「投資家は、もう自分たちのことを『投資家』と思わないほうが良いかもしれない」金融のシステムチェンジについてSIIFインパクト・エコノミー・ラボチームと一緒に考える

2023年12月30日、日経平均株価は3万3464.17円で終了し、34年ぶりの高値をつけました。その一方で、厚生労働省の2022年の国民生活基礎調査によれば相対的貧困率が15.4%、つまり6人に1人が相対的貧困に直面しており、総務省の人口推計では2024年1月1日時点の新成人人口は過去最低の106万人となるなど、国内だけを見ても格差は依然として大きく急激な社会構造の変化などが進んでいます。

また環境面においても、2023年夏の日本の平均気温は1898年の統計開始以降で最高を記録したと気象庁が発表しており、気候変動の影響も日常レベルで感じ取れるようになってきています。

今後はこれまで以上に社会や環境が大きく変わっていくことが予測される中で、金融システムや投資のあり方はどのように変革していく必要があるのでしょうか?

今回は、日本国内のインパクト投資を推進する社会変革推進財団において、「システムチェンジ」に向かうための実践知づくり、学習や共創の場づくり、ムーブメントづくりに取り組むインパクト・エコノミー・ラボチームの3名の方に「これからの金融システムはどうデザインすればいいか?」のテーマに関して対談形式でお話していただきました。

話し手のプロフィール

インパクト・エコノミー・ラボ インパクト・カタリスト 古市 奏文

    大学卒業後、大手メーカーで製品開発に携わった後、外資系コンサルティング会社にて戦略コンサルティング・M&Aアドバイザリーの経験を積む。その後、IT企業のコーポレートベンチャーキャピタルや独立系のベンチャーキャピタルにてベンチャー投資に従事し、2018年に当財団に参画。日本初の機関投資家を引き入れたインパクト投資ファンド「日本インパクト投資2号投資事業有限責任組合」(通称:はたらくファンド)の立ち上げの他、オルタナティブ事業のプロジェクトリーダーを務め、プラスソーシャルインベストメント株式会社、株式会社アドレス、ココホレジャパン株式会社、株式会社ゼブラアンドカンパニーへの出資・経営支援等に携わる。2022年度より現職にてインパクト投資の先行事例創出・研究などをリードしている。

インパクト・エコノミー・ラボ インパクト・カタリスト 亀山 愛

    米国NGOや独立系シンクタンクで勤務後、大手監査法人でベンチャー企業・起業家育成支援、オープンイノベーション支援、スタートアップエコシステム構築に従事。その後クリエイティブカンパニーに移り、テクノロジーやデザイン思考を活用した新規事業支援、共創型コミュニティの構築・運営に携わる。2023年8月、SIIFに参画。インパクト・エコノミー・ラボにおいて、システムチェンジの調査研究及び発信・普及を通したインパクト・エコノミーの創出、国内外の多様なステークホルダーとのパートナーシップ構築に務めている。

インパクト・エコノミー・ラボ インパクト・カタリスト 川端 元維

    大学卒業後、カナダのソーシャルベンチャーでインターンを経験。帰国後、自動車部品メーカーの法人営業として欧州・アジア市場等を担当。全寮制の中高一貫校に出向し国際キャリア教育に携わった後に転職、教育系企業での新規事業開発と米国NPOの日本担当を兼務。2015年に「人・組織・社会の変容デザイン事務所 innovate with」を設立。海外の財団や投資家と日本の社会起業家をつなぎ、インパクト戦略策定・実行支援・評価を行いつつ、日本各地で起業家精神を育むエコシステムづくりに携わる。2023年、世界の社会変革の知見を日本の現場につなぐために当財団インパクト・エコノミー・ラボに参画。イギリスの政治経済大学院でソーシャルビジネスとアントレプレナーシップの修士号取得。

社会課題解決に十分なお金が流れる仕組みはどうすればつくれるか?

