XR(VR・AR・MR)関連の投資信託、成績や信託報酬など徹底検証【2022年4月】

非接触の日常が当たり前となる近年では、VRやARの技術を身近に感じることが多くなりました。今後は、VRやARの技術が社会インフラや、日々の生活、新しいサービスにますます組み込まれていくと見込まれています。

当記事では、XR関連の投資信託と、XRの現状や投資対象としての背景について、解説しています。新しい投資先として、XR技術に関心のある方はご確認ください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年4月1日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. XR(VR・AR・MR)関連に投資できるファンドは現状1本のみ
  2. XR(VR・AR・MR)技術とは?社会インフラへの活用
    2-1.主なXR(クロスリアリティ)の概要
    2-2.XRのインフラ活用にかかせない5G技術
  3. 投資対象としてのXR技術
    3-1.ビジネス向けのXR市場規模は拡大予想
  4. まとめ

1.XR(VR・AR・MR)関連に投資できるファンドは現状1本のみ

SBI証券で取り扱いのあるファンドから、XR関連のファンドを探してみたところ、1本ファンドが見つかりました。

eMAXIS Neo バーチャルリアリティ

基準価額 33,372円 トータルリターン/6ヶ月 -11.25%
純資産 10,619百万円 トータルリターン/1年 -8.66%
信託報酬 0.792%以内 トータルリターン/3年 46.15%
決算 年1回 シャープレシオ/1年 -0.29

※数値は2022年4月1日時点

三菱UFJ投信が運用するeMAXIS Neoシリーズでは、フィンテック、遺伝子工学、ナノテクノロジーなど先端技術をテーマとしたファンドが13本運営されています。eMAXIS Neo バーチャルリアリティは13本のファンドの中の一つ。S&P Kensho Virtual Realityをベンチマークとするインデックスファンドとして運用され、信託報酬は0.792%以内です。

組入銘柄の国は、アメリカが7割強、残りはオランダ、イスラエル、ケイマン諸島です。ケイマン諸島の企業には、中国などが含まれます。2022年2月末発行の月次報告書に記載された組入銘柄10社は以下のとおりです。

  1. ハイマックステクノロジーズ(ケイマン諸島・半導体)
  2. ビステオン(アメリカ・自動車)
  3. PTC(アメリカ・ソフトウェア)
  4. NVIDIA(アメリカ・半導体)
  5. 3D システムズ(アメリカ・テクノロジーハードウェア)
  6. マイクロン・テクノロジー(アメリカ・半導体)
  7. エルビットシステムズ(イスラエル・資本財)
  8. メタプラットフォームズ(アメリカ・娯楽)
  9. ゼロックスホールディングス(アメリカ・テクノロジーハードウェア)
  10. マイクロソフト(アメリカ・ソフトウェア)

※ハイマックステクノロジーズは、ケイマン諸島に所在地がありますが、資本は中国の企業です。

半導体関連の企業が上位を占めており、XR技術を活用する自動車や、メディア、エンターテイメント関連の企業も見られます。

メタプラットフォームズの元の社名はFacebookです。メタバースに注力するとして、社名をメタプラットフォームズに変更しました。今後は、XR技術を大いに活用して新しいサービスを提供してくれるでしょう。

2.XR(VR・AR・MR)技術とは?社会インフラへの活用

近年ではポケモンGOやAppleサイトでのデモ画面など、XR技術を身近に感じることができるようになりました。具体的に、XR技術は社会やエンターテイメントの分野でどのように活用されているのでしょうか。詳しく確認してみましょう。

2-1.主なXR(クロスリアリティ)の概要

XRと呼ばれるVR,AR,MRの技術とはどのようなものか、以下に解説します。

VR(仮想現実)

VRはバーチャルリアリティの略称で、仮想空間を現実のように体験できる技術です。CGや360度カメラで撮影された映像を、ヘッドマウントディスプレイを使って体験できます。どの方向を見ても360度の仮想空間を楽しむことができる点が特徴です。

