HashPortってどんな会社?プロジェクトや事業について解説
今回は、株式会社HashPortについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- HashPort(ハッシュポート)とは
1-1.HashPort(ハッシュポート)の概要
1-2.HashPort(ハッシュポート)のCEO吉田世博氏
1-3.HashPort(ハッシュポート)の事業内容 - HashPortが手がけているプロジェクト
2-1.Fressets Wallet(フレセッツウォレット)
2-2. Palette Chain(パレットチェーン)
2-3.NFTマーケットプレイス「PLT Place」 - 大企業との提携
3-1.SMBCグループとの業務提携
3-2.MetaSolare Pte. Ltd.とのパートナーシップ - まとめ
国内外の大企業やプロジェクトと積極的に提携している、注目度の高いブロックチェーン関連企業の一つに「株式会社HashPort(ハッシュポート)」があります。
HashPortは、暗号資産(仮想通貨)関連のコンサルティング事業やエンタープライズウォレットの展開など、日本国内でのブロックチェーン活用のさらなる発展を目指して多方面におけるサポートの提供を行っており、近年特に注目を集めている企業の一つとなっています。
そこで今回は、今話題のHashPortという会社について、その概要や事業内容、また展開しているプロジェクトなどを詳しく解説していきます。
①.HashPort(ハッシュポート)とは
1-1.HashPort(ハッシュポート)の概要
「HashPort(ハッシュポート)」とは、「すべての資産をデジタル化する」というミッションを掲げ、ブロックチェーンの社会応用への可能性を拡げることを目指すソリューションプロバイダーです。
18年7月に設立されたHashPortは、100%子会社としてNFTに特化した事業を展開する株式会社HashPaletteおよび、自社ウォレット開発などブロックチェーン・テクノロジーを駆使した金融インフラ事業を展開する株式会社HashBankを有しており、グループ全体でWeb3.0時代における「トークンエコノミー」の仕組み作りを進めています。
また、HashPortが「ハブ(中核)」となることで、デジタル資産の流通を促進させるだけでなく、トークンによる決済も促進させることによって、Web3.0の実現を目指すとしています。
このように、HashPortでは昨今のテクノロジーの進歩や生活スタイルの変化からWeb3.0時代の到来が謳われ、パラダイムシフトがより加速している環境の中で、日本国内におけるブロックチェーン活用がさらなる発展を遂げられるよう、多方面でサポートを行っています。
そして、今後もこのような時代背景のもと、ブロックチェーン活用の地平を押し拡げ、Web3.0時代を切り拓くべく、ブロックチェーン領域におけるトータルソリューションを企業一丸となって展開していくということです。
1-2.HashPort(ハッシュポート)のCEO吉田世博氏
HashPortの代表取締役CEOを務めている吉田世博氏は、13年に慶應義塾大学法学部を卒業した後、ボストンコンサルティンググループのデジタル事業開発部門である「BCG Digital Ventures」において、東京オフィス最年少となる「Venture Architect(投資・事業開発担当者)」を務め、日本および中国でのプロジェクトに従事しました。
そして18年に株式会社HashPortを創業し、国内の主要な仮想通貨交換業者にコンサルティング・システムの提供を行ってきました。
その後、20年にはNFT分野の子会社として株式会社HashPaletteを創業し、日本国内で初となる仮想通貨を用いた資金調達「IEO(Initial Exchange Offering)」を成功させました。
吉田世博氏はこのHashPaletteでも代表取締役CEOを務めており、日本国内最大規模のNFTマーケットプレイス「PLT Place」やNFTゲームスタジオなどをはじめとするNFTエコシステムの運営を手がけています。
また、22年4月には金融インフラ事業会社である株式会社HashBankを設立しており、ここでは取締役として会社を支えています。
このほかにも、吉田世博氏は日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の理事や東京大学工学系研究科の共同研究員、また慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート「暗号資産研究プロジェクト」の共同研究メンバーなどを務めており、ブロックチェーン業界における重要人物の一人としてその名が広く知られています。
1-3.HashPort(ハッシュポート)の事業内容
①トークンアーキテクト事業
トークンアーキテクト事業では、ブロックチェーンプロダクトおよび仮想通貨の信頼性についてのシステム監査を実施しているほか、新規取扱仮想通貨のコンサルティング、IEOアドバイザリー、またトークンエコノミーの設計から実現までの構築および提供を行なっています。
特に、金融庁によって厳しい基準が定められている新規仮想通貨の監査については、日本トップレベルの実績を有しています。
②ブロックチェーンシステム事業
