北欧製鉄スタートアップH2グリーンスチール、独自動車部品キルヒホフと7年間210億円規模のグリーン鋼材の供給契約を締結

スウェーデンの製鉄スタートアップH2グリーンスチールは1月16日、ドイツの自動車部品メーカーのキルヒホフ・オートモーティブと、ゼロエミッションをほぼ実現したグリーン鋼材供給の契約を締結した(*1)。同契約は7年間に亘り、1億3,000万ユーロ(約210億円)規模となる。

キルヒホフはサプライチェーンを含めて持続可能性の向上に意欲的に取り組んでいる。H2グリーンスチールと提携することで、サプライチェーンの脱炭素化と持続可能性目標の達成に向けて更なる一歩を踏み出したことになる。

鋼材は製品に使用される主要な部品であり、材料購入の約50%を占めている。現在、キルヒホフのカーボンフットプリントの90%は、従来から生産されている鉄鋼とアルミニウムの使用に因る。世界の自動車メーカーからの次世代自動車の受注に基づき、安全で持続可能なボディインホワイト(BIW、#1)部品への需要が今後数年間で大幅に増加すると、同社は見ている。

キルヒホフの調達担当グローバル・エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるマイケル・ランク氏は「顧客からのメッセージは明確で、二酸化炭素(CO2)排出量の少ない製品を求めている。H2グリーンスチールは、鉄鋼業界が持続可能性の面でより多くのことを行い、より速く前進することを後押ししている」と述べた(*1)。

今回の契約を通じ、H2グリーンスチールは、2027年よりスウェーデンのボーデン工場から欧州各地のキルヒホフの工場にグリーンスチールを納入する予定である。H2グリーンスチールは、顧客との契約に含まれる鋼材1トン当たりのエンボディド・カーボン(#2)の排出原単位(#3)に関する義務を負っている。

排出量削減のための継続的な取り組みは、キルヒホフのサプライチェーンおよびスコープ3排出量に影響を与える見込みだ。両社は、鉄スクラップ量の少なくとも30%をH2グリーンスチールのボーデン工場にあるアーク炉(電気炉の一種)に送り、リサイクルすることを目的としたサーキュラーエコノミーの取り組みでも協働する。

(#1)ボディインホワイト…自動車の金属板ボディ部品が同時に溶接された段階。
(#2)エンボディド・カーボン…材料調達から製造、輸送、廃棄までのCO2排出量。
(#3)排出原単位…1単位当たりの活動量から排出されるCO2排出量。

【参照記事】*1 H2グリーンスチール「KIRCHHOFF Automotive and H2 Green Steel in €130 million deal for supply near zero emissions steel

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