仏トタルエナジーズ ドローンを活用したメタンの排出検知・定量化開始
仏エネルギー大手のトタルエナジーズ(ティッカーシンボル:TTEF)は5月16日、事業で排出されるメタンの検知、定量化、削減を図るべく、世界各国で操業する石油・ガス上流部門(#1)の事業すべてで、ドローンを活用した排出検知・定量化する取り組みを開始した(*1)。
同取り組みには、トタルとフランス国立科学研究センター(CNRS)、ランス・シャンパン・アルデンヌ大学が共同開発した、温室効果ガス(GHG)排出量の定量化技術として知られるAirborne Ultralight Spectrometer For Environmental Applications(AUSEA)を使用する。AUSEAはドローンに小型のデュアルセンサーを搭載し、陸上・洋上のあらゆる産業施設でメタンと炭素の排出を検知するとともに、その発生源を特定することができる。
AUSEAはナイジェリア、イタリア、コンゴ共和国、オランダの施設でテストされており、今年中にトタルが操業する石油・ガス上流部門のすべての施設で導入される予定だ。この取り組みは、同社が運営する施設のメタン排出量を30年までに20年比で80%削減する目標の達成に向けた重要な一歩になるという。
自社が操業するガス施設全体のメタンガスの排出強度を0.1%未満に抑えるという目標にもコミットする。また、「石油・ガス・メタン・パートナーシップ(OGMP、#2)」の第2フェーズとなるOGMP2.0の一環として、メタン排出量の報告精度を高める。
トタルは2010年からの10年間で、操業する施設のメタン(フレアやベントなどすべての排出源を対象)排出量をすでに半減させているという。
AUSEAについては、メタン排出量の測定を頻繁に行うために、マニュアルから自律飛行モードへ移行する開発を進めるほか、製油所での活用も検討する。
メタンの温室効果は同じ量の二酸化炭素(CO2)の25倍になる。先進的な取り組みを推進するトタルをはじめ、気候変動対策を強化する世界各国の有力企業が、メタンの排出削減に向けた取り組みを活発化することに期待したい。
(#1)上流部門…石油業界を原油の探鉱・開発・生産までにいたる開発段階。それ以降の精製・販売・輸送その他の段階は下流部門。
(#2)OGMP…国連環境計画(UNEP)や欧州委員会などが主導する石油・ガス企業国際イニシアティブ。OGMP2.0では、報告対象が自社だけでなくガスのバリューチェーン全体にわたり、排出源ごとの排出量を開示するといった報告フレームワークが策定された。
【参照記事】*1 トタルエナジーズ「Methane Emissions Reduction: TotalEnergies Implements a Worldwide Drone-Based Detection Campaign」
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