ブロックチェーンシステム事業では、仮想通貨取引を安全に行うための「金庫」となるエンタープライズウォレット「Fressets Wallet(フレセッツウォレット)」を仮想通貨交換業者や事業者向けとして提供しています。
HashPortでは、ウォレット開発のプロとして培ってきた豊富なノウハウを活かし、仮想通貨の秘密キー管理において安全性と利便性のさらなる向上を実現しています。
③NFT事業
HashPortでは、NFT事業に特化した100%子会社として20年3月に株式会社HashPaletteを設立しており、NFTの発行や管理、流通を行うためのプラットフォームを提供しています。
HashPaletteは、コンソーシアムブロックチェーンである「Palette(パレット)」の開発および運営、日本初となるIEOを実施したトークン「PLT」の発行のほか、NFTマーケットプレイス「PLT Place」の運営を手がけるなど、NFT流通のさらなる活性化と発展のために尽力しています。
②HashPortが手がけているプロジェクト
2-1.Fressets Wallet(フレセッツウォレット)
前述の通り、HashPortではエンタープライズウォレット「Fressets Wallet(フレセッツウォレット)」の展開を行っています。
Fressets Walletプロジェクトは元々、21年3月にHashPortが法人事業者向けのウォレット開発企業フレセッツ(Fressets)株式会社の全株を取得し、事業譲渡が行われたことからスタートしました。
当時、HashPortのCEOである吉田世博氏は、エンタープライズウォレットについて、仮想通貨関連領域の中でも特に大きな成長が期待できる領域であると語っており、アメリカでは機関投資家の参入や仮想通貨規制の複雑化によって、高度な専門性を持つウォレット・カストディ領域へのニーズが高まっていることを挙げました。
しかしその一方で、仮想通貨交換業向けのウォレットは高い技術力とセキュリティ性が求められるため、日本国内においては選択肢が限られているという懸念を提示し、海外の製品をそのまま国内で利用するのではなく、日本の規制に対して最適化され、日本語で細やかなサポートを受けることができるワンストップ型のサービスを提供したいという旨を語っていました。
このような背景から、フレセッツが有する高い技術力を持つ開発チームと、仮想通貨交換業に対する豊富なコンサルティング経験を有するHashPortが協力をすることによって誕生したのが、このFressets Walletです。
Fressets Walletは、日本国内の仮想通貨交換業者における暗号キー管理において、最高レベルのセキュリティを誇るカストディウォレットとなっており、下記のような特徴を有しています。
- 産学連携の強みを活かした高い技術力
- 完全オフラインのコールド環境
- 暗号キーの管理に精通したエンジニアチームによるサポート
また、国内の事業者向けに四年にわたり安全に運用してきたという実績を誇っており、その信頼性には定評があります。
このほか、発注から最短5営業日というスピーディな導入が可能となっているため、暗号キー管理の安全性および利便性の向上を最速で実現することができるほか、新たな資産運用の手段としてますます注目を集めている「ステーキング」にも対応しているなど、クライアントのニーズにマッチしたウォレットとして知られています。
さらに、Fressets Walletは「一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)」が定める「グリーンリスト」に登録されている仮想通貨銘柄全18種類にも対応しているため、仮想通貨交換業者が新規通貨の上場をする際に、よりスピーディにカストディウォレットを導入することが可能となっています。
2-2.Palette Chain(パレットチェーン)
HashPortではNFT事業の軸として、100%子会社である株式会社HashPaletteを通してコンソーシアムブロックチェーンである「Palette(パレット)」の開発および運営を行っています。
このパレットブロックチェーンはNFTの発行や管理、そして流通までをサポートすることを目的として開発され、ネイティブトークンである「パレットトークン(PLT)」を発行することで、分散型プラットフォームとしての安定的な運⽤を目指しています。
さらに、NFTと仮想通貨という二つの新しいアセットの利⽤基盤を整備することによって、⽇本が世界に誇るコンテンツ産業をブロックチェーン技術によりさらにアップデートしていくということです。
パレットブロックチェーンは「イーサリアム(ETH)」を含むいくつかのブロックチェーンとの相互運用が可能であるほか、独自の手数料設計を用いることで、ユーザーの「ガスレス設計」および手数料の安定化、低価格化を実現しています。
また、日本が世界に誇るIP産業をより活性化させるため、IPのオリジンを日本に置いたブロックチェーンゲームやNFTコレクションの開発に注力しており、日本発コンテンツの流通をさらに強化することに注力するなど、世界に通用する日本発のブロックチェーンとして、その規模を拡大しています。
パレットブロックチェーンはこれまでにさまざまな企業やプロジェクトとのパートナーシップを締結しており、今後も多岐にわたるブロックチェーンゲームで採用される予定となっています。
パレットチェーンの「パレットトークン(PLT)」とは?
