生活に困っているこどもたちを心のこもった「おすそわけ」で笑顔に。おてらおやつクラブがふるさと納税で寄付募集中【12/31まで】
子どもの貧困問題の解決に取り組む認定NPO法人おてらおやつクラブは、奈良県天理市と連携し、ふるさと納税の仕組みを利用して寄付を募集している。ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクがふるさと納税制度を活用して行う「ガバメントクラウドファンディング®」を利用しており、目標金額は3,000万円、12月31日まで受け付け中。
おてらおやつクラブは、奈良県磯城郡田原本町を本拠とする認定NPO法人で2013年に設立。寺に供えられる「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として、子どもをサポートする支援団体の協力のもと、ひとり親家庭へ「おすそわけ」する活動を展開している。活動趣旨に賛同する全国の寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品を届けてきた。
実際に「おすそわけ」を受け取った家庭からは、「受け止めていただいた、私のために動いてくださった方がいるんだと思えて心が楽になりました」「手書きのメッセージもとても励みになり、書いてくださってる情景やこうして梱包をして頂いた様子を想像し、あたたかい気持ちになりました」という声や「これまで他の方からモノを送っていただくことに負い目がありましたが、おてらおやつクラブさんからの『おすそわけ』は『仏さまからのおすそわけ』なので、ありがたくいただいています」といった声が上がっている。
おてらおやつクラブの活動は、2018年度グッドデザイン大賞を受賞している。NPO法人の取り組み、さらに寺院が関わる活動ということで否定的な意見もあったという。しかし、審査委員は「従来、寺院が地域社会で行ってきた営みを現代的な仕組みとしてデザインし直し、寺院の『ある』と社会の『ない』を無理なくつなげる優れた取り組み」と評価した。
2022年10月1日時点で、趣旨に賛同する全国さまざまな宗派の寺は現在47都道府県に1829ヶ寺に広がった。母子家庭や生活困窮者を支援する全国645の団体(NPO団体や社会福祉協議会、子ども食堂や行政窓口など)と連携しており、賛同する企業にはユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社、石井食品株式会社、井藤漢方製薬株式会社などが名を連ねる。
一方、「おすそわけ」を受け取りたいという世帯数はコロナ禍を機に急増した。2020年3月の351世帯から2022年12月には7,536世帯と20倍以上となったことで、すべての家庭におすそわけを送ることができないという課題にも直面している。
久遠寺(愛知県名古屋市)副住職でおてらおやつクラブ理事の高山信雄氏は、「世帯数やお送りする件数が増えたことで配送費だけでも多額のお金がかかっており、より多くのご家庭にお届けするためにはどうしても資金が必要な状況です。ぜひクラウドファンディングを通じて活動のご支援をお願いできればと思っています」「私たちがおすそわけで送っているのは『モノ』ではなく、『気持ち』です。『おそなえ』には色々な方の想いや願いが込められており、『おすそわけ』を通じてその気持ちやあたたかい心を、大変な思いをされているご家庭や子どもに届けたいと考えています。」と寄付の呼びかけと事業への想いを語った。
代表理事の松島靖朗氏は、「困窮されている方に実際にお話を伺ってみると、『私よりも困っている人がいるかもしれないから、こんな私がたすけてと言って良いのかと感じて、たすけてと言えなかったんです』とおっしゃる方もいます。『たすけて』という声を上げてくださった方々にきちんと応えるために、資金面や体制面の制約を乗り越えて活動をさらに広げていきたいと思っています。」
「おてらおやつクラブの活動では、誰もが実践できるハードルの低さを徹底しています。1人にできることは少ないですが、多くの人がやってくださればそれが大きな力になります。」「地域のお寺と地域の団体がしっかりとつながり地域のことを見守っていくことで、苦しい思いをされている方が見守ってもらえていると感じていただくとともに、地域に対して何かできることをやりたいと感じてもらえる人たちも増やしていきたい。そのためにも、より多くの人に活動を知っていただき、できることから参加してもらえれば」と活動の輪を広げていくことに意気込みを示した。
ガバメントクラウドファンディング®は、すべての寄付がふるさと納税の対象となる、政府(自治体)が行うクラウドファンディングで、自治体の課題解決に、寄付者の意思を反映することができる。おてらおやつクラブと天理市は「この日本で貧困に苦しむ家庭を『おすそわけ』で笑顔にしたい。」のプロジェクト名で、2022年4月1日から2022年12月31日まで寄付を募っている。
寄付は、さまざまな事情で困りごとを抱えるひとり親家庭の子どもやお母さん・お父さんたちへ「おすそわけ」を送る事業費として活用される。本プロジェクトではお礼の品はなく、目標金額に未達でも、集まった金額内で自治体が事業を行うため、通常のクラウドファンディングのように返金されることはない。
今月21日、おてらおやつクラブは、同会から直接的に支援を受ける世帯を対象に家庭を取り巻く環境や当団体とのつながりに対する意識・実態を把握する調査を実施し(サンプル数400)、結果を発表した。⽣活費の⽀払いに⽀障のあった家庭は全体の7割強にのぼり、同会の直接⽀援を受けた家庭の分布は、1年前と⽐べて、関⻄圏・⾸都圏から「その他の地域」へ⼤幅に分散が進んでいた。直接⽀援により「⼼理的な改善効果」「困った時に助けを求められる」指標でスコアが上昇した一方、「孤⽴感や孤独感がやわらぐ」指標は⼤幅に低下していた。
現在、おてらおやつクラブの活動に賛同する寺の一部で「のぼり旗」が設置されているという。のぼり旗により参拝者に活動の周知を推進することが目的だが、おすそわけを受け取った方がその寺の前を通ったときに、「もしかしたら、このお寺から『おすそわけ』が届いたのかもしれない」と感じるなかで「おすそわけ」の匿名性が溶けていき、地域の中で顔が見える関係性となって助け合い、支え合うことにつながっていくことも期待しているそうだ。
全国には77,206の寺がある。多くの寺に「おすそわけ」の活動が広がっていけば、想いをのせたのぼり旗がはためく、とても優しい街並みになっていくのではないだろうか。
【関連サイト】ふるさとチョイス・ガバメントクラウドファンディング「この日本で貧困に苦しむ家庭を「おすそわけ」で笑顔にしたい。」
【関連サイト】おてらおやつクラブのウェブサイトを見る
※ガバメントクラウドファンディング®(GCF®)とは、ふるさとチョイスがふるさと納税制度を活用して行うクラウドファンディング。
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