アパート経営をデザインで差別化するには?入居率・資産価値への影響やアパート会社の事例も
デザイン性に優れたアパートは、立地や間取りなどの条件が似た競合物件に対して差別化ができ、収益性の改善や資産価値の保全に有効です。
一方で、デザイン性を追求すると建設費・物件価格が高くなる可能性があるため、入居者の獲得につながる高品質な物件で経営を進める必要があります。
この記事では、アパートをデザインで差別化するときのポイントについて紹介します。
目次
- デザイン性が優れたアパートで不動産経営を行うメリット
1-1.都市部での競合物件との差別化が可能
1-2.入居率の向上につながる
1-3.資産価値の維持にも寄与
1-4.賃料を高止まりさせられる - デザイン性が優れたアパートで不動産経営を行うデメリット・注意点
2-1.建物価格は高くなる
2-2.ほかの欠点をカバーできるとは限らない
2-3.デザインの方向性を見誤ると効果が得られないリスクも - アパート経営をデザインで差別化するポイント
3-1.ターゲットが明確な物件選びやプランニング
3-2.機能性を高めるデザインを考える
3-3.維持・管理や設備のアップデートも重要に - デザイン性に優れたアパートを供給する不動産会社の事例
4-1.シノケンプロデュース
4-2.アイケンジャパン - まとめ
1 デザイン性が優れたアパートで不動産経営を行うメリット
デザイン性に優れたアパートでの、不動産経営のメリットを整理しましょう。入居率・資産価値などにはポジティブな影響が期待できます。
1-1 都市部での競合物件との差別化が可能
都市部で多数のアパートが存在する地域では、デザイン性に優れていることが差別化につながります。都市部は入居希望者が多いと期待できる一方で、その分賃貸住宅が密集しているのが不動産経営の観点からはリスクとなります。
デザイン性に優れたアパートは、同じ最寄り駅、同程度の駅からの距離に多くある物件群のなかで差別化され、入居需要の増加に期待することができます。入居者の獲得や賃料の維持に役立つでしょう。
1-2 入居率の向上につながる
デザイン性で差別化することにより、入居率を高められると期待できます。入居者が自分の住処に求めるニーズは複数ありますが、建物の外観や室内のデザインはしばしば優先度の高い要件となります。
デザイン性に優れたアパートは他の物件に対する差別化要因となり入居者を獲得しやすく、また空室発生をおさえる効果が期待できます。さらに見た目だけでなく機能性にまでこだわったデザインであれば、機能性にこだわる人のニーズを取り込めるでしょう。
1-3 資産価値の維持にも寄与
デザイン性に優れたアパートは、資産価値が他の物件よりも落ちにくいと期待できます。
第一に空室率が低ければ、アパートの収益性が高く評価されるでしょう。アパートのような収益物件は、収益を利回りで割り戻した「収益還元法」で物件価格を評価されるため、空室率が低い物件であればそれだけ高く売却できるためです。
第二に、年数が経過しても魅力的な景観や内装をたもつことができれば、他の物件より資産価値の下落ペースを遅らせられる可能性があります。
ただし、このメリットを享受するためには、新築当時の優れたデザインを長期間維持できる優れた素材を利用する、経年を逆に味に変えるなど、デザイン性が維持される工夫が必要です。オーナーとしては、適切なメンテナンスや修繕などを継続して、老朽化を食い止める対策が重要となります。
1-4 賃料を高止まりさせられる
アパートのデザインがうまく居住者のニーズをとらえた優れたものであれば、家賃もその地域の相場より高く設定できる可能性があります。高めの家賃で入居者を維持できれば、収益性も高まるでしょう。
通常、家賃はリノベーションや大規模な修繕を実施しない限りは、経年とともに緩やかに低下する傾向にありますが、デザイン性に優れていれば、低下のペースを遅らせる事が可能です。
2 デザイン性が優れたアパートで不動産経営を行うデメリット・注意点
デザイン性が優れたアパートでの資産運用には、デメリットや注意すべき点もあります。以下で紹介する点を認識したうえで、デザイン性にこだわってアパート経営を行うべきかを判断しましょう。
2-1 建物価格は高くなる
デザイン性にこだわれば、建物価格はほかのアパートよりも上振れしがちです。建設会社に依頼する場合には設計・建設費が高くなり、すでに建てられた物件を買った場合でも収益性の高さや建築時の費用を加味して価格が高くなるでしょう。
