家賃動向にも物価高が影響か。アットホームが23年の振り返りと24年の不動産市況トレンド予測を発表

アットホーム株式会社は11月20日、2023年に発表した調査・分析の内容を踏まえた今年の振り返りと、不動産のプロが語る24年の不動産市況トレンド予測について公表した。このうち、物価高について、家賃も同様に上昇傾向にあると指摘している。

同社が23年10月に発表したマンションの平均募集家賃は、東京23区・東京都下・埼玉県・仙台市・名古屋市・大阪市・福岡市の7エリアで前年同月を上回っており、15年1月以降最高値を更新するエリアも多数あった。同社によると、東京23区のシングル向き物件(マンション)の平均家賃は23年1月が8万8769円だったのに対し、同年9月には9万1289円で、2520円高くなっていた。分譲マンションの価格高騰に伴い賃貸マンションの需要が高まったことや、物価の上昇が家賃にも影響していると考えられる。

今年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、経済、消費活動の正常化が進んだ。結果、東京都の同年9月1日付の人口は1409万5231人と対前年同月比で5万8088人増加し、都心回帰の動きが活発化していることが伺える。同社は、物価の上昇と相まって、今後も家賃の高騰および都心の物件の人気上昇は継続すると予想している。

そのうえで、24年のトレンドとして①分譲価格の高騰で購入を保留し、賃貸にするファミリー、カップルが増加②賃貸マンションの家賃は上昇傾向を挙げる。分譲価格は、新築マンションの高騰に伴い中古マンションの価格も上昇したため、一般的な収入世帯には購入が難しくなってきている。また、不透明な金利の動向、物価高の継続で、住宅の購入を見送った方の受け皿として賃貸マンション、特にファミリー向きの物件に注目が集まっていることを根拠としている。

賃貸マンションの家賃については、都心回帰の増加により、シングルを含めた賃貸需要が増し、賃貸マンションの家賃も上昇している。また、新築の建設にかかるコストの上昇や光熱費の上昇により、家賃もアップする傾向を挙げる。

今後も家賃の高騰が予想される中、住まいにかける費用を抑えるため、条件や設備などで妥協するという人も多いだろう。同社が不動産情報サービス「アットホーム」のユーザーに対して行った調査では、住まいの条件の中で妥協したことについて「建物構造」20.8%、「日当たり・風通しが良い」20.5%、「階数」20.0%と、5人に1人が妥協している。いずれの条件も、半数以上が妥協しても問題なかったと回答した。

設備の中で妥協したもので、最も多かったのは「オートロック」14.5%、次いで「2口以上コンロ」13.8%、「洗面所独立」「宅配ボックス」13.5%だった。オートロックは妥協した人の8割が「妥協しても問題なかった」と回答した。一方、「防音設備」は妥協した人のうち52.6%が後悔しているという結果だった。

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