インドの台頭で恩恵を受ける日本企業は?投資のプロが注目銘柄を4つ解説
インドの平均年齢は28.2歳と若く、経済成長率も6%と高い水準で推移しています。今後の成長期待も高いため、インドには日本企業も多く進出しています。
本稿では投資のプロである筆者が、インドの成長により恩恵を受ける日本企業を解説します。
※株価は全て2024年2月4日時点です。
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※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定のサービス・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- インド台頭の背景
1-1.経済政策
1-2.人口構成や経済成長 - インドの台頭で恩恵を受ける日本企業
2-1.スズキ(7269)
2-2.関西ペイント(4613)
2-3.ダイキン(6367)
2-4.ユニ・チャーム(8113) - まとめ
1.インド台頭の背景
1-1.経済政策
インドのモディ首相は、海外からの投資を呼び込み、製造業の発展を通してインド経済のさらなる飛躍を目指す政策として、メイク・イン・インディア政策を掲げています。インドのGDPに占める製造業の割合を2022年までに25%に引き上げるという目標を掲げており、世界中から企業誘致を進めています。
日本企業の進出も多く、JETROによると1,439社(2021年10月時点)の日本企業がインドに進出しています。特に製造業が多く、全体の約49%を占めています。
参照:JETRO「インド進出日系企業リスト」
世界の企業がインドに進出する背景には、中国不安の高まりから、生産拠点などサプライチェーンをインドなどにシフトしていることがあります。
1-2.人口構成や経済成長
インド台頭の背景としては、インドの労働人口が多い人口構成や経済成長率が高いことが挙げられます。
国連の推計によると、インドの人口はすでに中国を上回っています。また、平均年齢は28歳(2023年時点)と、中国の37.4歳と大きく下回っています。
また、インドでは高等教育推進も進めており、国家教育戦略として2030年には高等教育への進学率を50%以上に引き上げることを目指し人材育成をすすめています。こうした人材育成は、今後も高い経済成長を続ける原動力となります。
世界銀行によると23/24年度インド経済成長率は6.3%と高い成長率を予想しています。消費の中心となる中間層が増加傾向にあり、インド経済のけん引役となっているようです。
参照:世界銀行「India’s Growth to Remain Resilient Despite Global Challenges」
2.インドの台頭で恩恵を受ける日本企業
ここでは、インドの台頭で恩恵を受ける日本企業4社を解説します。
2-1.スズキ(7269)
インドの自動車市場は拡大しており、2022年年間のインドの新車販売台数は世界3位の約472.5万台と日本(約420万台)を上回りました。一方、一世帯当たりの乗用車保有比率は8.5%(英調査会社ユーロミニター調べ)と低いため、自動車販売台数が増加する可能性が高いと言えるでしょう。
参照:GLOBAL NOTE「世界の自動車販売台数 国別ランキング・推移」
同社は1982年インド国営企業マルチ・ウドヨグ社(前マルチ・スズキ)との合併生産を開始しました。インドでの生産拡大を目指し、2030年度までには現在の年間約225万台を400万台体制に整える計画を発表し、インドでのシェア拡大を目指しています。
参照:日経クロステック「「年産400万台に向けてインド工場を統合」、スズキ副社長」
スズキの株価は6,936円。予想PERは12.23倍、PBRは1.42倍、配当利回りが1.51%です。
2-2.関西ペイント(4613)
関西ペイントは、塗料の生産・販売をしている企業です。同社の売上に占めるインドの割合は約26%(2024年3月期 第2四半期決算)で、日本の約33%に次ぐ大きな市場となっています。
インドでは自動車生産が好調なことに加え、工業向けの売上が拡大したため、売上高が前年同期比で約4%増加しました。自動車生産台数は今後も増加が見込まれるため、自動車向け塗料の売上の伸びが予想されます。
参照:EDINET「関西ペイント株式会社 四半期報告書」
インドでは海外からの工場誘致に力を入れていることから、自動車産業以外でも塗料需要の拡大が見込まれます。
関西ペイントの株価は2,455.5円。予想PERは8.91倍、PBRは1.73倍、配当利回りが1.47%です。株価に割安感がありそうです。
2-3.ダイキン(6367)
ダイキンは空調事業、化学事業、フィルタ事業を展開しています。海外の生産拠点は、世界110カ所以上に及び、海外売上が全体の83%を占めています。2023年度の売上高(計画)は4.24兆円と、前年比6.48%増を見込んでいます。
参照:ダイキン工業株式会社「業績・財務情報」
インド市場では、経済成長を背景に住宅用・業務用空調機器の販売が伸びているため、新規に工業を建設し、売上高を22年度の1,150億円から25年度には1,750億円に伸ばす計画です。さらに、家庭用エアコンの需要も見込まれています。
参照:ダイキン工業株式会社「FUSION25」
インドでは、夏の気温が40度を超すこともめずらしくありませんが、家庭用エアコンの普及率は10%以下にとどまっています。足元では、インドの経済成長にともない所得が増加傾向にあることから、家庭用エアコンの販売台数が伸びています。同社のインド市場における空調機器シェアは首位です。
ダイキンの株価は23,505円。予想PERは24.92倍、PBRは2.721倍、配当利回りが1.02%です。
2-4.ユニ・チャーム(8113)
ユニ・チャームは、ウェルネスケア関連商品・フェミニンケア関連商品・ベビーケア関連商品・Kireiケア関連商品のパーソナルケアや、ペットケア関連商品等の製造・販売を行っている会社です。売上高6,874億円(2023年1月1日から同年9月30日)のうち、海外売上高比率が67.2%です。アジアにおける売上高が3,247億円(47.2%)と、アジアの販売高が約50%を占めています。
主要国別売上では、中国がマイナスに転じるなか、インドでの売上が14%伸びています。インドでは中産階級層が増加傾向にあり、大人用排出ケア用品やベビーケア関連商品の売上が伸びています。
参照:ユニ・チャーム「2023年12月期第3四半期(1月1日~9月30日)決算説明資料」
ベビーケア関連商品は、若年層が多いインドでは、今後も需要増が期待できそうです。インドの人口ピラミッドをみると、14歳以下の若年層が人口の約25%を占めています。所得水準が経済発展とともに上昇傾向にあることも需要増に寄与しそうです。
ユニ・チャームの株価は5,225円。予想PERは37.23倍、PBRは4.55倍、配当利回りが0.77%です。株価には割高感がありそうです。
3.まとめ
今回はインドの台頭で恩恵を受ける日本企業を解説しました。取り上げた4社の他にも多くの企業がインド市場に進出し、売上を伸ばしています。
インドは高い経済成長とともに市場拡大が予想されます。また経済成長に伴い、所得上昇、中間所得層の増加が予想されるため、個人消費の拡大も期待できるでしょう。インド市場は今後も成長期待が高いため、長期投資を検討してみてはいかがでしょうか。
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