古市さん:
「我々が取り組む【機会格差】【地域活性化】【ヘルスケア】という3つのテーマは、経済合理性を追求する通常のビジネスの枠組みで考えていると、どうしてもおざなりになってしまう部分というか、自発的にそこに社会課題解決の流れが生み出されるわけではない領域です。」

「そこに新しいお金の流れをつくるには、投資に求めるものやお金の出し手などの多様性が必要ではないかと考えています。その多様性を高めるために、経済合理性と社会性の間でバランスを保つことや、お金の出し手についても金融機関や個人投資家、フィランソロピーの方など、ステークホルダーごとに異なった、リスクが取れる多様なキャピタルのあり方が必要だと考えています。」

「また、今世の中にいらっしゃる皆さんが、必ずしも経済合理性だけを追求したお金の運用をしているわけではないというのは我々も日々の中で非常に感じているところですので、『お金ではない価値』というものを、いかに追求して拡大できるのかというのも考えていきたい点です。そのためには、株式よりも柔軟性の高い投資形式や経営方針のあり方の実現、中長期目線でのゴール設定と資金運用というところも重要だと考えています。」

亀山さん:
「例えばブレンデッド・ファイナンスという考え方があります。それぞれ特徴の異なる民間資金、公的資金、触媒的な資金を組み合わせることで、リスクを補完し合い、長期的に取り組まなければならない複雑な社会課題を解決する資金の仕組みです。」

「本質的に社会の構造やシステムを変える事業を行うインパクト・スタートアップが掲げるビジョンに共感した多様な支援者や資金提供者が、民間であればCVC、行政であれば助成金という形での関わりなど、各々のリスク・リターンを考慮した上でビジョン達成のために協働する仕組み作りが今後重要になってくると思っています。」

川端さん:
「事業を通した社会インパクト創出を考える際の重要な観点として、事業のパーパスとプロフィットが両立するまでに時間がかかりうる、あるいは事業領域によっては両立そのものが難しくなる点を考慮に入れる必要があります。」

「たとえば、サービスの受益者が相対的に支払い能力の低い方であったり、何らかの困難を抱える方の就労を支援するような事業であったりする場合は、一般的な営利事業よりも収益化に時間がかかることが想定されます。そういった事業の初期時点では行政や財団の助成、あるいは個人の寄付といったお金が触媒的な資本の役割を果たす必要があります。」

「そういった事業も、触媒的な役割を果たすリスクマネーも活かしながらプロフィットを生み出せるようになれば、原則として財務的なリターンを必要とする投融資も獲得しやすくなります。インパクト創出を目指す事業がパーパスとプロフィットをどの程度両立させうるのか、両立しうるとした時に必要な時間軸を正しく理解してお金の出し手やお金の流れを捉える、ということも重要だと思っています。」

古市さん:
「企業のパーパスに対する共感を増やしていくためには、未来のあり方を今以上に共有して、人間の持つイメージの力や世界を描いていく力を刺激していくことが必要だと考えています。そのために、我々SIIFが取り組んでいるのが、『企業のインパクトの可視化』です。ロジックモデルやセオリー・オブ・チェンジなど様々な方法で、その企業がどうあるべきなのか。どうやって社会に自分たちの価値を発信していくべきなのかを可視化していくことが重要だと考えています。」

「今後、システムチェンジに関わるところでは、トランジションデザインやスペキュラティブデザインのような次世代型のデザイン思考の手法を導入していきたいと思っています。具体的には、企業や自治体と一緒に対話をした上でシステムチェンジが実現した未来の社会をグラフィカルに可視化し、その実現に必要な技術や思想をバックキャスティングで描いていく、といったことをやっていきたいなと思っています。」

どうすれば金融のシステムチェンジを起こせるか?

古市さん:
「市場では経済性も求められるため、多様なプレイヤーに関わっていただくためにも、『社会性を追求することが収益性にもきちんとつながる』というインセンティブづくりが非常に重要だと考えています。」

「システムチェンジ投資にあたっては、異なるステークホルダーでどこを最適なKPIに設定して進めていくのかという『システムチェンジのKPI』も設定する必要があります。そうすることで、そもそも目的が違うプレイヤー同士でもインセンティブを整えて目線合わせをすることができると考えています。」

