ロボティクス関連の投資信託、成績や信託報酬など徹底比較【2022年4月】

新しい投資先を探している方の中には、ロボット事業に注目している方もいらっしゃるのではないでしょうか。製造業の現場では、以前からロボットの導入が進められています。IoTの発展により、省人化の進捗も順調です。2020年からのコロナ禍によって非接触需要が高まり、ロボットの需要もより高まりました。

当記事では、ロボティクスをテーマとしたファンドについて解説し、直近のロボティクス事業の状況についても解説しています、新しい投資先として、ロボティクス関連事業が気になる方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. 9本のロボティクス関連ファンド
  2. ファンドごとの概要
    2-1.グローバル・ロボティクス株式ファンド
    2-2.ジャパン・ロボティクス株式ファンド
    2-3.三菱UFJ国際-eMAXIS Neo ロボット
    2-4.One-Oneフォーカス ロボット・テクノロジー
    2-5.大和-ロボット・テクノロジー関連株ファンド -ロボテック-
  3. AIとIoTによるロボティクス分野の発展
    3-1.産業用ロボットの活躍が目立つ
  4. ロボティクス関連技術への投資意義
    4-1.産業用ロボットは注目の業界
  5. まとめ

1.9本のロボティクス関連ファンド

ロボットをテーマとしたファンドを抜粋し、以下の表にまとめました。

ファンド名 基準価額 純資産 信託報酬 トータルリターン/1年 トータルリターン/3年 シャープレシオ/1年
日興-グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型) 10,086円 409,917百万円 1.936% 6.55% 19.11% 0.37
日興-グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型) 25,447円 345,805百万円 1.936% 5.74% 18.98% 0.32
日興-グローバル・ロボティクス株式ファンド(為替ヘッジあり・1年決算型) 20,350円 20,474百万円 1.936% 0.75% 17.39% 0.04
日興-グローバル・ロボティクス株式ファンド(為替ヘッジあり・年2回決算型) 9,684円 18,611百万円 1.936% 1.55% 17.48% 0.09
日興-ジャパン・ロボティクス株式ファンド(1年決算型) 17,305円 42,905百万円 1.705% -8.76% 6.75% -0.51
日興-ジャパン・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型) 9,537円 13,440百万円 1.705% -8.84% 6.72% -0.51
三菱UFJ国際-eMAXIS Neo ロボット 15,159円 2,128百万円 0.792%以内 6.69% 13.13% -0.35
大和-ロボット・テクノロジー関連株ファンド -ロボテック- 17,261円 252,243百万円 1.815%程度 3.42% 19.78% 0.16
One-Oneフォーカス ロボット・テクノロジー 15,324円 518百万円 0.495% 13.11% 0.54

※数値は2022年4月1日時点
※SBI証券取り扱いのファンドから抜粋

ロボット産業は注目のテーマということもあり、いくつかの運用会社がファンドを運用しています。MAXIS Neo ロボット以外はアクティブ運用となっており、信託報酬はやや高めです。

2.ファンドごとの概要

ファンドごとの特徴や運用スタイルを詳しく以下に解説します。

2-1.グローバル・ロボティクス株式ファンド

グローバルロボティクス株式ファンドは、日興アセットマネジメントが運用するファンドです。決算回数は年1回と2回、為替ヘッジあり、なしの4パターンで運用しています。実際の運用は、アメリカの運用会社であるラザード社が行います。運用スタイルは厳選した銘柄によるアクティブ運用です。

2022年2月末日に発行された月次報告書によると、組入上位国はアメリカが44%、日本が24.8%、その後にフランス、スイス、ドイツなど欧州各国が続きます。
組入銘柄上位10社は以下のとおりです。

  1. ABB(スイス・資本財)
  2. キーエンス(日本・情報技術)
  3. シュナイダーエレクトリック(フランス・資本財)
  4. インテュイティブサージカル(アメリカ・ヘルスケア)
  5. エヌビディア(アメリカ・情報技術)
  6. アルファベット(アメリカ・コミュニケーション)
  7. ロックウェル・オートメーション(アメリカ・資本財サービス)
  8. 東京エレクトロン(日本・情報技術)
  9. ヘキサゴン(スウェーデン・情報技術)
  10. ダイフク(日本・資本財)

銘柄構成を確認すると、アルファベットやエヌビディアなどの米国大型株を中心に半導体や、産業ロボットを扱う企業で構成されています。

月次報告書の運用レポートにも、米国経済の概況や先行きについて詳しく述べられていました。緊迫するウクライナ情勢や新型コロナウイルスの影響を考慮しつつも、ビジネスの変革期であると前向きに捉えるとしています。

