INPEXのESG・サステナビリティの取り組みや将来性は?株価推移、配当情報も
ESGやサステナビリティが投資家から重視されるようになり、新たなビジネスチャンスにも繋がることから注力する企業も増えています。
INPEXは石油をはじめとしたエネルギー事業を展開していますが、ESGではどのような取り組みをしているのでしょうか。今回はINPEXのサステナビリティ関連の取り組み、株価推移や近年の業績について紹介します。
※2023年2月27日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- INPEXの概要
- INPEXのESGに関する取り組み
2-1.ネットゼロ5分野の推進
2-2.クリーンエネルギーへの転換のための研究開発活動 - INPEXの10年間の株価推移と業績
3-1.10年間の株価推移
3-2.業績 - INPEXの将来性
- INPEXの配当・優待情報
- まとめ
1.INPEXの概要
銘柄 | INPEX |
証券コード | 1605 |
株価 | 1,445円 |
PER(会社予想) | 6.99倍 |
PBR(実績) | 0.50倍 |
配当利回り(会社予想) | 4.43% |
※2023年2月27日のデータ
INPEXは石油・天然ガスなどの権益を国内外に持つ、大手のエネルギー開発企業です。1941年に帝国石油として設立され、海外における油田開発、国内のガス田の開発などを推進してきました。2021年には、国際石油開発帝石株式会社から株式会社INPEXへ社名変更されました。
現在は世界のエネルギー需要に応えるため、多様なエネルギーを安定的・効率的に供給しています。世界20数か国でプロジェクトを展開しており、その1つはアブダビの海上油田プロジェクトです。アラブ首長国連邦のアブダビ沖合において、海上油田の開発・生産事業に参画しています。
日本では新潟県のガス田を中心に石油と天然ガスのプロジェクトを推進し、天然ガスのパイプラインやNLG受け入れ基地のオペレーションを行っています。富山の建設工事が2016年に完了し、国内1,500kmの天然ガスパイプラインネットワークを保有しています。
2.INPEXのESGに関する取り組み
INPEX社はその事業内容から、サステナビリティ・ESG重視の経営へシフトしている企業でもあります。
2-1.ネットゼロ5分野の推進
INPEXでは、2050年に自社排出ネットゼロの目標を掲げています。「Energy Transformationのパイオニアとして」と銘打ち、クリーンエネルギーを安定供給することを基本方針としています。
気候変動対応に関する中長期の目標として、2030年にGHG(温室効果ガス)排出原単位の30%以上の低減、メタン排出原単位を現状の低レベル(約0.1%)で維持などを定めています。
その実現のため、以下のネットゼロ5分野の事業を加速度的に拡大していきます。
- 水素・アンモニア
- 石油・天然ガス分野のCO2低減(CCUS)
- 再生可能エネルギー
- カーボンリサイクル・新分野
- 森林保全
水素・アンモニアでは2030年頃までに3件以上の事業化を実現し、年間10万トン以上の水素・アンモニアの生産・供給を目指します。CCUSでは2030年頃にCO₂圧入量年間250万トン以上達成を目標とし、技術開発・事業化を推進していきます。
再生可能エネルギーに関しては、洋上風力・地熱発電事業を中心に、M&A等により取得した資産をプラットフォームとして事業を拡大。市場における主要なプレーヤーとなることを目指しています。
カーボンリサイクルではメタネーション(メタンの合成技術)の社会実装を推進します。2030年を目途に年間6万トン程度の合成メタンを同社のパイプラインで供給することを目指すとともに、更なる発展を追求していく方針です。また、森林保全によるCO2吸収を目的とした事業を、支援から事業参画へ強化・拡充していきます。
2-2.クリーンエネルギーへの転換のための研究開発活動
I-REHEX(アイレックス)とは、クリーンエネルギー技術の開発・高度化に係るネットワークの拠点で、2022年2月に発足しました。I-RHEX は、石油天然ガス開発技術のクリーンエネルギー技術への応用や先進技術の研究・開発を行う開かれた拠点です。
同社の有する技術や人材の活用に加えて、広く企業や大学、研究機関等との連携・協働を通じて、同社の Energy Transformation(EX)への対応を進めるとともに、広く社会の EX に貢献できる拠点となることを目指しています。
研究対象は、CO2地下貯留技術、エネルギーシステムの脱炭素化技術、水素・アンモニア・メタネーションの3つに分けられます。
