千代田区で不動産投資をするメリット・デメリットは?特徴や利回り、注意点も
東京都中心部の一つ千代田区は、都心ならではの利便性の高い暮らしができるため、賃貸需要が見込めるエリアです。しかし、オフィス街が大部分を占めており、居住用物件は高額になりやすいという特徴もあります。
そこで今回のコラムでは、こうした特徴や注意点も踏まえ、千代田区で不動産投資をするメリットとデメリットについて解説していきます。
目次
- 千代田区の特徴
- 千代田区で不動産投資をするメリット
2-1.家賃相場が高い
2-2.人口が増加している - 千代田区で不動産投資をするデメリット・リスク
3-1.物件価格が高く、入手しにくい
3-2.利回りが低く、大きな利益は狙いにくい - 千代田区での不動産投資における注意点
- まとめ
1 千代田区の特徴
東京都千代田区は、港区、中央区とともに「都心3区」と呼ばれ、東京都の中心地の一つです。東京駅のほか、3大メガバンクの本店、総合商社や新聞社、製造業などの大手企業の本社、経団連や農協などの経済団体の本部なども集積しています。また、皇居をはじめ、国会議事堂や内閣総理大臣官邸、最高裁判所など政治・行政・司法の関連施設も千代田区内に点在しています。
一方、千代田区の人口は東京23区で最も少ないのが大きな特徴で、最も多い世田谷区の10分の1以下になっています。ただし昼間人口は約13倍の903,780人で、他地域から通勤などで千代田区に来ている人が多いことを示しています。(※参照:千代田区「令和2年国勢調査」)
そのほか、千代田区の基本的な情報は下記になります。
- 面積…11.66㎢
- 人口…68,296人(2023年4月1日時点)
- 世帯数…38,960世帯(2023年4月1日時点)
- 昼間人口…903,780人(2020年10月1日時点)
東京23区の中では19番目の広さで、最も広い大田区の3分の1程度となっています。また中央に皇居があり、千代田区全体の15%を占めています。面積は広くないものの人口が東京23区内で最も少ないため、人口密度も最も低くなっています。
2 千代田区で不動産投資をするメリット
千代田区の特徴について前述しましたが、それらを踏まえた上で千代田区で不動産投資をするメリットを見て行きましょう。
2-1 家賃相場が高い
千代田区はオフィスビルなどが多い一方、居住用物件は少ないという特徴があります。また官公庁の施設や大手企業の本社も多数あるため、社宅に対する需要もあります。このような背景から見て、住宅需要が多いエリアと考えられます。
下記の表は、国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査」から、東京23区の平均家賃の上位5番目までを抜粋したものです。
順位 | 区 | 平均家賃 |
---|---|---|
1位 | 港区 | 183,789円 |
2位 | 千代田区 | 156,531円 |
3位 | 中央区 | 131,776円 |
4位 | 渋谷区 | 126,857円 |
5位 | 目黒区 | 106,855円 |
※出典:国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査」より抜粋
千代田区は港区に続いて東京23区で2番目に平均家賃が高いことがわかります。また、世帯主の年齢を65歳以上に限定すると、千代田区の平均家賃は下記のように東京23区で最も高くなります。
順位 | 区 | 平均家賃 |
---|---|---|
1位 | 千代田区 | 194,853円 |
2位 | 港区 | 163,608円 |
3位 | 中央区 | 115,497円 |
4位 | 文京区 | 109,366円 |
5位 | 渋谷区 | 97,597円 |
※出典:国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査」より抜粋
賃貸需要が多く、家賃水準も高いため、千代田区は不動産投資の対象エリアとして適した要素を持っていると考えられます。
2-2 人口が増加している
全国各地で人口減少が顕著になっていますが、千代田区は人口が増加しており、今後も上昇していくと推測されています。
下記は、千代田区「町丁別世帯数および人口(住民基本台帳)」から抜粋した千代田区の人口と世帯数の推移です。
集計日 | 人口総数 | 世帯数 |
---|---|---|
2018年4月1日 | 61,875人 | 34,753世帯 |
2019年4月1日 | 64,584人 | 36,409世帯 |
2020年4月1日 | 66,467人 | 37,449世帯 |
2021年4月1日 | 67,140人 | 37,829世帯 |
2022年4月1日 | 67,276人 | 38,002世帯 |
2023年4月1日 | 68,296人 | 38,960世帯 |
※出典:千代田区「町丁別世帯数および人口(住民基本台帳)」より抜粋
東京都全体ではコロナ禍の影響で人口が減少する傾向がありましたが、千代田区では影響は見られず、毎年人口と世帯数が増加しています。コロナ禍前の2018年と比べると、5年間で人口は約7,000人、世帯数は約4,000世帯増えています。
家賃相場が東京23区でも高い位置にある千代田区ですが、それでも人口と世帯数が増えているということは、それだけ根強い住宅需要があると考えられます。
3 千代田区で不動産投資をするデメリット・リスク