メリットのところで収益性を高められると書きましたが、これは賃料単体を比較した場合です。年間収入を物件価格で割った利回りで考えたときには、他のアパートと変わらない、むしろ低くなるケースも少なくありません。
不動産経営を始める場合、物件総額が膨らむと借入額・必要な自己資金額が増えて経営リスクが高まったり、そもそも融資審査に落ちて経営できなかったりします。また、デザイン性を重視するあまり、立地や利便性などを犠牲にしなければならない場合もあります。
2-2 ほかの欠点をカバーできるとは限らない
デザイン性に優れているからといって、ほかの欠点を全てカバーできるわけではありません。
個人投資家が取り組むアパート経営では、一人暮らし~二人暮らし程度のコンパクトな物件で運営するケースが多くあります。都市部のこうしたアパートにおいては、最寄り駅までの距離や最寄駅からターミナル駅のアクセス性が重要となります。たとえデザイン性に優れていても、利便性に劣る物件では入居者の獲得が難しくなるでしょう。
また、どれだけデザイン性に優れていても経年劣化は発生します。アパートに限らずトレンドや技術進歩があるため、古い物件が競合の新築物件との比較でニーズを獲得し続けることは困難です。
新築同等の魅力を維持できるわけではありませんが、工夫やメンテナンスによって劣化を遅らせることはできます。入居者のターゲット層とデザインがずれていないか、劣化による設備不良が起きていないかなどの確認を適宜行うと良いでしょう。
2-3 デザインの方向性を見誤ると効果が得られないリスクも
デザイン性が入居希望者のニーズやセンスにマッチしていなければ、先に紹介したメリットを享受できないリスクがあります。その場合でも建設費用は高くなるので、投資額に対して収益が少ない利回りの低い物件となってしまうでしょう。
入居者のニーズに沿う形でデザインされていて、かつ機能性にも優れた物件で不動産経営を行うことが重要です。
3 アパート経営をデザインで差別化するポイント
メリットを最大限享受し、デメリットや注意点を踏まえた物件を取得するためには、次に紹介するポイントをおさえるとよいでしょう。
3-1 ターゲットが明確な物件選びやプランニング
デザイン性に優れたアパートは、入居者のターゲットが明確で、そのうえでターゲットのニーズに合ったデザインを取り入れています。
コンパクトなアパートの場合、大まかにいえば若い社会人や大学生がターゲットとなります。さらに絞り込んで女性向け、単身サラリーマン向けといったターゲット像を明確化すると、ターゲットが好むデザインに即した物件を建てることが可能です。
3-2 機能性を高めるデザインを考える
日々暮らしていく施設である「住居」においては、機能性は非常に重要な要素です。アパートは美術品ではないので、内装・外装の見た目が優れているだけでは、入居者の獲得にはプラスになりません。
内装・外装だけではなく、住む人の生活様式やニーズをきちんと理解し、満足度を高めることができるような機能を設計(=デザイン)することも大切なことです。
たとえば、独身むけの物件は都市部に建てられることが多いため、防音性に優れた物件が好まれます。若い方がターゲットとなるのであればスマートフォンで施錠・解錠ができる、空調などを外から調節できるなどIoTを取り入れた物件などがあるでしょう。
女性向けであれば、セキュリティ対策にこだわるのも一案です。コンセプトとする外観・内装にうまく調和する形で、入居者がもとめる機能が備わったアパートをデザインすれば、一段と魅力的な物件に仕上がるでしょう。
3-3 維持・管理や設備のアップデートも重要に
差別化された状態をできるだけ長期間維持するために、経営者が適切に維持・管理して行かなければなりません。新築当時には優れていたアパートも、放置すればすぐに陳腐化していきます。こまめな清掃や補修を行って景観を保っていきましょう。
また、アパートの設備は時代とともに新しく便利なものにアップデートされていきます。大規模更新の際などには、古くなった設備を一新して時代に則したアパートに作り変えるのが効果的です。
4 デザイン性に優れたアパートを供給する不動産会社の事例
ここから紹介するシノケンプロデュース、アイケンジャパンはどちらもデザイン性に優れたアパートを多数建設・販売した実績を持っています。
入居者ターゲットを明確にしたうえで適切なデザイン設計を行っている実績が豊富なため、デザインで差別化するアパート経営の参考とすることができます。また、投資家自身でデザインにこだわった物件の建築を手掛けるのが難しいという場合には、これらの不動産会社が販売する物件の購入を検討してみるのも良いでしょう。