川端さん:
「システムチェンジを起こすにあたって、KPIも重要ですが、システム全体でポジティブなインパクトを生み出すということを考えた時に『課題解決のレバレッジポイントはどこか』を考えることが重要だと考えています。レバレッジポイントに取り組むことで、複数の社会課題を同時に解決してより大きなインパクトを創出できるようになります。」

「たとえば、ReFED(リフェド)というアメリカでフードロスの問題に対して取り組んでいるシステムチェンジの活動では、フードロスによる食料廃棄を減らすことで、食料廃棄にかかる経済的なロス、CO2の排出、水資源、廃棄物を埋め立てる土地の利用など、複数のポイントに対してポジティブな影響を出す戦略を採用しています。このように複数の課題を同時に解決できるようなレバレッジポイントやアイデアを丁寧に、かつ深く広く探していくことが重要なのではないかと思います。」

古市さん:
「同時に、課題を解決するという点に関連して、今まで我々が書いてきたロジックモデルも含めて、受益者というものを特定の「企業体」やそこに関わる「人」だけを対象にしてきたと思っているのですが、モノや自然、制度などの「ヒト」以外も受益者であり『システム』を構成する要素として捉えることで、受益者の範囲が拡大し、もっと色んな主語が入ってきたり、多様性が上がってきたりするのではないかと思っています。」

亀山さん:
「投資のリターンというのは、これまでは事業収益や資本市場における企業評価向上など金銭的や定量的な評価が一般的でした。しかし、お金の出し手が多様化すれば、なにをインパクトと捉えるのか、その出口も多様性があっていいと考えています」

金銭以外のリターンの具体的な事例は?

古市さん:
「金銭以外のリターンに関しては、社会関係資本というのがお金以上に得がたく、幸福につながるような大きなリターンであるという見立てが立ってきていまして、それを社会的インパクトの観点でより多く扱っていけるかという点はSIIFとしても非常に重要だと感じています。」

「たとえば、社会関係資本の事例として、休眠預金のプロジェクトで支援をさせていだいていた『雨風太陽』さんは、2023年12月に上場もされましたが、企業のインパクトマネジメントの中に『コミュニケーションの数』『顔の見える流通金額・消費者が実感しているもの』『都市住民の生産現場での過ごした日数』などをKPIとして設定することで、お金以外の評価を事業活動の中にきちんと入れています。」

「他にも、多拠点生活のプラットフォーム『ADDress』が2023年7月に実施した投資型クラウドファンディングでは、日本初の『コミュニティラウンド』という考え方で、ADDressのサービスの利用者の方を中心として投資家になってもらうことで、投資家自体がサービスの顧客であり担い手となる『Exit to Community』のような考え方をベースにした資金調達をしています。」

「なお、ADDressさんは我々が出資させていただくタイミングで、定款に『インパクトを追求する』ということを組み込んでもらったり、インパクトレポートを出すことを含めてコミットメントをしてもらっています。」

都内で行われたコミュニティラウンドに関するADDressのトークセッション。(左から)日比谷氏、佐別当氏、佐々木氏、遠山氏

「地方自治体のプロジェクトでは、文化資本や自然資本を権利のような形にして、それを社会的なリターンとして設計することで資金調達をするような事例も生まれてきています。たとえば、新潟県長岡市の山古志村では。NFTを活用してデジタル住民票を発行し、デジタル村民としての投票権をリターンにしています」

亀山さん:
「自然資本をリターンとする地域の事例では、上記の山古志村のプロジェクトを主導するNext Commons Labが、同様にNFTを使って自然資源を保全する三重県尾鷲市の例もあります。尾鷲市は、『Regenerative NFT』を用いて気候変動問題を解決するプロジェクト『SINRA』の第1弾の提携パートナーで、尾鷲市の森林保全を目的としたJクレジットの創出に寄与するRegenerative NFTを販売しています。」

尾鷲市が販売した『Regenerative NFT』。蝶の羽ばたきのような一人ひとりの小さな行動が結びつき、地球を再生可能な状態に導く大きなムーブメントを生み出していくという願いを込めて、蝶をモチーフとしたNFTとなっている。
なお、地方自治体がNFTを活用したJクレジットの創出を通じて環境保全の取り組みをするのは世界初の事例であり、販売開始から2週間で、126個のNFT(200トン分の二酸化炭素(CO2)量に相当)がミント(新規発行)された。

