株式投資、エリオット波動の見方と使い方は?エントリーのタイミングも
株式投資を行うためのテクニカル分析には数多くの種類がありますが、テクニカル指標でどれを利用すべきか最初は悩むことでしょう。ここでは、テクニカル指標の中でも「エリオット波動」について使い方を解説します。
目次
- エリオット波動の基本
1-1.エリオット波動とは
1-2.エリオット波動の見方
1-3.エリオット波動の考え方
1-4.エクステンション - エリオット波動の使い方
2-1.エリオット波動の基本形 - エリオット波動をトレードに活かす
3-1.フィボナッチ・リトレースメントでエントリーポイントを決める
3-2.ZigZagを利用して、波動解析をする - まとめ
1.エリオット波動の基本
最初にエリオット波動について解説します。
1-1.エリオット波動とは
エリオット波動はアメリカの株式アナリストのラルフ・ネルソン・エリオットが考案した理論です。「相場にはサイクルがあり値動きは一定のパターンに集約される」という考え方を用いています。
実際にどのような金融商品のマーケットでも、上げ相場であっても完全な右肩上がりになることはなく、下げ相場であっても同様に必ずしも右肩下がりになることはありません。
そのような相場の上げ下げのリズムには時代や銘柄を超えた普遍性があり、そのパターンをあらかじめ知っておくことで次の展開を読みやすくします。
1-2.エリオット波動の見方
次にエリオット波動の基本的な見方について解説します。
エリオット波動は、チャートの上昇と下降をそれぞれ波動として捉えることに特徴があります。
エリオット波動は、相場のパターンを予測する分析法です。
現在の相場がエリオット波動のどの部分にあたるのか、ということが分かれば、現在のトレンドがどこまで続きそうなのかという予測と、どこまで行くと反転になり、その反転がどこまで進むと再びとトレンドに回帰するのか、といった点が予測できるようになります。
最も、相場の世界は全てが理論通りに進むほど簡単ではありません。しかし、多くのテクニカルアナリストが、エリオット波動の理論を相場に持ち込んでおり、彼らの予測のベースの一つともなっています。
他人の予測をあらかじめ知ることで、情報的に優位に立つことができます。その上で自分なりのトレード戦略を実行することで、エリオット波動をうまく活かしながらトレードをすることができるようになります。
1-3.エリオット波動の考え方
エリオット波動には以下三つの原則があります。
- 原則①:上昇波において3波は1波、3波、5波の中で最も短くはならない
- 原則②:上昇波の中で2波が1波の始点を超えて修正することはない
- 原則③:上昇波の中で4波が1波の高値を割り込むことはない
この原則に当てはまらない時は、次に説明するエクステンションとみなします。
1-4.エクステンション
冒頭に、理論は必ずしも単純にそのまま相場に当てはめることはできないという旨をお伝えしましたが、エリオット波動のような複雑な理論ほどその傾向は強くなります。
為替相場にはよく発生する現象ですが、エリオット波動のパターンは崩れることがあり、そのような現象をエクステンションと呼びます。
エクステンションの定義としては、上昇波である1・3・5のどれか一つの波動が長くなる(上昇の間に数回の下降を含む)ことです。
つまり、第二波や第四波ほどのしっかりとした下降ではなく、緩やかに下落してしばらくレンジが続く場合などが当てはまります。
為替相場では大きな経済指標発表や会見の2、3日前に、様子見の際に非常に狭いレンジ相場となることも多く、そのような場合にはエクステンションが発生しやすくなります。
2.エリオット波動の使い方
次にエリオット波動の使い方について説明します。
2-1.エリオット波動の基本形
最初に覚えるべきことは、エリオット波動の基本形です。
エリオット波動は波動と名付けられているように、8つの波から構成されています。
最初に上昇5波と呼ばれる1波から5波があり、次に下降3波と呼ばれる波(a波~c波とも呼ばれます)で構成されています。この数はフィボナッチ数列が基礎となっており、フィボナッチ・リトレースメントなどとの相性も良いとされています。
それぞれの波には特徴があり、その特徴を覚える必要があるため、下記にまとめます。
上記はリクルートホールディングスの日足チャートです。
第一波
通常五つの波の中で最も短い。大きな底値圏の後に起こる波は長くなることもあります。
第二波
一波のすべて、または大部分戻す値固めの段階の波ですが、第一波の水準を100%以上戻すことはないとされています。
第三波
通常一番長く勢いのある波で、第一波の150%~161.8%まで伸びることがあります。出来高もこの波の時が一番多くなります。第二波の下落幅が第一波の50%から61.8%の場合、第三波は大きく反発する特性があり、下落が38.2%以下の場合、小さくなる特性があります。
第四波
第二波と同様の性格を持ち、ある程度値を戻しますが、必ず第一波の高値よりも第四波の安値の方が上となります。第三波の50.0%から61.8%の価格帯を下回ると下落トレンドやレンジ相場になることが多いとされます。
第五波
相場の天井に近づき、上髭をつけるローソク足が目立ちダブルトップや逆三尊のようなチャートパターンが並びます。
下降一波(a波)
第五波の調整下落という局面で分かりづらいのですが、第四波の底を目標に下降していくことが多くなります。
下降二波(b波)
新しい下降トレンドにおける反発の波で、直近の高値は超えずダブルトップ・3トップのチャートを形成しやすい特徴があります。
下降三波(c波)
上昇トレンドの終了で、第一波の安値を下回ります。
波動の「パターン」の他には、波動の相関関係の計測をする「比率」と、パターンと比率を確認する「時間」、この3要素でエリオット波動は成り立っています。
3.エリオット波動をトレードに活かす
それでは最後にエリオット波動理論をトレードに活かすための方法について解説します。
3-1.フィボナッチ・リトレースメントでエントリーポイントを決める
エリオット波動をフィボナッチ・リトレースメントと組み合わせることによって、価格がどこまで進むかという点と相場の反転するポイントを予測することができ、エントリーとイグジットの価格を決めるのに役立ちます。
例えば第一波の上昇後の第二波がどこまで価格が落ちるのか予測する時は、第一波の出発点(第一波の最安値)と第二波への転換点(第一波の最高値)を結ぶフィボナッチ・リトレースメントを引き、38.2%~50.0%もしくは61.8%までの間で目星を付けます。
トレード対象の銘柄の過去のチャートで第二波・第四波が何パーセントまで戻しているか調べ、それを当てはめるのが、成功確率が高くなると筆者は思います。
また、一つの波動の中に小さなエリオット波動が存在している点も意識すると良いでしょう。
3-2.ZigZagを利用して、波動解析をする
エリオット波動分析をしやすくするためのインジケーターに「ZigZag」というものがあります。ZigZagを表示させると細かな上下動を省略して大まかなトレンドを見ることができるため、エリオット波動の判定がしやすくなります。
また、Tradingviewなどのチャートツールなどを利用することでも表示できます。
まとめ
エリオット波動を正確に捉えられるようになるには練習が必要ですが、何度も繰り返すうちにコツが理解できると思います。まずは、日足などの大きな時間軸から始めてみることをおすすめします。
また、株式投資において大事なことは「大きく利益を出すこと」ではなく、「安定して負けないトレードを繰り返すこと」です。その点を意識して、株式投資を行う場合はエリオット波動も利用してみるといいでしょう。
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