アパート経営を始める際に取得しておくと役立つ資格は?4つの取得方法を解説

アパート経営に法的に必要の資格というものはありません。しかし、資格取得の学習の際に得られる知識を得られたり、経営上の信頼を獲得できたりなどの様々なメリットもあります。

本記事では、アパート経営を始める際に取得しておくと役立つ資格にはどのようなものがあり、それらの資格はどのようにアパート経営に役立つのかについて解説していきます。

目次

  1. アパート経営に役立つ資格と得られる知識
    1-1.賃貸不動産経営管理士
    1-2.宅地建物取引士
    1-3.ファイナンシャルプランナー2級
    1-4.不動産実務検定
  2. アパート経営に役立つ資格の取得方法
    2-1.賃貸不動産経営管理士
    2-2.宅地建物取引士
    2-3.ファイナンシャルプランナー2級
    2-4.不動産実務検定
  3. まとめ

1.アパート経営に役立つ資格と得られる知識

民間資格の不動産実務検定は、不動産運用にまつわる実践知識を体系的に網羅した不動産投資専門資格であり、不動産投資にすぐに役立つ基礎知識を身に付けるのに適しています。

1-1.賃貸不動産経営管理士

アパート経営は、入居者との賃貸借取引や関連する管理対応、建物の維持管理が最も重要な業務であることから、賃貸住宅の適正な管理に関する知識が得られる賃貸不動産経営管理士が役に立つといえます。

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理に関する知識や技術を持ち、適正な管理業務を行うことができる専門家に必要な知識を問う資格試験です。

管理受託契約に関する事項、賃貸住宅の維持管理に関する事項、賃貸住宅に関連する金銭管理に関する事項、賃貸借契約に関する事項を学ぶことができます。借地借家法や民法の基礎知識のほか、建物設備やその修繕に関する建築知識も身に付けることができます。

アパート経営では、家賃収入が主な収入源となり、入居者との賃貸借取引や関連する管理対応、建物の維持管理が最も重要な業務となります。賃貸不動産経営管理士は、アパート経営の柱となる業務に関する知識を一通り身に付けることができる資格であるといえるでしょう。

1-2.宅地建物取引士

宅地建物取引業をおこなう者の必須資格である宅地建物取引士も、不動産に関する全般的な法律知識を得ることができ、アパート経営に役立つ資格といえるでしょう。

宅地建物取引士は、宅地や建物の売買、賃貸借の代理取引などを業務としておこなう者に設置を義務付けられた資格です。宅地建物取引業者が免許を得るために取得しなければならない資格であり、不動産に関係する法律知識を網羅的に学習するのが特徴です。

宅地建物取引業に関する法律知識を軸に、土地の所有や利用に関連する民法知識や、都市の土地利用や市街地開発に関する都市計画法の知識、建物の建築基準を定める建築基準法の知識などの法律知識を見付けることができます。その他、税金に関する知識や土地建物の評価に関する知識も学ぶことができます。

アパート経営では、アパートの購入、売却時や権利関係のトラブルがあったときには、不動産に関する全般的な法律知識が役立ち、宅地建物取引士の資格が大いに役立つでしょう。

特に、宅地建物取引業法では、免許を受けていない者が宅地建物取引業を営むことを禁止しています。不動産投資でこの宅地建物取引業に該当するような行為をおこなう場合、宅建資格が必要になるといえるでしょう。

短期間に購入や売却を繰り返したり、自ら購入者を募って売却したりなどの経営戦略を考える際は、「反復継続性」によって業法違反になる可能性があります。宅地建物取引業法は、免許を受けていない者が宅地建物取引業を営むことを禁止しており、これに違反すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に科されることがあるのです。(※宅地建物取引業法79条)

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1-3.ファイナンシャルプランナー2級

ファイナンシャルプランナー2級は、ライフプランニングにおける資金計画の立て方を学習することから、アパート経営を黒字運営する資金計画を練る能力を身に付けるのに役に立つでしょう。

FP(ファイナンシャルプランナー)は、顧客の現状の収入や資産・負債などを分析して、長期的な資金計画を立て、貯蓄計画、保険・投資対策などの総合的な資産設計もおこなう専門家のための資格です。

2級では、ライフプランニングの方法やローンの仕組み、保険の種類や仕組み、そして金融商品の種類や仕組み、タックスプランニング、相続・事業承継の基礎の他、不動産に関する法制度、税務、不動産投資について学ぶことができます。

