株式投資、ボリンジャーバンドの使い方は?売買サインや注意点を解説
株式トレードにおいて、テクニカル分析で利用されるインジケーターが数多くあり、初心者の方はどれを利用すれば良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。
数多くあるインジケーターの中でも、習得しておきたいインジケーターの一つが「ボリンジャーバンド」です。今回は、株式投資におけるボリンジャーバンドの使い方について、チャートから具体例で解説していきます。
目次
- ボリンジャーバンドとは
1-1.ボリンジャーバンドの概要 - ボリンジャーバンドの売買サイン
2-1.買いサイン
2-2.売りサイン
2-3.ボリンジャーバンドを利用する際の注意点 - ボリンジャーバンドを使用したトレード手法
3-1.インジケーターの調整とエントリー
3-2.イグジットの方法 - まとめ
1.ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドとは、アメリカの作家兼財務アナリストであるジョン・ボリンジャー(John A. Bollinger)氏によって考案されたテクニカルインジケーターのことを指します。
以下詳しく解説します。
1-1.ボリンジャーバンドの概要
ボリンジャーバンドは単純移動平均線を中心として、その上下に統計学を用いて算出された「標準偏差」というバンドを表示したもので、主に株価変動の勢いの変化や反転の目安、方向を見極めるためのインジゲーターとして利用されています。
標準偏差とは、平均値からデータの散らばりの度合いを表すインジケーターのことを指し、ボリンジャーバンドでは一定の期間内におけるデータの標準偏差を「シグマ=σ」とし、移動平均線を基準としてシグマの一から三倍を加えたものをボリンジャーバンドの「+1σ」から「+3σ」、反対にシグマの一から三倍を引いたものをボリンジャーバンドの「-1σ」から「-3σ」という形式で表示します。
一般的には、値動きが大きくなった際にバンドの幅が広がり、値動きが小さくなった際にバンドの幅が縮小するという傾向にあります。
なお、ボリンジャーバンドは、「株価は標準偏差が示すラインの範囲内で変動する」という予測をベースとして考案されたものであり、実際、統計学的に90%を超える高い確率で価格がバンド内に収まることが証明されています。
2.ボリンジャーバンドの売買サイン
次に、ボリンジャーバンドの売買サインについて解説します。
2-1.買いサイン
買いサインには順張りと逆張りがあります。
①逆張り
ボリンジャーバンドは、株価が下落した際に株を購入し、上昇した際に売却する手法である「逆張り」のインジケーターとして利用することが可能です。
前述の通り、ボリンジャーバンドにおいては株価がバンドの範囲内で動く確率がかなり高くなっていますが、これを利用して、株価がバンドの下限まで下落した際に「買いサイン」と見なすことができます。
また、株価が「-2σ」の付近まで到達したケースは「底値ゾーン」と判断でき、買いポイントと見なすことが可能です。
②順張り
ボリンジャーバンドは逆張りだけでなく、株価が上昇した際に株を購入し、下落した際に売却する手法である「順張り」のインジケーターとしても利用することが可能です。
ボリンジャーバンドでは、バンドの幅が収縮した状態において株価がバンドの上限を突き抜けた際、その後価格が大きく動くという傾向があります。
このことを利用して、株価が急激に上昇する一歩手前の状態を見極めることで、買いのタイミングを決定することが可能です。
また、上昇トレンドを形成しているケースでは、株価が「+1σ」に沿って上昇する「バンドウォーク」という現象が起こることがあります。
このバンドウォークの発生が確認できた際には、自身の持ち株をホールドし続けることによって利益を伸ばすことが可能です。
2-2.売りサイン
売りサインも、逆張りと順張りのパターンに分けられます。
①逆張り
買いサインとは反対に、株価がバンドの上限にまで到達した場合は、「売りサイン」と見なすことができます。
