地方の不動産投資で融資を受ける方法は?金融機関の探し方も
不動産投資では金融機関を利用した融資によるレバレッジをかけることができるのも、大きな特徴の1つです。金融機関を活用した資金調達により物件をいつでも購入できる状態であることは、不動産会社から条件の良い物件を紹介してもらうことにもつながります。
ただし、地方の不動産投資では東京都と比較して利用できる金融機関が限られてきます。地方不動産投資を検討する際は利用する金融機関について調査し、資金調達の戦略を練ることも重要となるのです。
そこで当コラムでは不動産投資で融資を受ける方法の詳細や、地方で金融機関を探す方法などについて紹介していきます。
目次
- 地方の不動産投資で融資を受ける方法
1-1.信用金庫・信用組合
1-2.地方銀行
1-3.日本政策金融公庫政策公庫 - 地方の不動産投資で融資を受けるために金融機関を開拓する方法
2-1.不動産会社からの紹介
2-2.知り合いの紹介
2-3.自身で営業活動を行う - 不動産投資で融資を受ける際の注意点
3-1.担当者や支店、季節によって審査の基準が異なる
3-2.クレジットカードの返済遅延履歴
3-3.口座に入金された頭金が多いほど審査にプラス
3-4.赤字の決算書・大幅な税金対策に注意
3-5.不動産投資ではなく「不動産経営」であると認識する - まとめ
1.地方の不動産投資で融資を受けやすい金融機関
不動産投資で活用する機会の多い金融機関が、地方の銀行や信用金庫・信用組合から融資を受ける方法です。銀行には大きく分けて、主に以下の4種類があります。
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫・信用組合
- ノンバンク
通常、個人投資家の資金力を加味すると融資の相談を行う選択肢は信用金庫・信用組合か地方銀行の2択となります。中でも不動産投資を目的とした融資で利用しやすいのは、信用金庫・信用組合です。
信用金庫は地域の中小企業を支援し地域を反映させるための金融機関で、地域の発展に貢献する事業へ融資が認められやすい特徴を持ちます。信用組合は信用金庫より更に規模が小さい金融機関で、組合員でなければ預金が行えないため注意が必要です。
都市銀行からの融資は、高収入の会社員である場合や特殊なコネクションがない限り融資が非常に難しい選択肢です。そのため、融資を検討する際に資産の預け先は、今後取引先となる可能性が高い都市銀行や信用金庫へ移動させるのも戦略の1つとなります。
またノンバンクは都市部でのアパートローンを取り扱うケースが殆どのため、地方の戸建不動産とは相性が悪い点にも注意しましょう。それぞれの金融機関で融資を受けるためには、収入や信用履歴、物件の価値などの調査を受けて審査に通る必要があります。
1-1.信用金庫・信用組合
信用金庫・信用組合は非営利団体のため、地域に貢献する事業であれば融資が通りやすいといった特徴を持つ金融機関です。基本的には中古戸建の不動産賃貸業など地方銀行では15年の長期間融資が難しいケースでも、信用金庫であれば融資が認められるケースも珍しくありません。
審査のスピードも地方銀行より素早く、築古戸建不動産投資での少額融資でも活用できる点も信用金庫や信用組合の特徴でしょう。さらに信用金庫・金曜組合は地方銀行に比べて、金融庁の影響による融資の締め付けに囚われにくいのも特徴となります。
ただし、地方銀行よりも対応エリアが小さいため、物件や移住地が営業エリアである必要がある条件が多いため注意が必要です。地方銀行に比べると審査基準が緩い傾向がある一方で、金利が高いケースが多いのも信用金庫や信用組合の融資を検討する際に押さえておきたいポイントでしょう。
1-2.地方銀行
地方銀行は各都道府県の駐年に本店を置いた、地域に密着して金融業務を営む機関となります。地域に密着した金融機関なので、対応エリアに住居している投資家には積極的な審査を期待できるのも地方銀行の特徴です。
基本的に地方銀行では10年以上の長期融資は難しくなりますが、保証協会を利用することで15年の長期融資を受けることができる可能性があります。保証協会とは担保が無い場合や連帯保証人が居ない場合に、手数料を支払うことで連帯保証人として資金調達をサポートする公益法人です。
特に信用が低い走り出しの不動産投資家であれば、保証協会を使用した「保証協会付融資」で資金調達を行うのが中心になります。逆に保証協会を使用しない融資をプロパー融資と呼び、不動産経営で長年信頼を積み上げることで利用できる融資です。