アパート経営では、家賃収入からローンを返済し維持管理費・修繕費などを捻出しながらも運用益を出していく資金管理が求められます。ファイナンシャルプランナーの資格を取ることで、長期的な資金計画を立てる能力が身に付くのみならず、不動産法制や不動産税務、不動産投資の基礎を学ぶことができ、アパート経営に役に立つ資格といえるでしょう。

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1-4.不動産実務検定

不動産実務検定は、大家さんのために、不動産運用にまつわる実践知識を体系的に網羅した日本初の不動産投資専門資格です。ライフプランニング、不動産投資、満室経営、税金対策、建築、ファイナンス、土地活用コンサルティングなど幅広い知識を学ぶことができます。

ただし、上述した資格と異なり、一般社団法人日本不動産コミュニティーが運営する民間資格になります。2級では、社会経済における賃貸経営、不動産投資の基礎、ライフプランニング、不動産関連法規、不動産税務、不動産ファイナンス、満室経営のための管理実務、管理委託契約と賃貸借契約、賃貸経営のリスク対策、リフォームの基礎などを学びます。

不動産実務検定は、アパート経営にすぐに役に立つ知識を網羅的に効率よく学ぶことができる資格であるといえるでしょう。

2.アパート経営に役立つ資格の取得方法

アパート経営に役立つ資格と、それぞれの資格取得によってどのような知識を得ることができるのかがお分かりいただけたかと思います。ここでは、それぞれの資格の取得方法についてみていきましょう。

2-1.賃貸不動産経営管理士

8月~9月に受験申込をし、11月第3日曜に試験、翌年1月初旬に合格発表というのが、毎年のスケジュールです。

出題範囲は、管理受託契約に関する事項、管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項、家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項、法に関する事項のほか、管理業務に関する事項となっています。「賃貸不動産管理の知識と実務」という指定の基本書が発行されています。

出題形式は、四肢択一の50問であり、試験時間は120分となります。合格ラインは約7割の正答であり、合格率は30%程度になります。なお、賃貸不動産経営管理士講習を受講することで、50問中5問が免除になります。

※出典:賃貸不動産経営管理士

2-2.宅地建物取引士

7月までに受験申込をし、10月第3日曜に試験、11月下旬に合格発表というのが、毎年のスケジュールです。出題内容は、宅地建物取引業法に関する事項、土地建物の権利や権利変動に関する事項、土地建物にかかる法令上の制限に関する事項、宅地や建物についての税に関する事項、宅地や建物の評価に関する事項などとなっています。

出題形式は、四肢択一の50問であり、試験時間は120分となります。合格ラインは約7割の正答であり、合格率は15%程度になります。なお、宅地建物取引業に従事している方は、登録講習を受講することで、50問中5問が免除になります。

※出典:不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要

2-3.ファイナンシャルプランナー2級

2級および3級のファイナンシャルプランナー技能検定は、1月、5月、9月の年3回受験機会があります。試験日の2カ月前に受験申請をし、合格発表は、受験日の約1カ月後となります。

主題内容は、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継、となっています。学科試験は4肢択一が40問、実技試験は、択一と記述の混合問題が40問出題され、試験時間はそれぞれ、120分と90分です。合格ラインは6割の正答が基準となっており、合格率は約40%~50%程度と高くなっています。

なお、ファイナンシャルプランナーとして活動する際は、2級ファイナンシャルプランナー技能検定に合格した者に対して、日本FP協会が研修をおこなって認定するAFP資格を取得することが多いといえます。

※出典:NPO法人日本FP協会「FP技能検定

2-4.不動産実務検定

不動産実務検定は、試験会場の予定に合わせ、受験者の都合の良い日に随時受験することができます。60分で50問の4肢択一問題となり、合格の目安は70%の正答となります。

出題範囲は、2級は、賃貸管理運営実務に関する知識が問われ、1級は不動産投資に関する高度な実務知識が問われます。検定用の認定講座が設けられており、認定講座を修了すれば5問免除のうえ、受験対策をすることができます。

※出典:日本不動産コミュニティー「不動産実務検定

まとめ

アパート経営には、法的に必須の資格というものはありません。しかし、経営上に役立つ資格を持っておくことで、投資判断に活かせる知識を得られたり、取引相手から信頼を獲得するような効果が期待できます。

国家資格では賃貸不動産経営管理士が賃貸住宅の適正な管理について網羅的に学習でき、役に立ちます。宅地建物取引士は、より幅広い不動産に関する法律を学ぶことができ、不動産売買やトラブルの対応などで活用できる資格です。

不動産投資家の方それぞれが必要と考える知識内容や、取得方法を考慮した費用対効果をみて、取得するかどうかを検討してみましょう。

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