民税(5%)の合計20.315%が課せられます。それぞれ見ていきましょう。

1-1 所得税

株式の売却益や配当金に課せられる所得税は、15.315%(所得税:15%、復興特別所得税:0.315%)です。株式売却益は、売却代金から売買手数料と消費税、購入代金を差し引いた利益に対し、所得税が15.315%課せられます。

1株2,000円の銘柄を100株購入した場合を考えてみましょう。購入代金は20万円(100株×2,000円)、手数料はSBI証券のスタンダードプランでは275円(消費税込み)です。

この株を1株2,500円で売却すると、売却代金は25万円です。売却時の手数料(消費税込み)は275円です。

この取引による譲渡益は、売却代金の25万円から購入金額(20万円)と手数料(275円×2)を差し引いた49,450円です。所得税額は49,450円の15.315%相当額7,573円(切り捨て)です。

配当金は、手数料を払う必要がないため、配当金に所得税15.315%が課せられます。

1-2 地方税

上のケースで住民税を求めてみましょう。住民税は49,450円に5%課せられるので、2,472円です。最終的に手元に残る金額は、49,450円-(7,573円+2,472円)=39,405円です。

2 売却した銘柄の取得額が不明の場合

株式の譲渡益を計算する際、買値(簿価)が必要です。しかし、長く株式投資をされている方や、相続などで株式を取得した場合は、取得額が分からないことがあります。

法律上、譲渡した株式等の取得額が分からない場合は、取得額は売却代金の5%相当額とされます。この場合、売却代金の95%が譲渡益とみなされるため、本来ならば支払わなくてもよい税金を払うことにもなりかねません。

そこで、取得額が分からない場合には、以下の3つの方法で取得額を算定したうえで、売買代金の5%と比較し、高い価格を取得額とすることで節税になります。

2-1 取得した証券会社に問い合わせる

取得額は、株式等を取得した証券会社に問い合わせることで分かる場合もあります。証券会社には、過去10年以内に購入したものであれば、法律で10年間分のデータを保存する義務があるため、取得額を調べることができます。

2-2 ご自身の手控え

取引日や価格などをメモ等(日記帳、預金通帳など)で手控えている方は、その価格を取得額とすることができます。

2-3 名義書換日を調べ、取得額を算定

それでもわからない場合には、発行会社の株主名簿等を手掛かりに取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得額を計算することができます。

3 証券口座の種類と税制

証券会社の口座の選び方によっては節税となるケースがあります。証券口座には3種類あります。それぞれ見ていきましょう。

3-1 源泉徴収ありの特定口座

株式投資をされている方の多くが、源泉徴収ありの特定口座を開設しています。この口座は自身で確定申告をする必要がありません。年間の株式等の譲渡益を証券会社が計算し、取引の都度、譲渡益に対し所得税と住民税が源泉徴収されます。譲渡損失が発生した場合は、累計譲渡益の範囲で還付されます。

一方、デメリットもあります。それは、株式の譲渡益や給料所得以外の所得の合計が20万円以下の場合でも源泉徴収の対象となってしまうことです。本来、年収2,000万円以下のサラリーマンや、年金収入額が年400万円以下の方は雑所得(株式等の譲渡益等)が20万円以下の場合、所得税については確定申告する必要がないからです。

3-2 源泉徴収なしの特定口座

上記のように、年収2,000万円以下のサラリーマンや、年金収入額が年400万円以下の方は、雑所得(株式等の譲渡益等)が20万円以下かつ他に確定申告義務が生じていない場合、所得税については確定申告する必要がありません(住民税の申告は必要)。

年間の株式売却益等が20万円を越えると確定申告が必要になりますが、源泉徴収なしの特定口座では、証券会社から発行される特定口座年間取引報告書により簡単に確定申告ができます。

3-3 一般口座

一般口座は、特定口座では管理できない先物やオプション等の口座です。損益等を問わず確定申告が必要です。特定口座のような年間取引報告書は証券会社から発行されません。自身で書類を作成し確定申告する必要があります。

4 節税方法

株式取引に有効な節税方法は、NISA口座やiDeCoを利用することです。特にNISAは非課税なので、売却益や配当金には課税されません。

そのほかの手段として、配当控除や外国税額控除を受ける方法があります。それぞれ見ていきましょう。

4-1 NISAを活用する

節税にはまずNISAを活用しましょう。NISAは非課税口座で、売却益や配当金は非課税投資枠内においてはすべて非課税です。

NISAには一般NISA(年間最大120万円を最大で5年間運用可能)と、つみたてNISAの2種類があります。個別株や投資信託の運用には一般NISA、定期的に投資信託を積み立てる場合には、つみたてNISAを活用しましょう。

つみたてNISAは、金融庁が認可した投資信託の中から銘柄を選び、年間最大40万円(月33,333円)、最大20年間非課税で運用できます。NISA口座開設条件は、日本在住の20歳以上の方です。

デメリットは、損失が出た場合、他の口座と損益通算ができないことです。またNISAは複数の口座を開設できません。一人1口座で、一般NISAとつみたてNISA口座のどちらかを選択します。なお、一般NISAとつみたてNISAの切り替えや金融機関の変更は可能です。

※現行のNISA制度は2024年以降、見直されます。

4-2 iDeCoを活用する

iDeCoは個人型確定拠出年金で、公的年金にプラスして給付が受けられる私的年金制度です。20歳以上60歳未満の方が加入できます。

メリットは3つあり、掛金が全額所得控除されるため節税ができること、利息や運用益が非課税なこと、受取時も一定額まで税制が優遇されていることです。デメリットは、60歳になるまで引き出せないことです。

月々の積立上限金額については、属する組織(勤務先)により異なり、最大は個人事業主・自営業者の月6.8万円(国民年金基金との合計額)です。

4-3 配当控除を活用する

節税の手段として配当控除を活用する方法もあります。国内株式の配当金原資は、法人が法人税を課せられた後の利益です。配当金に対し、所得税と住民税が課せられるため、二重課税となります。配当控除は、二重課税を調整するために設けられました。

課税所得金額が1,000万円以下の場合、配当控除は所得税10%と住民税2.8%です。配当所得が20万円の場合、2万円が所得税額から、5,600円が住民税額から控除できます。この制度を利用する場合、確定申告が必要です。

一方、この制度を利用すると、課税所得次第で税額が上がってしまうことや、国民健康保険に加入している場合は、節税ができた金額以上に国民健康保険料が上がってしまうことがあります。専業主婦がこの制度を利用すると、場合によっては配偶者控除を受けることができなくなることもあるので、事前によく調べる必要があります。

4-4 損益通算を活用する

株式売買で損失が出てしまった場合、他の上場株等の譲渡所得、分離課税を選択した上場株式等の配当金と損益通算ができます。損益通算してもなお控除しきれない損失は、確定申告をすることで、翌年以降3年間にわたり損失を繰り越すことができます。なお、この制度を利用する場合、毎年確定申告をする必要があります。

4-5 外国税控除制度を活用する

外国株の配当金は、現地と日本の両国で二重に課税されてしまうことがあります。外国税控除制度は、海外で課税された金額を一定の範囲内で税額から控除する制度です。この制度を利用する場合、確定申告をする必要があります。

まとめ

税金は納める義務がありますが、賢く節税できるのであればそれに越したことはありません。日本で株式投資にもっとも有効な節税方法はNISAを活用することです。確定申告をすることで、還付を受けることができる場合もありますが、場合によっては還付を受けることで弊害もあるため、事前に調べるように心がけましょう。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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