EUがロシアへ新たな制裁措置、暗号資産サービスに関する禁止も組み込まれる

欧州連合(EU)は、ウクライナ侵攻を受けロシアへの制裁措置をさらに進めている。4月8日、EUは暗号資産ウォレットへの送金や、ロシアへの高価格帯暗号資産サービスの提供の禁止を発表した。

この禁止措置は、ロシアがウクライナ侵攻を開始して以来、EUがロシアに対して発表した5回目の制裁措置に組み込まれている。

欧州委員会のウェブサイトにあるプレスリリースによれば、「欧州委員会は、ウクライナとその国民に対する残忍な侵略に対応して、プーチン政権に対する5回目の制裁措置を採択するという今日の理事会の合意を歓迎する」と伝えている。新たな暗号資産関連の禁止措置は、潜在的な抜け穴を塞ぐためのものであると示した。

今回の制裁措置には、かねてより制裁措置の影響を受けているロシアの4つの銀行に対する完全な取引禁止と、資産凍結やロシアの富裕層への金融アドバイスの提供の禁止などが含まれているようだ。

以前から、ロシアが経済制裁を逃れるために暗号資産を利用する可能性について懸念を示す声がいくつか上がっていた。

このような意見に対して、米国のジャネット・イエレン財務長官は6日、米下院金融サービス委員会の公聴会で、現時点でロシアは制裁回避手段として暗号資産を利用していないと説明。暗号資産は取引がブロックチェーン上で追跡できるため、制裁回避の手段には適していないという。

暗号資産がロシアの制裁回避の手段に使われる可能性については、欧州中央銀行総裁のChristine Lagarde氏も先月22日に意見を示していた。Lagarde氏は国際決済銀行(BIS)イノベーションサミットにおいて、これまで犯罪行為の支払いにおいて暗号資産が頻繁に使われてきたことを背景に、暗号資産への警戒を強めるとしていた。

また、ロシアのウクライナ侵攻に対抗して欧米主要国がロシアに経済制裁を発令した中、ルーブル建の暗号資産取引量が大幅に増加したことにも触れ、暗号資産関連のサービスを提供する全てのサービスプロバイダーに対して、明確な指示の表明を示唆していた。

加えて先月11日、G7でも暗号資産の不正利用への懸念が議題に上がり、あらゆる不正な活動を、さらにうまく検知し、阻止するための措置を取っていくことを表明していた。

【参照記事】Ukraine: EU agrees fifth package of restrictive measures against Russia

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