自動運転関連の投資信託、成績や信託報酬など徹底比較【2022年4月】

発展を続ける自動運転技術に、投資対象として興味関心をお持ちの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。世界では、自動運転の技術は日々進化が続き、国内でも着実に自動運転の実装が進んでいます。市場規模や関連企業の業績が気になるところです。

当記事では、自動運転関連ファンドをピックアップし、詳細を解説しています。また、現在の自動運転技術の背景をもとに、今後の見通しについても考察しています。あらたな運用先をお探しの方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 自動運転関連ファンド3本をピックアップ
  2. 自動運転関連ファンドの概要
    2-1.三菱UFJ国際-eMAXIS Neo 自動運転
    2-2.三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンド
  3. 自動運転技術とは?現状と今後を分析
    3-1.自動運転のレベル
    3-2.自動運転に関する世界の動向
    3-3.日本の自動運転技術
    3-4.5Gのインフラ整備にさらに飛躍する自動運転
  4. まとめ

1.自動運転関連ファンド3本をピックアップ

自動運転関連のファンドの情報を以下の表にまとめました。

項目 基準価額 純資産 信託報酬 トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ
三菱UFJ国際-eMAXIS Neo 自動運転 29,034円 17,226百万円 0.792%以内 -6.71% -0.24
三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジあり) 16,519円 35,642百万円 1.903%程度 2.33% 20.03% 0.13
三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし) 18,700円 84,916百万円 1.903%程度 10.12% 22.39% 1

※2022年4月1日時点の情報
※SBI証券取り扱いのファンドより抜粋

自動運転をテーマとしたファンドは三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンドと三菱UFJ国際-eMAXIS Neo 自動運転の2本です。

グローバル自動運転関連株式ファンドは為替ヘッジありとなしの2本が運用されており、合計3本のファンドが運用されています。

eMAXIS Neoシリーズはインデックスファンドとして運用され、信託報酬は0.792%以内です。グローバル自動運転関連株式ファンドの信託報酬は1.903%程度です。eMAXIS Neo自動運転に比べるとやや高く設定されています。

トータルリターンでみる直近の運用成績は、グローバル自動運転関連株式ファンドのほうが勝っています。

2.自動運転関連ファンドの概要

ファンドごとの運用内容や組入銘柄など、詳細を以下に解説します。

2-1.三菱UFJ国際-eMAXIS Neo 自動運転

eMAXIS Neo 自動運転は三菱UFJ国際が運用するファンドです。S&P Kensho Autonomous Vehicles Indexの値動きに連動する投資成果を目指して運用するインデックスファンドです。eMAXIS Neoシリーズでは、13種類の先進テクノロジーをテーマとしたファンドを運用しています。自動運転のファンドは13本のシリーズ中の一つです。

2022年2月末発行の月次報告書によると、組入上位の国や地域は、アメリカが約60%、ケイマン諸島が約15%、その他オランダやイスラエル、日本と続きます。組入上位10社は以下のとおりです。

  1. ビステオン(アメリカ・自動車)
  2. ヴィオニア(アメリカ・自動車)
  3. フォード(アメリカ・自動車)
  4. アレグロマイクロシステムズ(アメリカ・半導体)
  5. イノヴィズテクノロジーズ (イスラエル・テクノロジー、ハードウェア)
  6. ルミナーテクノロジーズ(アメリカ・自動車)
  7. ゼネラルモーターズ(アメリカ・自動車)
  8. アプティブ(ジャージー・自動車)
  9. シャオペン(ケイマン諸島・自動車)
  10. オン・セミコンダクター(アメリカ・半導体)

アプティブはアメリカ、シャオペンは中国の資本です。組入上位銘柄は、自動運転技術の恩恵を受ける企業を中心に構成されています。続いて自動運転車両のサプライヤーとして半導体やソフトウェア関連の企業もみられます。

2-2.三井住友DS-グローバル自動運転関連株式ファンド

グローバル自動運転関連株式ファンドの運用はファンド・オブ・ファンズ形式をとっており、実質的な運用はニューバーガー・バーマングループが行います。為替ヘッジあり、なしから選択可能。アクティブファンドとして運用されています。決算は毎年4月10日です。2018年と2021年の決算で、100円、150円の分配金実績があります。

2022年2月末発行の月次報告書によると、組入上位国は、アメリカが約66%、中国8.4%、以下オランダ、カナダ、フランスと続きます。規模別構成比率の記載もあり、大型株69.8%、中型株24%、小型株5.8%となっています。組入上位10社は以下のとおりです。

  1. アナログ・デバイセズ(アメリカ・半導体)
  2. トリンブル(アメリカ・テクノロジー、ハードウェア)
  3. ディア(アメリカ・資本財)
  4. モノリシック・パワー・システムズ(アメリカ・半導体)
  5. アンシス(アメリカ・ソフトウェア)
  6. アンフェノール(アメリカ・テクノロジー、ハードウェア)
  7. MPマテリアルズ(アメリカ・素材)
  8. ツーシックス(アメリカ・テクノロジー、ハードウェア)
  9. マイクロン・テクノロジー(アメリカ・半導体)
  10. キャタピラー(アメリカ・資本財)

自動運転をテーマとしたファンドですが、前出のeMAXIS Neo 自動運転と異なり、半導体やソフトウェア、資本財などサプライヤー中心に構成されています。自動車メーカーは入っていません。