川端さん:
「これまでの企業経営の観点では一定の経営資源を使ってどれだけ経済的なリターンを出したかが重要視されてきました。他方でインパクトマネジメントの考え方では、投入した資源に対して、経済的なリターンだけでなくどれだけの人・地域・社会へのポジティブな変化を生み出したかが重視されます。個人的には、事業上の成果や資本の多様性を認識する考え方が広がってほしいと思っています」

新しい金融システムへの移行プロセスはどうデザインすれば良いか?

古市さん:
「システムチェンジというと仰々しい響きですが、実際は目に見えない細かい変化が積み重なっていくことで実現されていくものだと考えています。大きなシステムチェンジはハレーションを生むため、ドラスティックな改善だけではなくて、ステークホルダーの方々が自ずと関わっていただけるような健全なインセンティブを築くことで、考え方を変えるというよりも仕組みとして自ずとして実践が進んでいくことを意識しています」

川端さん:
「健全なインセンティブの事例として、私たちSIIFがnoteで連載している『インパクトエコノミーの扉』でも取り上げている、ユートピア・アグリカルチャーさんという会社さんがあります(※)。自然環境に負荷をかけない『放牧』で酪農とお菓子づくりをされている会社さんで、通常販売では毎週金曜・土曜にしか予約できない売り方をされています。」

※関連記事:インパクトエコノミーの扉「美味しいだけじゃない。22世紀の「食」を見据えた大人気チーズケーキの秘密

「それによって、放牧で採れる範囲の供給量に合わせた市場流通が実現できているとともに、購入者の方にとっても『この機会を逃したら買えない』というゲームのような感覚で関わることができているのではないか、と私は考察していまして、そういった人間の心理を理解してサービス設計をしていくことが重要だなと感じています」

古市さん:
「私たちが『インパクトエコノミーの扉』で発信している背景には、かしこまらずに、思い込まずに、気軽にインパクト投資に関わってもらいたいという想いがあります。ユートピア・アグリカルチャーさんも、お菓子という身近なところから、気候変動に関心がない方でも関わっていけるのではないかと思っています。こうしたnoteでの情報発信自体も、システム移行のプロセスの一つとして進めています。」

SIIFのnote連載記事「インパクトエコノミーの扉

「また、今後やっていきたいもう一つのこととして、金融商品で簡単に関われて、本質的な課題解決につながるようなものをどう設計できるか、ということがあります。たとえば、オランダのトリオドス銀行が、土壌改善のために債券を発行し、個人投資家から資金を募ることである特定の農地を買い上げ、それを社会的なインパクトをベースに事業者さんに貸し出すということをやっています。これは、そういう金融商品をつくったからこそ社会的な課題解決が進んだという事例で、こういった仕掛けづくりに積極的に関わっていきたいと思っています」

亀山さん:
「知的障がいのある方のアートをプロダクト化しているヘラルボニーさんや、発酵技術を活用してゼロウェイストや循環型社会を目指しているファーメンステーションさんも、社会にとって良いことを『やらなければいけないこと』『まじめなこと』ではなく『普通なこと』『楽しいこと』としてやっていて、まずはアーティストや商品、ブランドのファンを増やし、その結果会社として目指すビジョンや社会が実現されるというインセンティブ設計になっているかと思います。こういうインセンティブを金融商品の中でどのように見せていけるのか、というのが日本においてはこれから重要になってくると思います。」

川端さん:
「今後は、レバレッジポイントを見定めるための調査やステークホルダーの方に積極的に参加してもらうための渉外活動といったことも重要になってくると思います。そのために、調査やステークホルダー・リレーションができる人材の採用も必要になってきます。システムチェンジのプロセスを進める上で、必要な変化を起こすための人材やネットワークなどの基盤づくりにお金を使うことが重要だと思います。」

古市さん:
「ステークホルダー・リレーションという点では、ステークホルダーからきちんと意見を吸い上げて、その企業を支え合うステークホルダーみんなでその企業が目指すべきところを設計したり、ステークホルダーもインパクトマネジメントに関わったりするということが大切だと思っています。」

