GM株低迷 20年10月以来初めて再上場売り出し価格を下回る

米ゼネラル・モーターズ(ティッカーシンボル:GM)株が低迷している。6月13日には2020年10月以来初めて、破産後の再上場に伴う普通株の売り出し価格の1株33ドルを下回った(*1)。新型コロナ禍の21年通期は過去最高益を達成したものの、市場では収益の持続性への懸念がくすぶっている模様だ。

市場ではリセッション(景気後退)への懸念が高まっているほか、GMの収益の持続性に懐疑的なため、同社株は年初来で約48%下落する軟調な推移になっている。同日の株式市場では幅広い銘柄が売られ、競合するフォード(F)や、クライスラーの親会社ステランティス(STLA)は52週安値を更新した(*2、*3)。

GMや他の自動車メーカーはコロナ禍において過去最高益を記録。自動車業界において重要な部品である半導体が不足するなど、サプライチェーンが混乱するなか、供給はひっ迫する一方で需要は強かった。この状況下において、新車の販売価格が高騰したことにくわえ、値引きなどの原資になる販売奨励金(インセンティブ)を抑えたことにより、販売が鈍化するなかでも過去最高益を達成した。

GMは2009年6月に日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻した。米政府が500億ドル(約6兆7,000億円)の公的資金を投じ再建を主導し、足元の業績は改善している。

近年は電気自動車(EV)専業へと経営のかじを大きく切る。35年までにEVへの全面移行を目指すなか、25年までにEVと自動運転技術の開発に350億ドルを投じる計画を進捗させている。直近でもメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)はEV計画を加速させることを優先し、配当を再開させるつもりはないことを明らかにした(*4)。

22年1月には同社の電動商用車部門ブライト・ドロップが、米小売り大手のウォルマート(WMT)および米物流大手のフェデックス(FEX)より配送用電動バンを新規受注した(*5)。40年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現すべく、配送車の電動化も全力で進める方針だ。

【参照記事】*1 ゼネラル・モーターズ「Stock Information
【参照記事】*2 ニューヨーク証券取引所「FORD MOTOR CO
【参照記事】*3 ユーロネクスト「STELLANTIS NV € 12.236
【参照記事】*4 ゼネラル・モーターズ「printmgr file
【関連記事】*5 GM傘下ブライト・ドロップ、ウォルマートとフェデックスから新規受注

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