月次報告書によると、ウクライナ情勢の緊迫化によってコモディティ価格上昇が追い風となり、半導体や素材関連の銘柄が上昇したため、基準価額もあがったと報告されています。

ファンドマネージャーによると、今後、ロシアから輸出されるエネルギー資源の滞りによってガソリン価格の高騰が継続し、電気自動車の需要はより高まると予測。業績成長が期待できる自動運転関連銘柄の発掘に努めるとしています。

3.自動運転技術とは?現状と今後を分析

自動運転技術の現状と投資環境について解説します。

3-1.自動運転のレベル

自動運転には段階に応じた5つのレベルに分けられています。レベルに応じたシステムの補助度合いを表にまとめました。
詳細は、国土交通省が開示している「自動運転車の安全技術ガイドライン」に記載されています。

レベル 内容 運転の主体
0 運転自動化なし 人が主体
1 運転支援
2 部分運転自動化
3 条件付運転自動化 システムが主体
4 高度運転自動化
5 完全運転自動化

レベル3からは車のシステムが運転を主導するようになり、人間はサポートに回ります。国内では、レベル3の実用化が発表されている段階です。レベル3では、高速道路など特定の条件下でハンドル操作やブレーキをシステムに委ねることができます。

レベル3からシステム主体の運転になることを考えると、具体的な自動運転技術のスタートであると考えることもできます。

3-2.自動運転に関する世界の動向

自動運転技術に関しては、日本よりも海外のほうが進んだ取り組みを行っています。各国では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。前出のレベル表にならって 世界各国で行われているレベル4段階の自動運転技術を紹介します。

アプリで予約できる自動運転配車システム

2018年にアメリカの企業ウェイモ(Waymo)は、補助員が乗車する条件付きで、自動運転タクシーのサービスを開始しました。2019年には、補助員なしで自動運転タクシーサービスの試験を開始し、2020年には、完全無人の自動運転タクシーを配車するサービスの開始が発表されています。自動運転レベルは4です。現在は総車両のうち、5〜10%の車両で完全無人運転を行っています。

サービスを利用できるのは、秘密保持契約を結んだわずかなユーザーのみです。

バイドゥ(Baidu,百度)が自動運転システム基盤のApolloを公開

インターネット検索事業を展開する中国のバイドゥ(Baidu,百度)は、自動運転のオペレーションシステム「Apollo」をリリースしています。Apolloはオープンソースとして公開されている点が特徴で、誰でも利用することができます。2019年時点で97カ国、2.4万人以上の開発者、150社以上の企業が参画しています。

現在では、自動運転レベル4の無人バス、無人販売車、無人清掃車など、Apolloを利用した自動運転車が数多く走るようになりました。中国の自動運転技術は、今後もバイドゥが牽引していくと見られています。

ドイツで導入を目指す自動バレーパーキング

2020年、ドイツの自動車メーカーダイムラーと自動車部品メーカーボッシュ、駐車場運営会社APCOA Parkingは、自動バレーパーキングの実験を行うと発表しました。自動バレーパーキングシステムは、所定の場所に車を置くと自動で空いている駐車スペースまで車を運んでくれる仕組みです。うまくシステムを活用すると、駐車スペースに偏りがなくなり、スムーズな駐車場運営が可能になります。

対象車のダイムラーのメルセデス・ベンツSクラスは、すでに自動運転レベル4の自動バレーパーキングに対応しています。

3-3.日本の自動運転技術

日本の自動運転への対応は、海外に比べるとやや遅れています。2019年に改正された道交法が2020年の4月から施行され、自動運転による公道の走行も運転と定められるようになりました。

自動運転への法整備は進められています。現行の法律では、レベル3までの自動運転が可能です。中国のように無人のバスや販売車が往来を走行するようになるには、もう少し時間がかかりそうです。

3-4.5Gのインフラ整備にさらに飛躍する自動運転

自動運転レベル5へ向かうには、5G通信が街中に行き渡る必要があります。

自動運転に必要な認知では、動きのない建物から、対向車や歩行者など細かく変化する情報の処理が必要です。さらに、複数の車両とセンサーから得られる情報を共有し、アクセルやブレーキ制御を行わなければいけません。膨大な情報量を瞬時に処理するためには、次世代通信の5G電波が絶え間なく供給される必要があります。

自動運転を実現するには5G通信と、走行を支えるサプライヤーの充足がカギとなるでしょう。

まとめ

国内の自動運転をテーマとしたファンドは、執筆時点では2社の運用会社によって3本のファンドが運用されています。

eMAXIS Neo 自動運転は、ベンチマークとする指数に連動する成績を目指すインデックスファンドです。同じく自動運転をテーマとするグローバル自動運転関連株式ファンドとは、構成銘柄が大きく異なっている点に注意が必要です。同じテーマを扱っていても、着眼点が異なりますので、投資を検討する時は内容をよく確認するようにしましょう。

自動運転技術が本格的に発展するには、次世代通信の5Gネットワークが存分に行き渡る必要があります。5Gのインフラ整備が拡充されるにつれて、自動運転の可能性はさらに拡大していくでしょう。

今後の5G通信の発展と、自動運転に関連するサプライヤーの動きに注目したいところです。

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