アパート経営で注意したい8つのリスクとは?失敗を回避する基本知識や対策も
アパート経営はアパートローンを活用することで、手元の現金資産が少ない方でも大きな運用を行うことができるメリットがあります。
しかし、投資規模が大きくなるほど不動産投資のリスクが増大していくため、リスクヘッジの重要性が高まります。リスクを想定して対策を立てておかないと、トラブルに発展したり、アパート経営そのものが失敗してしまうこともあるためです。
そこで今回のコラムでは、アパート経営で注意したい代表的な8つのリスクを紹介し、リスク対策についても解説していきます。
目次
- アパート経営の空室リスク
- 入居者トラブルリスク
- アパートの修繕リスク
- アパートの災害リスク
- アパートの資産価値下落リスク
- アパート経営の家賃下落リスク
- アパート経営の家賃滞納リスク
- アパートローンの金利変動リスク
- まとめ
1 アパート経営の空室リスク
アパート経営に限らず、不動産投資でできるだけ避けたいのが空室リスクです。アパート経営の収入の主軸は入居者からの家賃収入であるため、空室になると収入を得られない状況になってしまいます。
しかし、アパートを保有している期間中、すべての部屋が永続的に満室状態であるということはありません。空室になることを想定した上で対策を立てておくことが大切です。
空室リスクの対策
主な空室リスクの要因は「建物の劣化」「競合物件の増加」「入居者の事情」などが考えられます。これらに対応するには下記のような対策があります。
- 賃貸需要の見込める立地にある物件を選ぶ
- 入居付けに強い賃貸管理会社を選ぶ
- 適切な家賃設定をする
- 入居者ニーズに合わせた設備を導入する
- 適切な時期に清掃やメンテナンスを行う、など
空室になる理由は一つではなく、複数の要因が考えられます。例えば、近隣に競合物件があるケースとないケースでは対策が異なります。所有するアパートの状況をオーナーとして的確に把握し、どのような対策を行うべきか判断していくことになります。
2 アパート入居者間のトラブルリスク
アパート経営特有のリスクが、入居者間のトラブルリスクです。同じ建物内に複数の入居者がいるため、トラブルが発生する可能性があります。そのため事前に対策を立てておきましょう。
入居者トラブルリスクの対策
入居者同士のトラブルは、騒音のほか、ゴミ出しルールの遵守などが原因になることがあります。そのため下記のような対策を施しておきましょう。
- オートロックや防犯カメラの設置などによるセキュリティ強化
- 入居者ルールの徹底
- 入居者審査の厳格化
- 入居者からの苦情やトラブル報告への適切な対応、など
これらの対策をしておくことで、入居者に快適な住環境を提供し、トラブルの発生を抑えられる可能性があります。
またトラブルに発展しそうなクレームや苦情があった場合は、放置せずに適切に対応することが肝心です。管理会社から過去の事例を聞いたり、アドバイスをしてもらうのもいいでしょう。
3 アパートの修繕リスク
アパート経営ではアパートを一棟ごと所有するため、定期的に建物の修繕を自身の判断で行うことになります。建物は建てたときから劣化が始まるため、5年などの短期間での所有期間であれば修繕リスクは低いと考えられますが、20年など長期間にわたって経営するほど修繕のリスクが高くなります。
特に、中古アパートを購入したときは建物の修繕だけではなく、エアコンや給湯器などの設備機器の交換時期が迫っていることがあります。様々な修繕のタイミングが重なると多額の費用がかかることが想定されますので、適切に対応するようにしましょう。
修繕リスクの対策
アパート経営における建物の修繕は避けられないものでもあります。修繕のタイミングが重なってしまうことを想定しながら、修繕の規模を小さく留めていくために対策をしておきましょう。
- 適切な時期にメンテナンスを行う
- 美観を保てるように清掃を行う
- 小さな損傷を放置しないようにする
- 修繕費用のために積み立てをしておく、など
例えば、外壁にあいた小さな傷を放っておいたばかりに、外壁から雨水が入り、基礎部分が腐食するといったことも考えられます。工事を大規模にしないためにも、小さな損傷を放っておかないようにすることが大切です。
また、外壁の塗装工事や屋根の補修工事、水道管交換工事などは多額の費用がかかります。それらの費用を一度に捻出すると経営を圧迫することにもなりますので、修繕用の費用を少しずつ積み立てておくといいでしょう。
4 アパートの災害リスク
建物一棟を所有するアパート経営において、災害リスクは注意しておきたいポイントです。災害への備えは適切に行いましょう。特に木造アパートの場合は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べて災害に弱いため、しっかり対策しておくことが大切です。
災害リスクの対策
災害に遭わないようにするには、ハザードマップなどで確認して災害に遭いにくい地域の物件を選ぶことです。また、災害に備えるために下記の対策を検討しておきましょう。
- 火災保険に加入する
- 消防設備を適切に設置しておく
- 消防訓練を実施する
- 火災に対する啓蒙活動を行う、など
国土交通省の「重ねるハザードマップ」では、「洪水」「土砂災害」「津波」「高潮」「道路防災情報」の5つの情報を表示することができます。これらの情報を活用して、アパートの所在地で起きやすい災害を確認し、それに合わせて火災保険の内容を厚くするといった方法も考えられます。
また、入居者に対して火災に関する啓蒙活動を行うことも検討しておくと良いでしょう。火の取り扱いや消防設備の利用の仕方などを紹介したり、管理会社を通して定期的に入居者へ注意喚起することも有効です。火災が起きたときに消火器の場所がわからない、消火器の使い方がわからないといったことがないようにしておくことで、災害の拡大を防ぐことができます。