そのため、15年の長期融資を地方銀行で利用する場合には、保証協会の利用が必要になる点を押さえておきましょう。
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1-3.日本政策金融公庫政策公庫
不動産投資を始めたばかりでも利用しやすい資金調達方法が、日本政策金融公庫を利用した融資です。日本政策金融公庫とは小規模事業者など、事業に取り組む経営者を支援するための政策金融機関です。
その他には新型コロナウィルスによる影響や、災害の影響を受けた事業者を支援するための制度も設けられています。35歳以下の若年層やシニアが利用できる制度や新規開業資金など、複数設けられている制度から選択して不動産経営の融資として利用することが可能です。(※参照「令和5年度版 融資のご案内」)
また金融機関との相性が悪い属性が低い方でも、制度の条件を満たすことで、数百万程度の資金調達を行うことができるケースがあります。さらに日本金融政策公庫で利用できる貸付には、主に「一般貸付」と「特別貸付」の2種類があります。
開業から7年未満などの条件を満たした際には、金利の優遇処置や長期間貸付ができる「特別貸付」が利用できるケースもあります。
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2.地方の不動産投資で融資を受けるために金融機関を開拓する方法
2-1.不動産会社からの紹介
金融機関を開拓する方法としてメジャーなのは、物件を購入する際に関わっている不動産会社を通して金融機関の紹介を受ける方法です。不動産会社と金融機関は相互の営業成績を向上させるために協力的な関係を築いているケースが多く、融資が受けやすく金融機関を探す手間がないといったメリットがあります。
特に不動産会社の信用力が高いほど連携している金融機関も多く、選択肢が増える点もポイントです。また金融機関や不動産会社は、一度限りではなく長期的な取引が行えそうな顧客との「ご縁」を大切にしています。融資に強い不動産会社を介することで好条件での融資がおりる可能性があるため、不動産会社の紹介は開拓方法として有力な選択肢の1つでしょう。
2-2.知り合いの紹介
大家業界の仲間から信用力を借りて金融機関の担当者の紹介を受けるのも、スムーズな開拓方法の1つです。特に紹介元の信用力が高いほど、融資を引くことができる可能性が上がります。
また一度断られた金融機関でも、担当者と仲間とのコネクションがあり話を通してもらったケースでは、融資を再度検討してもらえるケースもあります。ただし、紹介者と担当者にも失礼がないよう、円滑な面談日程の調整や必要書類の準備といった徹底的な配慮が必要です。
2-3.自身で営業活動を行う
不動産会社や知り合いの紹介を頼れないコネクションがゼロの不動産経営者は、自身での営業活動も選択肢となる開拓方法です。自身で営業活動を行う手順としては、以下の4ステップを踏んで金融機関の開拓を行います。
- 自己紹介の資料作成
- 事業計画書や資料の準備
- 営業リストの作成
- 各支店の融資担当者へ営業活動
銀行へ面談する際に使用する資料はファイリングして整理するなど、短時間で自身や不動産賃貸業の成績・情報を担当者に把握してもらえるよう分かりやすくまとめるのがポイントです。
なお、不動産賃貸業の融資がおりやすい信用金庫や地方銀行といった金融機関では、過去の取引実績が無かったり、紹介が無かったりすると、融資を断られるケースも少なくありません。
ただし、支店や担当者によっても融資の判断が大きく異なるため、根気強く営業を行う必要があるのも金融機関の開拓で押さえておきたいポイントです。また銀行の多くの担当者は面談時の印象から、散財癖がないかをチェックしています。そのため、ブランド物を身につけたり、高級車で訪れたりしないよう注意が必要です。
金融機関は平日の日中が営業日のため、平日でも柔軟に動ける人でなければ多数の金融機関に当たれない点にも注意しましょう。本格的な融資の営業を行う前に少額を借りて返済を行うだけの実績作りを行うことで、取引を行う金融機関との関係を築けることがあります。
3.不動産投資で融資を受ける際の注意点
3-1.担当者や支店、季節によって審査の基準が異なる
金融機関から融資を受ける際には、支店や担当者によって審査基準が大きく異なる点に注意が必要です。消極的な担当者や積極的な担当者など金融機関の担当者も個性が様々なため、融資条件のムラが発生してしまいます。