また、株価が「+2σ」あたりまで到達した際は、「高値ゾーン」となり売りポイントと見なすことが可能です。
②順張り
前述したバンドウォークが発生した後、株価が「+1σ」を下回るところまで下落した場合、売りサインと見なすことが可能です。
2-3.ボリンジャーバンドを利用する際の注意点
多くのテクニカルインジケーターはどのような状況下においても同じように使用できるわけではなく、時には理論に反した動きを示すこともあり、これを「ダマシ」と言います。
ボリンジャーバンドでもこの「ダマシ」が発生するケースがあるため、利用する際には気を付けなければなりません。
ボリンジャーバンドでは、バンドの幅が収縮している状態を「スクイーズ」と呼び、反対にバンドの幅が広がっている状態を「エクスパンション」と言います。
理論的には、スクイーズからエクスパンションへと移行するタイミングで順張りのエントリーを行いますが、時に逆行して逆方向のトレンドを形成するというケースが見られ、これを「ヘッドフェイク」と呼びます。
このヘッドフェイクが、ボリンジャーバンドでの「ダマシ」の一つであると言われており、ボリンジャーバンドを使用する際に気を付けなければならないポイントの一つとなっています。
投資の初心者にとって、ヘッドフェイクを見極めることは比較的難しくなっていますが、上昇トレンド形成中に価格が一時的に下落する「押し目」や、下降トレンド形成中に価格が一時的に上昇する「戻り目」などの出現を待ってからエントリーすることで、リスクを抑えることが可能です。
またこのほかにも、長期のトレンドに注目し、それと同じ方向にブレイクアウトしたケースだけエントリーすることも、「ダマシ」に惑わされない方法の一つとして知られています。
このように、より慎重な判断を行うことによって、ボリンジャーバンドをさらに効果的に使用することができるだけでなく、ヘッドフェイクの影響を最小限に抑えることも可能です。
3.ボリンジャーバンドを使用したトレード手法
では、最後に実際のチャートをベースとして、ボリンジャーバンドを使用したトレード手法について解説します。今回のトレード対象は、東証一部の「ソフトバンク」とします。
3-1.インジケーターの調整とエントリー
TradingViewのチャートで表示されるボリンジャーバンドは、初期設定が「2.0σ」で設定されています。
上の図は初期設定の状態でボリンジャーバンドを表示させたものですが、赤の矢印のようにボリンジャーバンドからはみ出している部分が多く、そのまま売買サインとして使うにはフィットしていない印象です。
そこで、ボリンジャーバンドの設定を調整します。
ボリンジャーバンドの「標準偏差」を「2.6σ」に変更し、2.0σではみ出していたほとんどのローソク足を含有する表示に変更したものが上のチャートです。ここまでで、準備は完了です。
次にエントリーチャンスを狙います。ボリンジャーバンドの売買サインは至ってシンプルで、バンドの底部にタッチしたら、「買い」、天部にタッチしたら「売り」となります。
3-3.イグジットの方法
ボリンジャーバンドを利用した手法のイグジットについては、利益額の少ない順に以下の3パターンで考えると良いでしょう。
- 中心線に到達したものの、再び逆行した場合(赤)
- 中心線まで到達しない場合(黄)
- ボリンジャーバンドの反対側にタッチした場合(白)
相場の状況や資金管理ルールに合わせて、この3パターンのどれでイグジットをするか決めることが重要です。
それぞれのパターンのポイントとしては、①は中心線の再タッチをしたらそこでイグジットすること、②は引っ張ってもエントリーと同価格でイグジットすること、③は反対側のバンドに届きそうになったところで、利益確定を決めることです。
まとめ
ボリンジャーバンドは、バンドがチャートの形成とともに変化をするため、バンドが収縮しているか、拡大しているかという見極めも重要となります。
うまくいくときには、大きな利益確定も期待できるため、初心者の方はもちろん、中級者以上の方にも、覚えておくことをおすすめしたい手法です。
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