資産運用の始め方は?必要資金や運用計画、失敗しないための知識も
資産運用を始めるには、具体的な運用商品を買う前に計画を立てる必要があります。運用計画というと難しく感じるかもしれませんが、大まかなものでかまいません。この記事では、資産運用に成功するための計画の立て方や、失敗を避ける方法などをわかりやすく解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定サービスの利用・投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 目標の運用利回りを決める
1-1.自分のリスク許容度を考える
1-2.リスク許容度別運用利回りの目安 - 運用計画を立てる
2-1.まずは積立投資から検討する
2-2.いつまでにいくら準備するかを決める
2-3.運用計画の立て方の例 - 目的別にお金を3つに分ける
3-1.3つのお金とは?
3-2.資産運用は余裕資金で - ポートフォリオを考える
4-1.ポートフォリオを構成する資産
4-2.目標利回りに合わせたポートフォリオを決める - 大きな失敗を避けるには
5-1.分散投資
5-2.長期投資
5-3.時間分散(積立)
5-4.少額から始める - 具体的な運用商品を選ぶ
6-1.ポートフォリオを構成する運用商品
6-2.初心者向きなのは投資信託・ETF
6-3.投資信託を買うなら - まとめ
1.目標の運用利回りを決める
初心者が運用を始めるうえで重要な要素に、「リスク許容度」があります。リスク許容度は運用利回りと関係するので、最初に目標とする運用利回りを決めます。
1-1.自分のリスク許容度を考える
リスク許容度を簡単にいうと、「どの程度の値下がりなら耐えられるか」ということです。運用商品には値動きがあり、場合によっては大きく値下がりする可能性があります。
投資においてリスクとは「危険」ではなく、値動きの振れ幅という意味です。「リスクが高い」とは値動きが大きいことで、「リスクが低い」は値動きが小さいことを表します。リスク許容度は精神的な要素と、客観的な要素の両面から考えます。
リスク許容度の精神的な要素
リスク許容度の精神的な要素とは、簡単にいうと「安定志向か積極志向か」です。安定志向の人が過度にリスクを取ると、「急な経済変動で夜も眠れない」のような状態にもなりかねません。
また、始めてすぐに損失を受けた精神的ダメージで、運用を続けられなくなるような事態は避けるべきです。特に初心者のうちは自分のリスク許容度を超える無理な運用をしないようにしましょう。
リスク許容度の客観的な要素
リスク許容度の客観的な要素とは、投資家の収入などの要素です。たとえば、収入や資産は多いほうが取れるリスクは大きくなります。その他の客観的な要素には、次のようなものがあります。
- 年齢:若いほどリスク許容度は高く、高齢になると低い
- 投資経験:投資経験が少なければリスク許容度は低く、多ければ高い
1-2.リスク許容度別運用利回りの目安
以上のことを踏まえ、大まかで構わないので自分の取れるリスクが大きいか、中くらいか、小さいかを考えましょう。リスク許容度を大・中・小の3段階にした場合の、目標運用利回り(目安)は以下のとおりです。
- リスク許容度「小」の安定運用タイプ:年率3%未満
- リスク許容度「中」の積極運用タイプ:年率3%から5%
- リスク許容度「大」の積極運用タイプ:年率5%から8%
たとえば、全くの初心者であまりリスクを取りたくなければ、2%程度から始めるとよいでしょう。
2.運用計画を立てる
目標の利回りが決まったら、いつまでにいくら資産を作るかの計画を立てましょう。
2-1.まずは積立投資から検討する
資産運用というとまとまったお金が必要というイメージがあるかもしれません。しかし、今お金がなくても、運用は始められます。なぜなら、少額で少しずつ継続購入する積立投資という運用方法があるからです。多くの人が積立での資産運用に取り組んでおり、ここでの運用計画も積立を前提とします。
2-2.いつまでにいくら準備するかを決める
いつまでにいくらの資産を作るかは運用計画の基本です。たとえば、子どもが生まれたときに教育資金の準備を始めるなら、「18歳になるまでに500万円準備する」などの目標を立てます。この目標に対し最初に決めた運用利回りを当てはめると、毎月の積立額が決まります。
積立額のシミュレーションには、金融庁が提供する「資産運用シミュレーション」が便利です。
2-3.運用計画の立て方の例
金融庁の資産運用シミュレーションを利用して、運用計画を立ててみましょう。現在30歳の人が60歳までの30年間、年3%で1,000万円の老後資金を積み立てるとしたら、毎月の積立額は1万7,160円となります。
もう少し積立額を増やせそうなら積立額を決めて、将来いくらになるかの試算も可能です。積立額2万円を年3%で30年積み立てれば、最終資産額は約1,165万円になります。目標に近づくように、積立額や利率を微調整するとよいでしょう。
また、利回りはあくまで想定であり、実際には想定の年率を下回ることも普通です。最終的な資産額には多少のブレが生じることを前提に考えましょう。
3.目的別にお金を3つに分ける
運用目標と並行して、運用に回す資金の計画も必要です。資金計画は、家計の見直しによって行うのが基本です。
3-1.3つのお金とは?