さらに、支店長の方針によって支店ごとにも融資が出やすい支店と出にくい支店などが存在します。自身で金融機関を開拓する場合には多数を当たる営業が必要です。
また、不動産経営で初めて金融機関の融資を利用する際には、これまで不動産経営に対する融資実績が乏しい担当者に当たる可能性もあるでしょう。その場合は担当者が不動産関連の知識が不足していることにより、融資の相談がスムーズに行えないケースも発生することがあります。
その他、支店ごとに、融資が出やすい季節と出にくい季節というのも存在します。理由としては支店ごとに定められた目標数字の達成期限があり、締め切り前であれば融資が降りやすく締め切り後には融資が厳しくなるといった銀行側の都合があるためです。
そのため、銀行側の都合を配慮して、融資を受けやすい季節に資金調達の申し込みを行うのも押さえておきたいポイントです。また新規に開設された支店は貸付金を増やすため融資に積極的なケースもあり、積極的に狙いたいタイミングの1つです。
3-2.クレジットカードの返済遅延履歴
クレジットカードの返済で遅延が発生している場合には金融機関の情報として残り続けるため、融資ではマイナス点として捉えられる可能性があるでしょう。金融機関は融資を申し込んだ経営者の信用情報を元に、現在抱えているローン契約や支払い状況といった内容を考慮して審査が行われます。
そのため、過去にクレジットカードの遅延履歴がある場合には、融資の支払い能力がないと判断される恐れがあります。期日通りの返済が滞るマイナスの実績を持つ経営者については、金融機関から返済が滞る可能性があると判断されます。
過去にクレジットカードの返済遅延がある場合には、融資が厳しくなる恐れがあるため注意が必要です。
3-3.口座に入金された頭金が多いほど審査にプラス
銀行は貸したお金を返済できない、または遅延の可能性が高い起業家への融資を避け、既に口座に多く現金を保有している属性であることを高く評価します。理由として既に現金を保有している起業家であれば、返済が滞るリスクを低くすることができるためです。
そのため、頭金として口座に多くの現金が入っているほど審査に加点がプラスされ、融資が引きやすくなります。特に条件の良い物件を購入するためにはスピード感が重要なので、口座内の現金は多いほど不動産購入では強みになるでしょう。
3-4.赤字の決算書・大幅な税金対策に注意
金融機関を開拓する際に作成した決算書が赤字の場合や、納めている税金が少ないケースでは融資が厳しくなる点にも注意が必要です。金融機関は審査の段階で税金を納めている決算書を確認することで、順調な経営を営む信用力の高い経営者だと判断します。
赤字や大幅な税金対策により納めている税金が少ない不動産賃貸経営者は、経営不振のため融資した資金を返済する見込みがないと判断される恐れがあります。決算書が赤字続きの場合や、既に抱えている物件の高額修繕により経費がかさんでいるケースでは融資に不適切な属性だと判断されてしまう恐れがあるため注意しましょう。
3-5.不動産投資ではなく「不動産経営」であると認識する
日本政策金融公庫政策公庫や各金融機関の融資は事業へ融資するための制度のため、投資は融資の対象外となります。そのため、事業計画書を提出する際には、投資という言葉を使わないように注意が必要です。
金融機関の担当者は非常にシビアに面談に望んでいることがあります。何気ない一言がきっかけで融資の取りやめに繋がるケースもあるため、金融機関も協力業者の1つとして付き合い、不適切に感じられる発言を避けるのも融資におけるトラブルを防ぐためのポイントと言えます。
4.まとめ
地方の不動産で融資を受ける方法や、金融機関の開拓方法・注意点などについて紹介していきました。
金融機関の融資を活用したレバレッジ運用は不動産投資の魅力の1つとも言えるでしょう。不動産投資では金融機関のレバレッジをうまく活用することで、自己資金以上の資本を動かして資産形成の期間を短縮することも可能です。ただし、レバレッジはリスク面にも大きく動くため、失敗した際の損失も大きくなる恐れがあります。
融資を活用する際には事前のシミュレーションを欠かさず、情報収集や事前準備が大切です。このような対策は地方不動産投資における融資審査で良い印象を与えるだけでなく、実際の不動産経営においても大切なポイントとなります。
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