アップル、25年までに全電池に再生コバルト使用へ。各社が再生原料・素材の利用を推進
米アップル(ティッカーシンボル:AAPL)は4月13日、2025年までに全電池に再生コバルトを使用すると発表した(*1)。責任ある原材料と再生素材の調達を推進し、30年カーボンニュートラル達成を目指す。持続可能な社会の形成に向け、各社が責任ある原材料と再生素材の調達を進めている。
アップル製品の100%リサイクルされたコバルトの使用率は、21年が13%、22年が25%だった。これを25年までに100%に引き上げる。コバルトは、アップル端末を含む殆どの家電製品で搭載されるリチウムイオン電池のクリティカルマテリアル(重要な原材料)となる。ただし、コバルトは採れる地域に偏りがあり、コンゴが埋蔵量の約半分を占めている。19年には、米IT大手などが同国のコバルト鉱山で児童労働を容認していたとして訴訟を起こされていた。
アップルは責任ある原材料および再生素材の調達を推進すべく、鉱物の新規採掘を抑えると共に、採掘で生計を立てるコミュニティを直接支援する方法も模索する。たとえば、Fund for Global Human Rightsのような専門家と協働し、アフリカ大湖地域などで採掘現場の労働者の人権や環境保護をサポートするほか、採掘ビジネスから離れて新たな職業機会を得るためのスキルを習得する職業訓練プログラムも提供する。
また25年までに、アップル端末に内蔵される磁石には全てリサイクルされた希土類元素を、アップルが設計した全プリント回路基板には100%リサイクルされたスズはんだと金メッキを使用する方針だ。現在、アップル製品に使われているアルミニウムの3分の2以上、レアアースの約4分の3、タングステンの95%以上が再生素材となる。
持続可能な社会の形成に向け、各産業の有力プレーヤーが責任ある原材料と再生素材の調達を進めている。仏化粧品大手ロレアル(RO)は3月21日、米バイオテック企業のジェノマティカが主導するベンチャー企業に出資および創立メンバーとして参画すると発表した。責任あるパーム油代替原料の使用を拡大し、30年までに原料の95%を再生可能なものにする目標達成を目指す(*2)。食品・飲料世界大手ネスレ(NESN)は22年10月、主力菓子ブランド「キットカット」の包装材料に80%再生プラスチックを使用すると発表した(*3)。
【参照記事】*1 アップル「Apple will use 100 percent recycled cobalt in batteries by 2025」
【参照記事】*2 ロレアル「L’ORÉAL INVESTS IN BIOTECHNOLOGY VENTURE TO SCALE DEVELOPMENT OF PLANT-BASED INGREDIENTS FOR SUSTAINABLE BEAUTY」
【関連記事】*3 ネスレ、「キットカット」「クオリティストリート」の包装材を大幅刷新。30億個以上の包装材を削減へ
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