パナソニックのESG・サステナビリティの取り組みは?ESG格付けも
多くの企業が、持続可能な社会のためにESG経営に取り組むようになりました。その一環として、従来の財務データに加え、ESGの取り組み、目標など非財務データを加えた統合報告書を発行するようになりました。
例えば日経BPは「第3回ESGブランド調査」の結果を2022年10月に発表。1位はトヨタ自動車で3年連続となりました。2位はスターバックス、3位がパナソニックです。パナソニックは前回の13位から3位に躍進しました。
そこで今回は、ESGブランド調査で大きな躍進をとげたパナソニックのサステナビリティやESGの取り組み、ESG格付けなどを解説します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年10月31日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
- パナソニックのサステナビリティ基本方針
- パナソニックのESGへの取り組み
2-1.環境(E:Environment)への取り組み
2-2.長期目標
2-3.中期目標(2024年目標・2030年目標)
2-4.2021年度の実績
2-5.社会(S:Social)への取り組み
2-6.ガバナンス(G:Governance)への取り組み - パナソニックのESG格付け
- まとめ
1 パナソニックのサステナビリティ基本方針
パナソニックグループには、「企業は社会の公器である」という基本的な考え方があります。この考えに基づいて経営や行動を心がけることが、サステナビリティ経営そのものだと考え、これを経営の基本方針としています。
2 パナソニックのESGへの取り組み
同社のESGの取り組みを、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)それぞれの分野についてみていきましょう。
2-1 環境(E:Environment)への取り組み
パナソニックグループは、より良い暮らしと継続可能な地球環境に向け、Panasonic GREEN IMPACTを策定しました。これによると、2050年までにグループの事業活動を通じて、二酸化炭素総排出量を3億トン以上削減インパクトの実現を目指すとしています。
2050年の目標に至るまで、2022年度から2024年度までの3年間の環境行動計画であるGREEN IMPACT PLAN2024を策定し、具体的な二酸化炭素排出量の目標を定めています。
2-2 長期目標
2050年までの二酸化炭素排出量の削減インパクト3億トンの内訳は以下の3つです。
- OWN IMPCT:自社バリューチェーン全体の排出量約1.1億トンを、エネルギー削減加速により削減し、社会全体の脱炭素効果とあわせることで、二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す。
- CONTRIBUTION IMPACT:車載電池による環境車の普及、サプライチェーンソフトウェアや空質空調事業などにおける顧客のエネルギー削減を通し、二酸化炭素排出量1億トン削減。
- FUTURE IMPACT:社会のエネルギー改革にインパクトを与える水素エネルギー領域などの新技術、新規事業を創出し、二酸化炭素排出量1億トンの削減。
2-3 中期目標(2024年目標・2030年目標)
2050年目標を達成するために、2022年度から2024年までGREEN IMPACT PLAN2024目標が設定されています。目標は以下の通りです。
- OWN IMPACT:製品を作る過程で排出する二酸化炭素を実質ゼロとする工場を、2024年度までに9工場から37工場に拡大し、自社バリューチェーンの二酸化炭素排出量を1,634万トン削減する。2030年目標としては3,145万トンの削減を目指す。
- CONTRIBUTION IMPACT:脱化石燃料や環境車の普及、エネルギー利用の効率化などにより、2024年度までの社会への削減貢献量3,830万トンを目指す。2030年目標は9,300万トン。
- 工場廃棄物のリサイクル率を99%、再生樹脂の使用量を9万トンまで増やす(2019~2021年度の約2倍)。
2-4 2021年度の実績
- 二酸化炭素排出量:二酸化炭素ゼロモデル工場の推進や再生可能エネルギー利用の拡大で195万トンに。売上高当たりの二酸化炭素排出量は2013年比で39%減少。
- 再生可能エネルギー導入量:2021年度目標だった40GWhを上回る43GWhを達成。
- 再生樹脂利用実績:累計122.7ktと、前年比14.7Kt増。
- 工場廃棄物リサイクル率:99%と、目標の99%以上を達成。
2-5 社会(S:Social)への取り組み
パナソニックは、事業活動だけではなく、さまざまな活動を通じて社会課題の解決や、より良いくらしの創造と世界中の人々の幸せ、社会の発展に貢献することを目指すことを掲げています。
それを実現するために人権の尊重、人材育成と多様な人材の活用、労働安全衛生、責任ある調達活動、品質の向上と安全の確保、AI倫理、顧客対応、責任ある広告・宣伝活用、知的財産、地域社会について方針を設け、取り組んでいます。
2022年度内には、週休3日制が社員の8%強にあたる5,000人に試験導入されました。休日を増やすことで、学習、地域ボランティアなどの会社外の取り組みを推奨しています。
2021年度の取り組みとしては、国連グローバル・コンパクトに参加。人権尊重を含む4分野10原則への指示を表明、同時に国際基準に則った人権・労働コンプライアンスの取り組みの進捗・成果を社会に開示しています。
また、取締役会など企業の重要意思決定機関に占める女性割合の向上を目的とした「30% Club Japan」に賛同を表明。それに伴い女性管理者数は2021年5月の607名から664名に、女性管理職比率が8.4%から11.1%に上昇しました。
2-6 ガバナンス(G:Governance)への取り組み
パナソニックは、コーポレート・ガバナンスを企業価値向上のための重要な基盤と認識しています。取締役会から独立し、取締役の職務執行を監査する監査役制度を基礎とし、コーポレート・ガバナンス体制の構築・強化に力を入れています。
取締役会のメンバーは12名(内社外取締役5名)、うち女性が2名です。報酬は、基本報酬と業績連動報酬で構成され、業績連動報酬は前年度実績や評価対象年度の目標値に照らし合わせて決められます。
2022年度からは、環境貢献等サステナビリティ関連、コンプライアンス関連、人材関連、事業競争力を支えるオペレーション強化などの非財務項目が報酬の評価基準に加えられることになりました。
3 パナソニックのESG格付け
債券の格付け同様に、各社のESGの取り組みを、評価機関が精査しESGスコアを発表しています。評価機関としては、米国のMSCIやBloomberg L.P.、日本経済新聞社(日経NEEDS)、東洋経済新報社などがあります。
例えば、MSCI ESG格付けは、最も評価が高いAAAから最も低いCCCを付与しています。Bloomberg ESGスコアは、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)などの項目で数値が高いほど良いとされています。
パナソニックのESG格付けは、MSCI ESG格付けがAAと高評価を得ています。Bloomberg ESGスコアは、環境スコアが1.00、社会スコアが1.03、ガバナンススコアが6.58です。ガバナンススコアは同業種平均よりも高いものの、社会スコアは平均を下回っています。
まとめ
パナソニックは、継続可能な地球環境に向けたPanasonic GREEN IMPACTを策定し、2050年までにグループ事業活動を通じて、二酸化炭素総排出量を3億トン以上削減インパクトの実現を目指しています。そのために、2024年目標、2030年目標といった中間目標を設定し、目標に向かって取り組んでいます。
日経BPによる「第3回ESGブランド調査」ではトヨタ自動車が1位で、パナソニックは3位でしたが、MSCI ESG格付けではパナソニックがトヨタよりも高く評価されています。
自動車業界に比べ家電業界は、ESG・サステナビリティの格付けが高く評価されやすいと言えそうです。また、パナソニック創業者の「企業は社会の公器である」という経営理念そのものがサステナビリティ経営に直結していることも格付けが高く評価されている一因と考えられます。
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