5 アパート経営の家賃下落リスク
建物の経年劣化は避けられないため、アパートの資産価値は徐々に下落していきます。しかし、建物の状態を維持することで、資産価値の下落スピードを抑えることもできます。
また、入居者を確保しやすいアパートであれば、建物の価値は下がっても、収益物件としての価値をできるだけ保つことも可能です。
資産価値下落リスクの対策
適切な時期にメンテナンスや修繕を行うことで、建物の劣化を抑えることができます。また家賃を上げることができると、収益物件としての価値も上がります。そのため施設設備を更新するなどで、アパートとしての価値を上げることも考えてみましょう。
- 適切な時期にメンテナンスを行う
- 適切な時期に大規模修繕工事を行う
- リフォームやリノベーションを行う
- 設備機器を最新型に交換する
- ペット飼育可にする、など
また、築後20年以上などすでに資産価値が下落した中古アパートを購入する、資産価値が下落する前に売却するというのも資産価値下落リスクの対策になります。
6 家賃下落リスク
従来の設定家賃で入居者が確保できなくなったとき、家賃を下げるかどうかの判断に迫られることとなります。入居率の低下の主な要因は、「建物が古くなった」「入居者ニーズと合わなくなった」「近隣に新築物件が建った」などが考えられます。これらの要因を把握した上で、家賃下落リスクへの対策を立てましょう。
家賃下落リスクの対策
建物が古くなると同時に、設備や間取りも古さを感じるようになり、家賃を下げないと入居者を確保しづらくなっていきます。しかし、家賃は一度下げてしまうとその後上げるのが難しくなるため、家賃以外にも強みを作ることで家賃下落を防ぐ方法も検討しておきましょう。
- リフォームやリノベーションを行う
- 設備機器を最新型に交換する
- ペット飼育可にする
- 外国人の入居を可能にする
- 照明器具や家具付きなどにする、など
例えば、バストイレ別々、モニター付きインターフォン、シャワートイレなど、思い切ったリフォームを行うことで家賃を下げない、あるいは家賃を上げて入居者を募集することもできます。家賃設定を上げられた場合、収益物件としての価値も上がりますので、資産価値の向上につながる可能性もあります。
ただし、多額の設備投資を行ったとしても、必ずしも家賃の上昇が見込めるとは限りません。入居率の低下の要因が何であるのかしっかりと検証し、管理会社へも相談しながら検討することが大切です。
7 アパート経営の家賃滞納リスク
家賃の滞納は入居者の経済事情にも関わるため、オーナーとして関与できる範囲が限られてしまいます。事前に対策を打っておきましょう。
家賃滞納リスクの対策
家賃の滞納を防ぐためには、保証会社の導入が有効です。その他、属性に不安が残る場合は別に保証人を立てたり、保証金制度を導入することも検討されてみると良いでしょう。ただし、入居者のプライバシーにも関わりますので、適切な距離感を持ってリスク対策をすることが大切です。
- 保証会社を利用する
- 保証金制度を導入する
- 保証人を複数人にする
- 入居者とのコミュニケーションをとっておく
- 入居審査を厳しくする、など
なお、保証会社や保証人を活用しても、入居者が家賃を払えなくなるといずれ退去するしかなくなります。家賃を滞納しそうな場合は、分割にするなど入居者の負担を軽減しつつ、入居者を確保する方法も考えていきましょう。管理会社がノウハウを持っていることもありますので、相談してみましょう。
8 アパートローンの金利変動リスク
アパートを購入する際にアパートローンを組んだ場合、返済計画に基づいて毎月残高を返済していくことになります。しかし、日本経済の状況変化によって金利は変動し、融資契約を結んだ時点から金利が上昇することがあります。
アパートローンの金利が変動すると、毎月のローン返済額およびローン総返済額が増えることになります。ローンの返済額が増えると想定通りの利益が得られないことがあるため、金利変動リスクに対する対策も心得ておきましょう。
金利変動リスクの対策
変動金利のアパートローンを組んでいる場合、金利の変動が起きるとそれに合わせるしかありません。そのため早めにローン残高を減らしておくことなどで、金利が上昇してもその影響を少なくするといった対策をとっておきましょう。そのほかの対策と合わせて確認しておきましょう。
- 繰り上げ返済をしておく
- 借り換えを検討する
- 固定金利を選ぶ
資金に余裕があるときは、普段から繰り上げ返済をしておくように心がけておくと良いでしょう。金利が上昇した場合に、ローンの残高が少ない方が返済額に与える影響が少なくなるからです。
また、アパートローンの金利は各金融機関によっても異なります。借り換えの相談を受け付けているところもありますので、低い金利の金融機関に借り換えることも検討されてみると良いでしょう。ただし借り換えには事務手数料が必要になるため、その際の費用を確認することも忘れないようにしましょう。
まとめ
アパート経営にはいくつかのリスクがありますが、リスクを軽減したり、回避する方法もあります。アパート経営のリスク対策の手段は一つではないため、投資先のアパートの状態やエリアの特徴、入居者ターゲット層などを検証し、最適と思われる方法で対処することが大切です。
アパート経営のリスク対策について知識を常に得るほか、アパート経営のパートナーとなる不動産会社・アパートメーカー・管理会社との関係性も重要となります。スムーズな判断ができるよう、アパート経営についての見識を深めていきましょう。
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