米財務省、自己管理型ウォレットの規制案を再検討
米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が、暗号資産ウォレットの規制案を再検討することがわかった。1月31日に公式声明が公開されている。
本規制案は、2020年末よりFinCENによって提案されていたものだ。しかし、米大統領がバイデン氏に引き継がれた際に、現在進行中の規制案を一時保留とする「Regulatory Freeze Pending Review」が有効化。本規制案の進行プロセスも一時中断されていた。
規制の内容は自己管理型ウォレットに対するものだ。具体的には、暗号資産取引所からの3,000ドルを超える暗号資産の出金の際に、本人確認(KYC)の済んでいないウォレットには送金できないようにするという規制である。加えて、1万ドルを超える暗号資産取引については、FinCENへの報告義務が発生するという趣旨も含まれている。主にこの2つの条項について検討がなされるようだ。
今回、財務省が6ヶ月毎に公開する予定表から同規制案の検討を再開することが公表され、2022年9月までに最終判断を下す予定であることが発表されている。
同規制案は、2020年12月に当時のスティーブン・ムニューシン財務長官が提出したものであり、当初設けられたパブリックコメントの募集期間が15日間と極端に短かったため、業界内から抗議の声が上がっていた。それを受け、FinCENはパブリックコメントの募集期間を二度延長しており、最初は15日間、その後さらに60日間としている。
一時保留期間を経た現在も、同規制案については業界内から多くの反対意見が上がっている。反対意見の趣旨としては、自己管理型ウォレットが重要な役割を担っているDeFi市場などのイノベーションを阻害する点や、対応コストが大きすぎる点などがあげられている。
また、ウォレットは個人情報と結びついていないため、そもそも本規制案を遵守することが不可能である点を指摘する声も上がっているようだ。中でも、本人確認の済んでいないウォレットへの送金に制限をかけることに対して多くの反対意見が上がっている。
【参照記事】The Unhosted Crypto Wallet Rule Is Back
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