VR技術はゲームなどエンターテイメント分野にていち早く導入されており、「PlayStation VR」で、VRの世界を体験できます。その他には、スマートフォンをセットするだけで手軽に体験できるVRもあります。

ゲームやエンターテイメント以外の分野では、仮想世界にアバターを表示して行うミーティングや、VRキャンパスやVRオフィスなど、非接触の需要に伴い広がりを見せています。

AR(拡張現実)

ARはAugmented Realityの略称で、現実世界に仮想現実を重ねて体験ができる技術です。完全に仮想の世界を体験するVRと違い、現実世界に仮想現実を組み合わせる点が特徴的です。

数年前にはAR技術をつかったポケモンGOが世界的に流行しました。また、AppleはAR技術を使うことができるLiDARスキャナを搭載した端末を販売しています。家具を買う時のレイアウトや、ECサイトの購入サポートなど、購入前の商品イメージの確認に相性がよく、今後さらに広く活用されることが予想されます。

MR(複合現実)

MRはMixed Realityの略称で、現実世界と仮想世界を融合させる技術です。ARは現実世界に仮想世界を重ね合わせる技術ですが、MRは、現実世界と仮想世界をより密接に融合します。現実世界に3D映像を浮かび上がらせる演出は、典型的なMR技術の活用です。大規模なイベント会場などで演出として行われることがあります。スマートグラスをつけることで、3D映像をよりリアルに楽しめる体験も得られます。

MR技術が発展すると、開発前の商品や建物をあらかじめ現実世界で確認することも可能になります。今後は、MRのビジネス利用がさらに拡大していくでしょう。

2-2.XRのインフラ活用にかかせない5G技術

XR技術は、スマートシティやDXには欠かせないテクノロジーです。XR技術が発展すると、わざわざ現地まで出向くことなく、自室にいながら感動体験を得ることも可能になります。ビジネス分野では、事前に商品や建物の完成をイメージすることができ、AR技術を使ったチュートリアルの実装も可能です。

XR技術を余すところなく活用するには、大容量のデータ通信を支える5G技術の発展も欠かせません。5G通信が広く行き渡るようになれば、スマートシティ化やDXは一気に進むと見られています。

3.投資対象としてのXR技術

XR技術の今後を予測しつつ、投資対象としてのポイントを解説します。

3-1.ビジネス向けのXR市場規模は拡大予想

デロイトトーマツ ミック経済研究所の調査と予測によると、日本のビジネス向けXRソリューション市場は2020年度に前年比37.1%増の192億円となり、2023年度まで年平均成長率45.8%で推移し、632億円に到達すると予測しています。市場規模拡大の裏付けとなるものとして、以下の理由などが挙げられます。

  • XRソリューションに必要なハードウェアの価格が低下
  • バーチャル店舗やイベントなど活用方法が確立されつつある
  • コロナ禍による需要の加速

XR技術の発展は元から予測されていました。そこにコロナ禍が到来したことによって需要が加速している状況です。

XR技術を始めとするテクノロジーの発展は、5G通信が基幹となっているため、5G通信の発展により加速度的にテクノロジーが進化すると見られています。

まとめ

XR技術をテーマとしたファンドは1本運用されています。XR技術に関連する指数に連動する運用成績を目指すインデックスファンドで、信託報酬は0.792%以内です。半導体を扱う米国企業の銘柄を中心に構成されています。

XR関連の市場規模は、元から発展が予想されていましたが、コロナ禍によって需要が急激に伸びました。ゲームなどのエンターテイメント業界を始めとして、ECサイトでのリアリティ体験や、アバターを活用した仮想ミーティング、AR技術を活用した製造マニュアルなど、活用の機会は広がりつつあります。

次世代通信の5Gの浸透により、さらに市場規模は拡大するでしょう。今後のXR技術の活用に注目したいところです。

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