一方、千代田区で不動産投資を行うデメリットやリスクについても確認しておきましょう。
3-1 物件価格が高く、入手しにくい
千代田区は都心にあるため、物件価格が高額になりがちです。下記は千代田区の住宅地の地価公示価格の推移です。
集計日 | 住宅地の平均地価 |
---|---|
2018年1月1日 | 2,502,000円 |
2019年1月1日 | 2,600,000円 |
2020年1月1日 | 2,711,000円 |
2021年1月1日 | 2,688,000円 |
2022年1月1日 | 2,638,000円 |
※出典:千代田区「行政基礎資料集」より抜粋
2019年をピークに下落していますが、それでも平方メートルあたり260万円以上となっており、物件価格に反映されていると考えられます。
実際、三井のリハウスで販売されている千代田区の中古マンションの平均価格は、2023年4月16日時点で1億5,330万円となっています。これは、東京23区内では2番目に位置しています。
順位 | 区 | 平均価格 |
---|---|---|
1位 | 港区 | 1億5,722万円 |
2位 | 千代田区 | 1億5,330万円 |
3位 | 渋谷区 | 1億804万円 |
4位 | 中央区 | 9,610万円 |
5位 | 品川区 | 8,022万円 |
また、国土交通省の「土地総合情報システム」で、千代田区で売買が成立した中古マンションの価格の例を見てみると、下記のようになっています。
場所 | 取引価格 | 間取り(専有面積) | 築年数 |
---|---|---|---|
千代田区神田須田町 | 13,000万円 | 3LDK(65㎡) | 2015年 |
千代田区飯田橋 | 4,400万円 | 1LDK(45㎡) | 1982年 |
千代田区神田須田町 | 7,000万円 | 1LDK(40㎡) | 2018年 |
千代田区内神田 | 2,300万円 | 1K(20㎡) | 2005年 |
千代田区神田佐久間町 | 3,900万円 | 1K(30㎡) | 2006年 |
※参照:国土交通省「土地総合情報システム」
築20年以内の中古マンションであれば、下記のような価格帯が多くなっています。
- 20〜30㎡程度のワンルームおよび1K…2,000万円〜4,000万円
- 50㎡以上のファミリー向け物件…5,000万円以上
このように物件価格が高額になると、購入者が限られることになります。多額の自己資金が必要になることに加えて、融資を獲得するには融資元の金融機関にオーナーの属性が審査されるからです。高額物件であればより審査が厳しくなると考えられ、属性によっては融資が得られない可能性があることもデメリットの一つです。
3-2 利回りが低く、大きな利益は狙いにくい
不動産投資では物件が高額になると利回りが低く、大きな利益は狙いにくくなります。特に築浅物件は価格設定は高額ですが、それに応じて家賃設定が特別高くなるわけではありません。
例えば、不動産総合ポータルサイトの「LIFULL HOME’S」で千代田区の投資マンションを検索すると、築20年未満の物件は51件が表示されます。そのうち物件が多いゾーンは、2,500万円前後のワンルームで年間想定収入が100万円前後となっています。これらの物件の利回りは概ね2%〜4%台となります。ローン残高や返済期間によっては利益が出にくく、修繕費などの大きな出費があると赤字運営といった事態に陥ることも考えられます。
また、高額物件を購入する際に注意したいのは、景気が悪くなることも想定して出口戦略を見越した物件選びをすることです。景気が良い時は賃貸需要もあり、売却できる可能性がありますが、景気が悪くなると家賃設定が高いことから空室期間が長くなり、さらに売却しようとしても難しくなると考えられます。高額物件を購入するには、このようなリスクがあることも把握しておきましょう。
4 千代田区での不動産投資における注意点
前述したように、千代田区の地価は高水準で推移していますが、下落傾向にあるのも確かです。そのため今後の景気の動向や、周辺エリアの開発計画などによっては地価の大きな変動も考えられます。不動産投資では出口戦略にも影響が及ぶ可能性があるため、周辺エリアの開発計画などについて確認するようにしましょう。
千代田区では、2022年11月に「地区計画の見直し方針」を策定しており、それによると千代田区内では41の地区計画が進められています。そのうち再開発型の地区計画は下記のように5つあります。
- 永田町二丁目地区
- 霞が関三丁目南地区
- 飯田橋駅西口地区
- 紀尾井町南地区
- 内幸町一丁目北地区
これらの計画の内容によっては、不動産投資を検討している候補地にも影響が及ぶことがあります。このような開発計画を確認しながら千代田区の将来像を把握し、賃貸需要がどのように推移するかも見極めるようにしましょう。
まとめ
千代田区で不動産投資を行う際のメリットとデメリットについて解説しました。人口増加が続く千代田区は、豊富な住宅需要があり、不動産投資に適していると考えられます。
ただし、物件価格が高く、利回りが低くなりがちといったデメリットもあります。多額の不動産投資ローンを活用した運用方法では、キャッシュフローを生み出しにくくなるため、一定以上の初期費用が掛かってしまうという点に注意が必要です。
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