2-2.ジャパン・ロボティクス株式ファンド

ジャパンロボティクス株式ファンドは、日興アセットマネジメントが運用するファンドです。銘柄選定など、運用は日興アセットマネジメントが直接おこないます。決算回数は年1回と2回の2種類。ベンチマークは設けておらず、日本株式中心で構成されたアクティブファンドとして運用されています。

2022年2月末日発行の月次レポートには規模別構成比率の記載があり、時価総額1兆円以上の大型株が67.8%と大半を締めています。構成銘柄上位10社は以下のとおりです。

  1. ソニーグループ(電気機器)
  2. キーエンス(電気機器)
  3. 野村総合研究所(情報・通信)
  4. 村田製作所(電気機器)
  5. リクルートホールディングス(サービス業)
  6. システナ(情報・通信)
  7. 日立製作所(電気機器)
  8. NTTデータ(情報・通信)
  9. 日本システムウェア(情報・通信)
  10. テクマトリックス(情報・通信)

運用コメントによると、今後のポートフォリオ構成は、ボトムアップ・アプローチを中心に、中長期的な企業評価をおこなっていくとしています。ロボティクス関連事業に携わる企業には、まだ事業規模が小さい企業も多いため、今後は中小型株への投資もおこなう方針です。

2-3.三菱UFJ国際-eMAXIS Neo ロボット

eMAXIS Neo ロボットは三菱UFJ国際投信が運用するファンドです。S&P Kensho Robotics Indexをベンチマークとして、連動する運用成績を目指すインデックスファンドとして運用されています。

国内外のロボティクス関連株式に投資するとしていますが、2022年2月末日発行の月次レポートによると、アメリカの構成比率が81.4%となっています。現状では、米国株式への投資が中心です。組入銘柄上位10社は以下のとおりです。

  1. バーンズグループ(アメリカ・資本財)
  2. ストライカー(アメリカ・ヘルスケア機器)
  3. グローバスメディカル(アメリカ・ヘルスケア機器)
  4. アプライド・インダストリアル・テクノロジーズ(アメリカ・資本財)
  5. ABB(スイス・資本財)
  6. リンカーン・エレクトリックホールディングス(アメリカ・資本財)
  7. インテュイティブサージカル(アメリカ・ヘルスケア機器)
  8. ウルトラクリーンホールディングス(アメリカ・半導体)
  9. テラダイン(アメリカ・半導体)
  10. マッケソン(アメリカ・ヘルスケア機器)

組入上位銘柄は、ヘルスケア機器を扱う企業が多くみられました。産業ロボットは医療分野での活躍が期待されています。テクノロジーの進化にともない、医療分野における産業ロボットの導入は、さらなる発展が見込まれています。

2-4.One-Oneフォーカス ロボット・テクノロジー

Oneフォーカス ロボット・テクノロジーはアセットマネジメントOneが運用するファンドです。国内のロボティクス関連企業へ投資しつつ、Solactive Industrial Robotics & Automation Indexをベンチマークとした運用を行います。

2022年2月末発行の月次報告書によると、国や地域別の構成比率は、アメリカが58%、日本は15.99%、以下ドイツ、スウェーデン、イギリス、フィンランドと続いています。ファンドの構成比率は8割程度がアメリカと日本の銘柄です。

組入銘柄上位10社は以下のとおりです。

  1. アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(アメリカ・半導体)
  2. コヒレント(テクノロジー・ハードウェア)
  3. チャイナコンクベンチャー(ケイマン諸島・資本財)
  4. ラティスセミコンダクター(アメリカ・半導体)
  5. オン・セミコンダクター(アメリカ・半導体)
  6. ノードソン(アメリカ・資本財)
  7. マックスリニア(アメリカ・アメリカ・半導体)
  8. 豊田自動織機(日本・資本財)
  9. クアルコム(アメリカ・半導体)
  10. ダイオーズ(アメリカ・半導体)

※ケイマン諸島が所在地となっているチャイナコンクベンチャーの資本は中国です。

半導体を扱う企業で占められていますが、前出のファンドとは構成銘柄が異なっており、違う運用の切り口を見せています。月次報告書には、ファンドからの運用報告は記載されておらず、運用方針はわかりませんでした。

2-5.大和-ロボット・テクノロジー関連株ファンド -ロボテック-

ロボット・テクノロジー関連株ファンドは大和アセットマネジメントが運営するファンドです。株式の運用はアクサ・インベストメント・マネージャーズが担当しています。

2022年2月28日発行の月次報告書によると、構成資産の内訳は、外国株式が84.2%、日本株式は13.2%です。外国株式のうち、62.9%がアメリカ株式、他には、ドイツ、台湾、オランダ、イギリスと続きます。組入銘柄上位10社は以下のとおりです。