川端さん:
「海外も含めた先駆的なシステムチェンジ投資の事例を見ると、複雑なシステムを取り扱う事業テーマであればあるほど、ステークホルダーの方を集めて定期的に声を聞く、データを集めるといったアクションリサーチ的なやり方で、『事業をやりながら、社会システムに対して生み出している影響を学んでいく』適応的なマネジメントをより重視するプレイヤーが多い印象ですね」

投資家はもう自分を『投資家』と思わないほうが良いかもしれない

古市さん:
「海外のシステムチェンジ投資の事例を見ていると、実は『投資家』の役割が変わりつつあることを感じます。お金を出すという意味での投資家は役割が終わりつつあり、新しい存在になってきている、ということです。具体的にはお金の出し手としての役割よりも、コミュニティ・エンゲージメントのほうが重要になってきていて、多様なステークホルダーの人たちのニーズを感じ取り、目指すべき方向性を整えてディレクションをしたり、リーダーシップを発揮したりする存在になってきているというのを感じています。」

「財団法人である我々自体もそれを追求し始めていて、もう自分たちは『投資家』と呼ばれなくても良いんじゃないか、自分たちのことは『投資家』として考えないほうが良いんじゃないかという意見も出るくらい、どうやったら実際の現場とか事業をやっていらっしゃる方と一体となってこの取り組みを進められるか、というところに意識が行くようになっています。」

「また、どうしても事業だけでは解決できない部分に関しては、そもそもの仕組みづくりや規制をこう変えていくっていうルールメイキングにもきちんとアプローチをしていく、これも普通の投資家とは異なるスタイルかなと思っています。」

亀山さん:
「海外の取組では、メインストリームの投資家である機関投資家や企業に対して、短期重視型のマインドセットを変えてもらうために、人材育成に戦略的に投資している事例もあります。そういう支援の仕方も含め、ルールメイキングやリサーチのような表には見えないけれども中長期にシステムチェンジにつながっていくようなところへのお金の使い方も重要だと思います。」

川端さん:
「自然資本や社会関係資本のような『見えない資本』に対して、投資家がリスクを取りリーダーシップを発揮してお金を投じていくと、本当に本質的な変化が起こるんじゃないかと思っています。」

古市さん:
「今後は、個人投資家の人たちの動きがもっともっと無視できない世の中になってくるだろうと思います。先行的にトレンドを作る個人投資家の投資活動を、機関投資家の方たちも機敏に感じ取っていますので、一人ひとりの投資が次の誰かの投資や金融のきっかけになって社会を変革していくという流れというものがあると思っています。」

亀山さん:
「そういうものを通して、金融機関や投資家自体の変化もシステムチェンジを起こすことにつながる感じがしますね」

編集後記

私たちが自分の資金で投資や金融を考えるとき、まず「年利が何%なのか」ということを考えることが多いですが、これまでの金融・投資では、「”私”にどれだけの金銭的なリターンがあるか」ということがクローズアップされてきたように思います。

今回の対談を通じて、改めて「金融のシステムチェンジとは何か」を考えてみると、投資や金融を考えるときに「”私たち”にとって、どれだけの幸せにつながるリターンがあるか」ということが自然と視野に入ってくる、ということなのではないかと感じました。

みんなが「私たち」のリターンを考えられる世界では、自分が他の誰かのリターンを気にかけるとともに、他の誰かもまた自分のリターンを気にかけてくれます。それは、金融の世界における「共助」であり、「贈り合い」と言えるのかもしれません。

そして、「私たち」の中に「子どもたち」や「これから生まれてくる未来の世代」も含めることができれば、私たち一人ひとりの金融・投資のアクションが、より良い未来を創っていくことにつながるのではないでしょうか。

【関連サイト】SIIF(一般財団法人 社会変革推進財団)
【関連サイト】note連載記事「インパクトエコノミーの扉

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「投資家は、もう自分たちのことを『投資家』と思わないほうが良いかもしれない」金融のシステムチェンジについてSIIFインパクト・エコノミー・ラボチームと一緒に考える