パレットトークンは22年12月10日現在、0.06747ドル(9.21円)で取引が行われており、時価総額は2,723.8万ドル(約37.1億円)、時価総額ランキングは3,299位となっています。
また、パレットトークンは主に、下記のようなユースケースを有しています。
- NFT発⾏⼿数料の⽀払い
- パレットチェーンのノード運⽤報酬の⽀払い
- パレットコンソーシアムのメンバーへの委任
- サブスクリプション決済
- NFTの購⼊
パレットトークンの詳細については、以下の記事をご参照ください。
2-3.NFTマーケットプレイス「PLT Place」
HashPaletteはパレットチェーンを基盤とするNFTマーケットプレイス「PLT Place」を運営しています。PLT PlaceではCryptoNinja Party!をはじめとする、さまざまなブロックチェーンゲームに関連するNFTアイテムが多数取り扱われています。
このPLT Placeでは、パレットトークンを利用したNFTの取引が可能となっているため、人気のNFTコレクションがリリースされPLT Placeの需要が拡大するのと同時に、パレットトークンの利用も拡大することになります。
③大企業との提携
3-1.SMBCグループとの業務提携
22年12月8日、HashPortおよび連結子会社であるHashPalette、HashBankは、「株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)」および連結子会社である「株式会社三井住友銀行」との間で、業務提携についての基本合意書を締結したことを明らかにしました。
SMBCグループは今回、譲渡不可能なNFTである「SBT(ソウルバウンドトークン)」の活用に向けた研究をスタートすることを発表しており、HashPortとの提携によって、両グループは「SBT」の実用化を軸とする新規共同事業の立ち上げに向けて、具体的な検討を開始すると説明しています。
なお、SMBCグループは業務提携を受けて行われる実証実験の第1フェーズとして、23年3月末を目処としてHashPortグループの技術サポートを受けながら、試験的な「SBT」の発行を実施する予定であると発表しています。
また、第2フェーズでは、上記の実験結果を元として、行動・経歴証明としての「SBT」活用シーンを想定した実証実験を行うということです。
なお、第2フェーズでは、トークンを駆使したマーケティングの実施またはファンコミュニティの形成などを検討する企業からの協力を受けながら、「SBT」のユースケースの具体化に向けた実験も検討していくとしています。
3-2.MetaSolare Pte. Ltd.とのパートナーシップ
22年8月22日、HashPortおよび連結子会社であるHashPalette、HashBankは、シンガポールに本社を構える「MetaSolare(メタソレア)」との間で、Web3.0時代の「分散型エンターテインメント・エコシステム」構築に向けたパートナーシップ契約を締結しました。
MetaSolareとは、500名以上のギルド運営経験を持つKENTARO BEPPU氏や、日本を代表するエンターテインメント企業「エイベックス株式会社」のWeb3/Blockchain Technology AdvisorであるASAHI IWANAGA氏のほか、エイベックスの創業者として知られるMASATO MATSUURA氏、グラミー賞に2回ノミネートされた実績を持つクロスジャンルアーティストSTEVE AOKI氏など、各業界のエキスパートを集めたエンターテインメントプロジェクトとなっています。
HashPortではMetaSolareの発展をグループ全体でサポートするとしており、中でも子会社であるHashPaletteは、パレットチェーンとメタソレアチェーンにおけるクロスチェーンブリッジの開発や、GameFiプロダクトの相互運用のほか、エイベックス・グループのサポートを受けたIPの共同開発などを進めていくとしています。
④まとめ
HashPortはブロックチェーンの社会応用への可能性を拡げることを目指すソリューションプロバイダーとして、100%子会社であるHashPaletteおよびHashBankとともに、グループ全体でWeb3.0時代における「トークンエコノミー」の仕組み作りを進めています。
22年に入ってからは、SMBCグループとの業務提携やMetaSolareとのパートナーシップ契約の締結などが話題となっており、ブロックチェーン・テクノロジーを駆使した新たなサービスの展開に尽力しています。
HashPortは今後も「すべての資産をデジタル化する」というミッションに向けて、ブロックチェーン・テクノロジーをさまざまな領域と融合させ、新たな価値を生み出していくと見られているため、引き続きその動向が注目されるでしょう。
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