まずは目的別に資金を3つに分類します。3つの資金とは、次のようなものです。
- 日常生活費
- 近い将来使う予定のお金
- 当面使う予定がない余裕資金
1の日常生活費は毎月の給与収入などから賄うようにします。日常生活費の一部は急な病気などのための支出に備えて、収入の半年分程度の緊急予備資金を預貯金などで準備しておきましょう。2の近い将来使う予定のお金とは、マイホームの頭金やマイカー購入資金などです。
3-2.資産運用は余裕資金で
資産運用に回すお金は、すぐに使う予定がない余裕資金から支出します。少しでも増やしたいからと、生活費まで資産運用に充てるのは避けましょう。家計を見直して緊急予備資金や近い将来使うお金以外の余裕資金があれば、資産運用に回すほうが効率的です。
毎月積み立てるお金は、毎月の家計の余裕資金と上述した運用目標とを考慮して調整するとよいでしょう。
4.ポートフォリオを考える
運用計画や資金計画がまとまったら、目標利回りが達成できるポートフォリオを考えます。ポートフォリオとは、運用対象(株式や債券など)の組み合わせのことです。ここでは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の年金運用をベースにして解説します。
4-1.ポートフォリオを構成する資産
ポートフォリオを構成する運用資産には、株式や債券以外にもさまざまな種類があります。しかし、初心者にはシンプルな運用が適しており、REITや金などは経験を積んでからでも遅くはありません。GPIFでは、以下のような基本ポートフォリオで運用を行っています(2022年3月11日時点)。
- 国内債券:25%
- 国内株式:25%
- 外国債券:25%
- 外国株式:25%
大きく分けて株式と債券だけの組み合わせですが、国内と外国の資産に分散しています。
4-2.目標利回りに合わせたポートフォリオを決める
上記のGPIFの期待リターン(運用利回り)は年4%で、中くらいのリスク・リターンです。ここから、より高いリターンを目指すなら株式の割合を増やして、債券の割合を減らします。よりリスクを抑えたいなら株式の割合を減らして、債券の割合を増やすというわけです。あまり神経質にならず、大まかに決めるとよいでしょう。
安定運用タイプなら
参考までに、あまりリスクを取りたくない人のポートフォリオの例を紹介します。以下は期待リターン2%程度のポートフォリオの一例です(あくまで目安であり、運用成果を保証するものではありません)。
- 国内債券:70%
- 国内株式:10%
- 外国債券:10%
- 外国株式:10%
より高い収益を狙うなら
5%以上の成果を目指すポートフォリオの一例も紹介します。収益重視であれば、外国株式の割合を増やします。
- 国内債券:20%
- 国内株式:20%
- 外国債券:10%
- 外国株式:50%
なお紹介したポートフォリオは一例であり、成果を保証するものではありません。実際の運用は自己の判断で行ってください。
5.大きな失敗を避けるには
資産運用では、収益を狙う以上に致命的な失敗を避けることが重要です。運用商品には値動きがあり、リスクをゼロにする方法はありません。しかし、リスクを軽減して収益を確保する方法ならあるのです。
5-1.分散投資
資産運用のリスクを軽減する方法で、分散投資は最も大切な考え方の一つです。たとえば、株式は大きなリターンが期待できますが、その分値下がりのリスクも高い資産です。
