株式投資、配当と売買益どちらを狙う?メリット・デメリットを比較

株式投資の収益にはインカムゲインとキャピタルゲインの2種類があります。インカムゲインとは配当金や分配金、利息、キャピタルゲインとは売買益のことです。

インカムゲイン目的の場合は、高配当利回りの株式や、REIT(不動産投資信託)など分配金の高い金融商品に投資する方法があります。売買益狙いの場合には、値動きが激しい株式やレバレッジ・インデックス連動型上場投信(インデックスの変化に対し2倍、3倍の動きに連動するように設計された投資信託)などに投資する方法があります。

運用にあたり、配当と売買益のどちらに重点を置くのが良いのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、株式投資において、配当と売買益のどちらを狙うのがよいのかというテーマで解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 配当狙い
    1-1.配当狙いのメリット
    1-2.配当狙いのデメリット
  2. 売買益狙い
    2-1.売買益狙いのメリット
    2-2.売買益狙いのデメリット
  3. バリュー成長株への投資
    3-1.バリュー成長株投資のメリット
    3-2.バリュー成長株投資のデメリット
  4. まとめ

1 配当狙い

配当金狙いにはバリュー株が適しています。バリュー株投資は、配当利回りが高い銘柄やPERが市場平均を大きく下回っている銘柄に投資する方法です。メリット、デメリットについて見ていきましょう。

1-1 配当狙いのメリット

バリュー株の特徴としては、株価が割安なため、株価の下落リスクがグロース株(成長株)と比較して低いことが挙げられます。特に、配当利回りが高い銘柄は、株価下落に伴う利回りの上昇が株価の下支え要因となる傾向があります。

バリュー株の例としては、三菱商事やNTTが挙げられます。これらの銘柄の配当利回りは3%以上と、日本10年国債利回り0.15%(2022年3月8日時点)の20倍以上です。

NTTの予想利回りは3.42%(配当が115円、株価が3,365円)。株価が2,875円まで下落すると配当利回りが4%に、2,300円で5%まで上昇します。一方、NTTのPERは10.8倍(一株利益310.6円)なので、PERは2,875円で9.25倍、2,300円では7.4倍に低下するため、理論的には株価の下値リスクは小さいと言えます。

1-2 配当狙いのデメリット

バリュー株のデメリットとしては、企業成長率が低い銘柄に投資した場合、株価のパフォーマンスがベンチマークとする指数を大きく下回る傾向があることです。

配当利回りが高い銘柄には2つのタイプがあります。1つは、株価が安いために配当利回りが高くなるタイプ、もう一つは配当金額が上昇し、結果的に配当利回りが高くなる銘柄です。

前者の例としてアメリカの大手情報通信会社であるAT&Tを挙げることができます。同社の配当利回りは8.8%と高水準ですが、株価の上昇率はS&P500指数などを大きく下回っています。

2002年3月末の株価を100とした場合、株価上昇率は2022年3月7日時点で86%です。これは、ダウ平均の215%やS&P500 指数の266%と比べて低水準です。株価低迷の背景には、企業が成熟し、企業成長が鈍化していることが挙げられます。

企業業績悪化に伴い、配当金が支払われなくなるリスクもあります。配当が無配となったり、減配されたりすると株価の下落リスクが高まるため、配当利回りが高いからといって安易に投資しないようにしましょう。

2 売買益狙い

売買益狙いの投資に適している銘柄は、値動きが大きいグロース銘柄やレバレッジ・インデックス連動型上場投信(ETF)が挙げられます。

グロース株投資は、成長期待が高い銘柄に投資する方法です。銘柄としてはアルファベットやアマゾンなどのほか、東証マザーズ指数構成銘柄などが挙げられます。レバレッジ・インデックス連動型上場投信は、対象インデックスが日経平均株価の場合、日経平均株価の動き1に対し、2~3倍変動するように設計されています。

メリット、デメリットを見ていきましょう。

2-1 売買益狙いのメリット

メリットは、短期的に大きな利益を狙えることです。

マザーズ指数構成銘柄のアスカネットの株価は、2021年末から2022年3月8日までのわずか3カ月で90%以上上昇しました。マザーズ構成銘柄に代表される小型成長株は、株価の値動きが軽いため、人気が高まると短期的に株価が急騰する傾向があります。場合によっては、短期的に資産を築くことができます。

レバレッジ・インデックス連動型上場投資は、株式のように取引時間中に売買できるため、対象指数が大きく変動すれば、大きな利益を得ることができるかもしれません。

2-2 売買益狙いのデメリット

成長株は割高な銘柄が多いため、市場の調整局面では急落するリスクが高いことがデメリットです。東証マザーズ指数構成銘柄のマクケア、ココナラ、リボミック、フォトシンスなどは、年初来下落率が60%を超えています。わずか3カ月で株価が半値以下に暴落しています。また、基本的に配当金が支払われないこともデメリットです。

レバレッジ・インデックス連動型上場投信のデメリットは、相場が思惑と反対に動くと損失が大きくなることです。

3 バリュー成長株への投資

市場には、バリュー株であっても企業成長が高い銘柄も存在しています。こうした銘柄は、バリュー株と成長株の良いところを兼ね備えており、バリュー成長株と言うことができます。業績が右肩上がりで配当金が増加傾向にあるにもかかわらず、株価が相対的に割安なため、長期投資に適した銘柄と考えられます。

3-1 バリュー成長株投資のメリット

株式市場の下落時には、配当利回りが株価の下支えとなること、株価市場の上昇時にはインデックスを上回る上昇率が期待できることがメリットです。

銘柄選定は、売上や利益が成長し、かつ、配当利回りが相対的に高く、PERが相対的に低い銘柄が候補となります。

米国のバイオ医薬品企業のアッヴィは、5年間の平均売上成長率が17%、配当利回りが3.6%、PERが10.3倍という水準です。株価は20年間で6.15倍に成長しており、S&P500指数の4.74倍を大きく上回る水準となっています。

国内銘柄では、伊藤忠商事を例として挙げることができます。同社の5年間平均売上成長率は11.6%、配当利回りが2.3%、PERが7.3倍です。株価は20年で24.5倍に上昇しました。

3-2 バリュー成長株投資のデメリット

デメリットとしては、企業成長が鈍化してしまうと、株価が下落する可能性があることが挙げられます。しかし、株価水準がグロース株のように割高な水準ではないので、株価が半値になるようなリスクは小さいと言えます。

まとめ

株式投資において配当金を重視する場合には、企業の成長度合いをみるために財務内容を精査するようにしましょう。配当金が減配されたり、無配になったりするリスクを避ける必要があります。

一方、株式市場で継続的に売買益をあげることはほぼ不可能です。最悪の場合、損失が膨らみ資産を失ってしまいます。

一般の投資家が相場で資産を増やすには、配当金と株価の成長が期待できるバリュー株と成長株の顔を合わせ持つ銘柄に投資する方法が向いていると思われます。目先の利益を追うことなく、堅実な投資方法を選ぶようにしましょう。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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