4-1 シノケンプロデュース
シノケンプロデュースは、一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとして知られているアパート会社です。「シノケングループ」の100%子会社で、東京都港区の本社のほか、福岡市、名古屋市、大阪市、仙台市にオフィスを展開しています。
投資用アパートの販売においては6,000棟以上の実績があり、2015年から2022年まで8年連続で「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」にも選ばれています。
デザイン性と機能性の両立を目指したハーモニーテラス
以前からシノケングループのアパートはデザイン性にこだわった物件を多数販売しています。「ヨーロッパに見られる高級列車の客室をイメージさせるようなワンランク上の居住性」を追求した物件で、入居者からの高評価、高稼働率を実現してきました。
近年はさらに、機能性にも優れた物件のデザイン・販売を重視し「ハーモニーテラス」というブランドでアパートを供給しています。
機能的でありながら美しい外観、内装の追求とともに標準装備の設備を兼ね備えた物件をデザインしています。なお、シノケングループのアパートは、一軒一軒、自社で設計・デザインを行っているのも特徴です。
金融機関との強いリレーションを築き、フルローンでの経営も可能
30年長にわたる不動産販売の実績から、多くの金融機関と強固な関係を築いています。提携ローンを利用できる金融機関は現在も拡大中です。
- 西日本シティ銀行
- SBI新生銀行
- きらぼし銀行
- 東京スター銀行
- 佐賀銀行
- 島根銀行
アパート経営では相対的にハードルが高い傾向にある「100%融資」、いわゆるフルローンでの経営が可能なケースがあるのも、同社の強みです。区分マンションと異なり月々の賃料収入が高いためフルローンでも月々の収支を黒字にできる可能性もあり、自己資金を抑制したい場合には検討することができます。
4-2 アイケンジャパン
アイケンジャパンは、堅実なアパート経営をコンセプトにアパート用の用地確保から販売、管理まで一貫して対応している企業です。もともとは福岡の企業ですが、東京・福岡双方に本社を置いて、全国でアパート販売を手がけています。
堅実な経営というだけあって、入居率が99.4%(2022年)と高水準を維持しているのが特徴です。
土地選びから手がけ、地形に合わせた設計が可能
アイケンジャパンでは、アパートを建設する土地の取得から行っていて、駅から徒歩15分以内の利便性の高い土地を中心に取得して、アパート建設・販売をしています。土地に合わせて自由度の高い設計をする能力が特徴です。
アイケンジャパンでは「社会人の女性」をメインのターゲットに据えてアパートのデザインや建設を行っています。そのためデザイン性とセキュリティ性に細部までこだわったうえで「シンプルかつ高級感」があるデザインで「住み心地のよいアパート」を追求しています。
これまでの販売実績により多くの金融機関とリレーションを構築
アイケンジャパンも、これまでの販売実績が評価されて、以下の通り多くの金融機関と強固なリレーションを築いています。アイケンジャパンの物件で不動産経営を始めることで、融資の準備がスムーズに進むと期待できます。
- 福岡銀行
- 西日本シティ銀行
- みずほ銀行
- 福岡中央銀行
- オリックス銀行
- 七十七銀行
- 十八親和銀行
4 まとめ
アパート経営において、デザイン性は立地や利便性とならんで重要な要件の一つです。また後から変更ができない立地条件とは違い、デザイン性は経営者の判断によって差別化できるポイントでもあります。ターゲット層のニーズと合致すれば収益性を高められる可能性の高い手段の一つです。
なお、最近はデザインとともに機能性を同時に追求したアパートが多くなっています。他の物件と差別化するためには、外観・内装の印象がよく、かつ住み心地も考えられた物件でアパート経営を進めることが重要と言えるでしょう。
今回はデザイン性の高いアパートの建築実績が豊富なシノケンプロデュースとアイケンジャパンの2社をご紹介しました。自分で設計士に依頼するのが難しい場合には、実績があり評価の高いアパート販売会社に相談するのも一案です。
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