貯蓄・節約・運用、Z世代は堅実にお金の不安を解消。松井証券が世代別600人に意識調査

25歳以下の「Z世代」、35歳以下の「ミレニアル世代」、55歳以下の「バブル世代」。価値観の違いが指摘されることが多い三つの世代、お金に関する意識はどのような差があるだろうか。松井証券株式会社は、全国の男女合計600名を対象に「世代別『お金事情』に関する実態調査」を実施、3月16日、結果を発表した。

調査は各世代の男女各200名(男性100名、女性100名)を対象とした。はじめに「あなたが25歳のときのことについて、貯蓄額がないと仮定し、収入の1/2(半分)にあたるものを購入する際の行動」を尋ねた。全世代で「貯蓄が貯まったら買う」が半数以上(54.7%)を占めたが、2位で比較するとZ・ミレニアル世代とも「安価な類似商品を買う」が2割強だったのに対して、バブル世代では「ローン」(32%)という結果となり、Z・ミレニアル世代とバブル世代でのギャップがさっそく明らかになった。

次いで、「25歳のとき、月に自由に使えた(使える)金額と貯蓄に回していた(回している)金額」を尋ねたところ、Z世代「5.1万円」、ミレニアル世代「5.4万円」、バブル世代「6.1万円」となった。月の貯蓄額は、Z世代「5.9万円」、ミレニアル世代「5.0万円」、バブル世代「4.1万円」となり、世代が若くなるにつれて、自由に使えるお金は減るが貯蓄額は増加するという結果だった。ただし、Z世代は、三世代で唯一、自由に使えるお金を貯蓄額が上回った。

また、バブル世代の33%が「貯蓄ゼロ」と回答したのに対し、Z世代は約9割(87.0%)が毎月貯蓄していた。

仕事への意識はどうだろうか。「転職に対する価値観」を尋ねたところ、「若いうちに転職するのは良い(28.8%)」が全体の回答として最も多い。世代別では「若いうちに転職するのは良い」がZ世代34.5%、バブル世代31.5%と最多だったが、ミレニアル世代は「転職に抵抗がある(28.5%)」が最も多く、他の世代と差が出た。

「理想のリタイア年齢」の回答は、Z世代が「平均56.7歳」、ミレニアル世代「59.2歳」、バブル世代「63.5歳」と、若い世代ほど早いリタイアを理想としている。

「同世代と比較した、自身の今の環境」についての質問は、Z世代は「平均(42.5%)」が最多で、「良い」31.5%、「悪い」は26.0%だった。しかし、ミレニアル世代とバブル世代では「悪い」が最も多く(ミレニアル世代37.5%、バブル世代40%)を占める結果に。「悪い」理由を尋ねると、1位は「お金関係に不安があるから」の86.5%、2位「仕事関係」36.2%、3位が「人間関係」23.7%となった。

世代別で見ても、お金関係の不安を理由にあげたのはZ世代が78.8%、ミレニアル世代85.3%、バブル世代92.5%で、世代が上がるにつれてお金関係の不安を持っている人が多い。

「お金に関する不安を抱えている」人を対象(n=390)に、「不安を抱え始めた年齢」を尋ねたところ、Z世代が22.7歳、ミレニアル世代が27.8歳と若年のうちから不安を感じている。対して、バブル世代は44.3歳とずっと後だった。

さらに「お金に関する不安を解消するために行っていること」を尋ねる質問は、1位「支出の節約」44.6%、2位「資産形成/資産運用」42.8%、3位「お金に関する勉強」25.4%という順。Z世代の1位は支出の節約(46.5%)、ミレニアル世代の1位は資産形成/資産運用(51.2%)、バブル世代は1位が支出の節約44.2%で、2位が資産形成/資産運用(37.7%)と他の世代と大きな差は無いが、「行っていることはない」(31.2%)が3位だった。8割以上がお金の不安解消のために行動を起こしているZ世代とはギャップが大きい。

「いつから不安を解消するための行動を始めたか」を尋ねると、1年以内と回答したのはZ世代38.7%、ミレニアル世代23.2%、バブル世代29.5%となり、Z世代が最も行動開始が早い。3年以内に行動した人に範囲を広げると、Z世代87.8%、バブル世代47.4%で、Z世代とバブル世代で実に約40%もの差が明らかとなった。

各世代の25歳のときの社会的背景を見ると、バブル世代はバブル崩壊直後、ミレニアル世代はリーマンショックの最中、Z世代はコロナ禍と、いずれも大きな逆風に見舞われている。調査結果について、同社は「Z世代は安価な類似商品の購入を検討する人が多く、自由に使える金額が貯蓄額を上回る結果となるなど、他世代と比較してお金に対して堅実的な一面を持つ」と見る。

お金の不安を感じ始める年齢は、バブル世代の平均44.3歳に対して、Z世代は平均22.7歳と21.6年もの開きがある。好景気を実感していない世代が慎重になるのは自然だが、いまやお金の不安は、全世代が持つ不安ということも調査からうかがえる。同社は「世代や年齢に限らず、将来に向けた早めの行動が今後より一層重要になる」と総括している。

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