オリックス傘下の資産運用会社ロベコ、24年のエンゲージメントテーマに海洋生物多様性と有害化学物質を選定

オランダの運用会社ロベコ(オリックス子会社のオリックス・ヨーロッパ傘下)は1月4日、2024年のエンゲージメント(対話)テーマとして、新たに海洋生物多様性と有害化学物質を選定したと発表した(*1)。これらのテーマは、高排出企業への取り組みとサステナブル(持続可能な)ファッションへの移行推進に次ぐものだ。

ロベコは顧客との協議の結果、新たにエンゲージメントにおける重点テーマを選定した。海洋生物多様性と有害化学物質のエンゲージメント・プロセスは、投資先企業と3年間にわたり実施される。

海洋生物多様性については、養殖や漁業など、海の生物に多大な影響を与える6社ほどとエンゲージメントを行う方針だ。乱獲と海洋環境の汚染は、生物多様性損失の5大要因のうちの2つとなる。

ロベコは、これまで森林伐採やネイチャー・アクション100(Nature Action 100、#1)との協働に注力し、陸上や土地利用の変化に重点を置いてきたが、養殖と漁業の上場企業に焦点を当て、初めて深海鉱業に注目する。

深海鉱業は、貴重な鉱物を海底から採掘することで海洋生物を脅かし、汚染の脅威をもたらすため、論争の的となっている分野だ。深海鉱業に関するエンゲージメントの大半は、ネイチャー・アクション100と共同で行う。最初のステップは、この分野に関わる可能性のある企業100社に、投資家の期待を示す書簡を送ることである。

有害化学物質については、その使用を段階的に廃止することを視野に入れ、6社ほどとエンゲージメントを行う方針だ。

有害化学物質の中でも、特に有機フッ素化合物(PFAS)は、その汚染能力が何千年も持続することから「永遠の化学物質」として知られている。23年には、プラネタリー・バウンタリー(#2)の新規化学物質(Novel Entities)が地球の限界を大きく超えた。

投資家に有害化学物質に関する情報を提供するスウェーデンのNGOであるChemSecと共同でエンゲージメントを行う。最近では、ChemSecが対象とする54社に対し送る、有害化学物質の段階的廃止に関する書簡に署名した。

ネット・ゼロへの移行が遅れている高排出企業とのエンゲージメントを強化し、26年までにロベコの気候変動に関する最低基準を満たさなければ、投資対象からの除外を視野に入れる。

最低基準には、スコープ1とスコープ2の排出量データの報告、排出量の削減目標の設定など、炭素集約度の高いセクターにとって取り組みが不可欠なものが含まれる。石油・ガス会社にはメタンガスの目標を設定することも期待するほか、石炭の利用を新たに拡大しないことにコミットすることも求めている。

サステナブルファッションについては、23年10月に「ファッション・エンゲージメント・エクイティ」戦略を開始し、専門のアナリストチームも設けた。ファッション産業は、何百万人もの低賃金の労働者が危険な労働条件や劣悪な環境に苦しんでいる。24年が通年での運用の初年度となる。持続可能性を向上させるべく、ポートフォリオに組み入れる全企業とのエンゲージメントを行うことを視野に入れて構成銘柄を選定する。

(#1)ネイチャー・アクション100…生物多様性問題に大きな影響を与える可能性のある企業に対して共同で対話するための機関投資家団体。

(#2)プラネタリー・バウンタリー…人々が地球で安全に活動できる範囲を科学的に定義し、その限界点を表した概念のこと。

【参照記事】*1 ロベコ「Ocean life and hazardous chemicals lead 2024 engagement themes

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