CO2地下貯留技術 | CO2を地下に圧入・貯留する技術 |
脱炭素化技術 | CO2排出の少ないエネルギー製造や効率的なCO2捕集方法などの技術開発 |
水素・アンモニア・メタネーション | エネルギー輸送・貯蔵技術、メタネーション技術の開発 |
メタネーションは、水素とCO2を化学反応させ、都市ガスの主成分であるメタンを合成する技術です。製造時の原料として排気ガスなどから回収したCO2を用いるため、燃焼時にCO2を排出するものの、トータルでの大気中のCO2は増加しない仕組みです。
3.INPEXの10年間の株価推移と業績
ここからはINPEXの株価推移や近年の業績について解説します。
3-1.10年間の株価推移
2014年から同社の株価は伸び悩みを見せており、2020年には500円台となりました。しかし2021年から上昇し、2022年6月には2014年を上回る1,800円台をマークしました。
直近ではやや下落しましたが、執筆時点では1,400円台をキープしており、近年では高めの水準となっています。下げ止まりの可能性もあり、今後再び上値を狙う展開になるのかに注目です。
3-2.業績
直近4年間の業績推移は下記のとおりです。
項目 | 2019.12 | 2020.12 | 2021.12 | 2022.12 |
---|---|---|---|---|
売上高 | 10,000 | 7,710 | 12,443 | 23,246 |
営業利益 | 4,986 | 2,484 | 5,906 | 12,464 |
経常利益 | 5,110 | 2,573 | 6,576 | 14,382 |
単位:億円(1億円以下切り捨て)
2022年12月期では、売上高が対前年86.8%増、営業利益は 111%増、経常利益は118.7%増と大幅に拡大しました。原油・天然ガス(LPG除く)ともに価格が高騰したことが要因です。
2023年12月期に関しては、その反動で原油価格は24%下落、為替も5%下落すると見込んでおり、予想される売上高は対前年で-19%の1兆8,850億円としています。
4.INPEXの将来性
INPEXの将来性について、ESGと業績の両面から考察していきます。まずESGについては、ネットゼロ5分野の推進を中心に、気候変動分野への取り組みが数多く見られます。水素・アンモニア、カーボンリサイクルでのメタネーションなど、エネルギー分野における次世代技術に多く投資しており、今後の成果が期待されます。
サステナビリティ・ESGは一時的な取り組みではなく、同社の中期経営計画書においても、2050年度までの目標を含めて明記されています。また、決算説明会資料でも主要な事業活動トピックスとして解説されており、同社がいかに重要視しているかが伺えます。
次に業績ですが、2022年12月期は資源価格の高騰や為替レートの影響により、売上高や営業利益が大きく拡大しました。その反動で2023年12月期は対前年でやや減少を見込んでいますが、2021年12月期よりは大幅な拡大を予定しています。
資源価格がある程度落ち着くことはあっても、度を越した急落はあまり想定されないため、短期での経営上のリスクにはならないでしょう。その一方で、石油と天然ガスに大きく依存する事業形態であることには変わりないため、今後はクリーンエネルギーの事業化をいかに加速化していけるかが重要となります。
5.INPEXの配当・優待情報
1株あたり年間配当 | 2022年12月期実績:62円 2023年12月期予定:64円 |
主な株主優待 | なし |
「中期経営計画 2022 – 2024」では株主への還元方針も示されており、2022年度から2024年度の中期経営計画期間中は、総還元性向40%以上を目安としています。1株当たりの年間配当の下限を 30 円に設定するなど、安定的な配当を基本としています。
今後は事業環境、財務体質、経営状況等を踏まえた自己株式取得を含む、業績の成長に応じた株主還元の強化に取り組む方針です。
まとめ
INPEXの事業内容、ESGの取り組み、近年の業績や株価推移について解説してきました。石油や天然ガスを中心とした事業内容のため、サステナビリティ関連への取り組みも数多く行っています。
今後は、クリーンエネルギー事業の拡大をいかにスピードアップできるか、既存事業のCO2排出をいかに減らせるかが重要となってくるでしょう。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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