為替介入でドル円はいくらになる?為替介入の予想方法やポジションの取り方も
2023年6月現在、為替市場ではドル円やユーロ円、ポンド円が大幅に上昇しており、クロス円全体が円売りトレンドになっています。マーケット参加者からは、日本の物価上昇率がなかなか低下しない中で、為替介入が再度入るのではないか?との思惑が出始めています。
本記事ではプロトレーダーの筆者が、為替介入が起きるタイミングの予想や、為替介入後の値動きを解説します。IG証券でのトレード方法も画像付きで紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
※本記事は2023年6月29日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
1.為替介入とは
為替介入とは、為替市場において過度な変動が発生した場合に通貨当局の財務省と日銀が連携して、市場で売り買いを行い、過度な値動きの抑制を目標に行う操作です。過度な変動を抑制するための操作であり、為替レートの水準そのものをターゲットにしているわけではありません。
2022年10月には、ドル円が152円手前まで上昇する動きの中で、ドル売り円買いの為替介入が行われました。
2.為替介入を予測するための方法
為替介入は突然行われるわけではありません。財務省トップ等が予め市場にコメントを出しながら、注意喚起を促す方法が取られます。
2023年6月現在、鈴木財務相が円安に進む過程でコメントを何度も出しています。コメントのレベルから為替介入が近いかどうかが判断できます。
段階別のコメントの例をプロトレーダーの筆者が解説します。
ステージ1(為替介入までの距離が遠い)
- 相場についてはコメントしない
- 市場動向に一喜一憂しない
ステージ2
- 為替市場の動向や京座への影響を引き続き見守る
- 為替相場は安定的に推移するのが望ましい
ステージ3
- 市場の動向を注意深く見守っている
- 市場動向を注意している
ステージ4
- 過度な相場変動は好ましくない
- 警戒感を持って市場動向を注視する
- 為替市場での過度な変動は日本経済に好ましくない
ステージ5
- 円相場は一方的な動きである
- 円安が急速に進みすぎている
ステージ6
- 明らかに為替相場は行き過ぎている
ステージ7
- 投機的な動きは容認できない
- 一方方向の動きが継続する場合は必要な対応を取る
ステージ8
- あらゆるオプションを廃墟せずに適切な対応を取る用意ができている
このように高官からのコメントで段階を踏んで警告して行きつつ、最終的に介入を行うということになります。高官のコメントが現在どのステージにいるのかで、警戒感がどの程度強まっているのか判断することができます。
昨年の9月に介入を行った際は神田財務官が、「あらゆる措置を排除せず必要な対応を取る準備がある」と発言した後2週間後に実際に介入が行われています。
参照:ブルームバーグ「過度な為替変動に「あらゆる措置排除せず必要な対応」-財務官」
為替介入が警戒されている場合、為替介入はできないだろうとの憶測の中、市場ではチキンレースのように円安が進みやすくなる傾向があります。財務省や日銀がいつ動くのかを試すような動きも出やすくなります。
短期的に円安で利益を出したいトレーダーや、為替介入までしっかりと待ってから大きく値幅を取りたい投資家など、様々な思惑が錯綜し、値動きが上下に荒くなりやすいという特徴があります。
2023年6月29日には、鈴木財務相が「一方的な動きや安定的でない動きは好ましくない」とした上で、「あらゆるオプションを排除せず適切な対応とる」と述べており、プロトレーダーの筆者としては、介入まで近いと判断しています。
参照:ブルームバーグ「為替の一方的な動き好ましくない、あらゆるオプション排除せず-財務相」
3.為替介入時のトレード戦略は?
為替介入は多くの場合、日本の単独介入です。単独介入は基本的に短期的な価格の変動が発生するだけであって、トレンドは変化しない場合がほとんどです。
一時的に急激な円高ドル安という動きになるものの、その後はしっかりと上昇する傾向があります。下落したタイミングはチャンスと捉えて買っていくトレード戦略は、選択肢の一つでしょう。
ただし、いつ底になるかは分からないため、買った位置からすぐに2円、3円と大きな値幅更で下落する可能性があります。一度に大きなポジションは作らず、複数回に分けてエントリーしましょう。
特に値幅が大きく発生するタイミングでは、エントリー回数と時間を分散し、リスク管理を行いましょう。
4.介入を意識したポジションの取り方
プロトレーダーの筆者が、IG証券のノックアウトオプションを使った、介入を意識したポジションの取り方を紹介します。ノックアウトオプションは損切り注文とエントリーがセットになった注文方法です。
トレードの際にはリスクリワード、すなわち損失と報酬の比率を考慮しましょう。2022年に為替介入があった際には、ドル円は4円程度の値幅が出ています。過去の動きを参考にすると4円(400pips)の利幅を期待できます。
もし144円台前半でショートした(売った)場合、損切りラインを146.10に設定すると、損失が出た場合は約160pip-170pipとなります。期待できる利益のほうが大きくなります。
リスクリワードが1:1の比率であれば再考の余地があるものの、為替介入の可能性が高まってきているため、利幅が取れると思った場合はエントリーしておくことも選択肢の一つでしょう。
※図はTradingViewより筆者作成
「144.33ショート、損切りライン146.10」と注文する場合、IG証券の画面では以下の注文の設定になります。
※取引画面より筆者作成
ベア=ショートを意味しています。下落方向のオプションを買うということです。ノックアウトオプションを利用すれば、損切りが難しいと感じているFX初心者の方でも、自動で損切を行えます。
実際にトレードする際には時間を分散し、複数のポジションを作りましょう。
5.まとめ
市場が落ち着いて円高方向にゆっくり推移すれば、為替介入は発生しない可能性もあります。しかし金融政策に乖離が見られる中で、円高方向のトレンドができにくい地合いではあります。円安が進み、為替介入が発生する可能性は意識しておきましょう。
IG証券のノックアウトオプションは、FX初心者でも損切りがやりやすいメリットがあります。損切りに心理的負担を感じる方は、利用の開始を検討してみてください。
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