株式が好調なときは他の資産に投資せず、すべての資金を株式に回したいと思うかもしれません。しかし、値動きの激しい資産に投資を集中すると、状況が急転した際に一気に値下がりして資産が目減りする可能性があります。
資産の種類や地域を分散すると、一部の資産の大きな値下がりの影響は小さくなります。分散投資は、運用を長期に安定させるのに欠かせない方法です。
5-2.長期投資
同じ利率で運用をすると、運用期間が長くなるほど複利運用の効果が高くなります。運用には単利と複利があり、単利とは預け入れ元本にのみ利息が付く方法です。一方、複利とは利息分を元本に組み入れて運用するやり方です。
たとえば、投資信託の分配金を受け取らずに再投資すると、複利の効果が得られます。複利運用は時間さえかければ誰にでもできる簡単な方法です。運用を始めたら目先の値動きにとらわれず、長期の視点を持つようにしましょう。
5-3.時間分散(積立)
時間分散(積立)も、リスクの軽減に有効です。投資の基本は、運用商品を安く買って高く売ることです。しかし、売り買いのタイミングを判断するのは、簡単ではありません。
値動きのある運用商品を毎月1万円ずつのように定時定額で買い付けると、買付金額を平準化できます。一括投資より高値つかみのリスクを減らせるというわけです。
5-4.少額から始める
初心者が大きな失敗を避けるには、少額からの投資が望ましいといえます。まとまった資産形成を目指すなら、投資額も多いほうが効率よく増やせます。しかし、未経験者が大きな資金を投じて失敗すると、そのまま運用から永久に撤退する事態にもなりかねません。
最初は練習のつもりで、失っても問題のない資金で取り組むほうがよいでしょう。
6.具体的な運用商品を選ぶ
具体的な運用商品を選ぶのは、運用方針が固まってからとなります。
6-1.ポートフォリオを構成する運用商品
具体的な運用商品として考えられるのは、以下のようなものです。
- 株式
- 債券
- 投資信託・ETF
これらを自分のポーフォリオにしたがって割り振っていくというわけです。
6-2.初心者向きなのは投資信託・ETF
初心者が個別の株式・債券などを買い付けるのは、ハードルが高いといえます。銘柄ごとに値動きの特徴が異なるほか、複数の銘柄に分散投資するのに、銘柄選びや買付けのタイミングなども考えなくてはならないからです。
初心者の方が株式や債券に投資するなら、投資信託やETFを活用するほうが手軽に始められます。特に投資信託は積立投資がしやすく、少額から始められます。
6-3.投資信託を買うなら
投資信託を取り扱う金融機関は証券会社だけでなく、銀行や郵便局などもあります。初心者が投資信託を買うなら、SBI証券や楽天証券のようなネット証券がよいでしょう。ネット証券で投資信託を購入するメリットには、以下のようなものがあります。
- 大手ネット証券は多くの投資信託を取り扱っている
- 同じ投資信託の購入時手数料が他の金融機関より安い場合が多い
- 少額から始められる
- 証券会社によっては、ポイントプログラムが充実していることもある
まとめ
資産運用において、実際に商品を買い付けるのはプロセスの最後です。最初に大まかな運用計画を決めてから、具体的な運用対象選びを始めるという順序です。運用計画といっても難しくはなく、厳密に決める必要はありません。この記事も参考に自分に合ったポートフォリオを作り、実行してみてはいかがでしょうか。
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