  1. クアルコム(アメリカ・半導体)
  2. テラダイン(アメリカ・半導体)
  3. インテュイティブサージカル(アメリカ・ヘルスケア機器)
  4. アルファベット(アメリカ・メディア)
  5. キーエンス(日本・テクノロジー)
  6. アマゾン・ドット・コム(アメリカ。小売)
  7. シリコン・ラボラトリーズ(アメリカ・半導体)
  8. デクスコム(アメリカ・ヘルスケア機器)
  9. エヌビディア(アメリカ・半導体)
  10. オン・セミコンダクター (アメリカ・半導体)

運用方針として、アマゾンやキーエンス、アルファベットのような大型株を中心に、中小型株でも、成長が見込まれる企業には投資するとしています。地域はアメリカや日本が中心です。

今後はロボットの基本的な働きである「作る」、「運ぶ」、「助ける・守る」に着目して、さまざまなロボット関連企業への投資を継続します。ファンドからの報告によると、ヘルスケア、自動車、テクノロジー、物流などの幅広い分野でロボット関連技術の導入が加速すると見ており、今後の見通しは明るいとしています。

3.AIとIoTによるロボティクス分野の発展

ロボット関連技術への投資を考えるにあたって、投資環境を確認しておきましょう。

3-1.産業用ロボットの活躍が目立つ

現状、ロボット技術が取り込まれ、AIやIoT技術がインフラとして浸透している分野は、以下3つの業種です。

製造

製造の分野では、あらゆる工程で省人化がすすんでいます。AIやIoTの技術をつかった検品など、異常検知はロボットの得意分野です。

一方で、人とロボットが共同して作業をおこなう「協働ロボット」も注目を集めています。従来では、人とロボットが同じ作業をおこなうことは危険を伴っていましたが、80W以下のロボットは、人と同じスペースで仕事ができるよう、法律が改正されました。

直近では、日本の川崎重工が人共存型双腕スカラロボット「duAro」を開発したり、2018年6月にはABBと協働して協働ロボットのオペレーティングインターフェースを共同開発しています。

物流

物流分野では、倉庫管理の仕事をロボットが受け持つケースが見られます。海外のアマゾン倉庫では、すでに人の代わりにロボットが商品をピッキングしています。棚全体を移動できるGoods-to-Personは大型倉庫で活躍。また、人と一緒に協働できて、既存の倉庫をいじることなく導入できる「AMR(Autonomous Moblie Robot)」は、今後多くの物流倉庫で活躍する日がくるでしょう。

医療

医療用ロボットは、患者のケアにかかる人の手間を削減するために、病院の内外で活用される専門性の高いシステムです。忙しく、人手が不足しがちな医療現場では、人が受け持つ仕事とロボットに任せる仕事の切り分けが急務となっています。

現在は、手術支援ロボットのダヴィンチが有名です。今後は手術支援の他にも医療現場でロボットが受け持つ仕事は増えるでしょう。

4.ロボティクス関連技術への投資意義

ロボティクス関連事業は、テクノロジー自体の発展に欠かせないテクノロジーです。DX化やスマートシティ構想の中心を担う重要な産業ともなるでしょう。産業用ロボットの今後について、解説します。

4-1.産業用ロボットは注目の業界

富士経済グループがリサーチした調査結果によると、業務・サービスロボットの世界市場は、2025年に向けて急激に加速し、2021年の約22,000億円から45,454億円に到達すると予想されています。特に市場規模の拡大が見込まれている分野は、建設、レスキュー、インフラ点検用のロボットです(参照:富士経済グループ「様々な業界で導入が広がる業務・サービスロボットの世界市場を調査」。

AI、IoTの発展にともない、産業用ロボットの実用化はさらに進むでしょう。市場規模の拡大予想を考えると、先進テクノロジーへの投資意義は高いといえます。

まとめ

注目のテクノロジーということもあり、ロボティクス関連事業をテーマとしたファンドは、いくつかの運用会社でファンドが運用されています。同じロボット関連事業をテーマとしているファンドですが、組入銘柄に大きな違いが見られました。全般的に、半導体関連企業やヘルスケア機器を扱う企業が目立ちます。

ファンドを選ぶ時は、目論見書や直近の月次レポートをよく確認しましょう。

ロボットを取り巻く投資環境は良好です。2025年までに、産業用ロボットの分野で大きな飛躍が予想されています。この記事を参考にロボット分野へ長期視点の投資の検討を進めてみてください。

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ロボティクス関連の投資信託、成績や信託報酬など徹底比較【2022年4月】