環境テックスタートアップ豪サムサラ、世界初の酵素を活用したリサイクルナイロン発表。ルルレモンと協働
環境テックスタートアップの豪サムサラ・エコ(Samsara Eco)は2月21日、カナダのスポーツ衣料品メーカーのルルレモン・アスレティカと協働し、世界初の酵素を活用してリサイクルされたナイロン6,6を発表した(*1)。
サムサラの技術で作られたリサイクルナイロンを使い、ルルレモンはアイコニックなSwifty Tech長袖シャツの試作品を作った。この種のナイロンがこのようにリサイクルされたのは初めてのことである。
ルルレモンの長袖の試作品に使用されているナイロンの90%以上は、サムサラの酵素を活用したリサイクル・プロセスを通じて生産されている。同サンプルは、顧客がルルレモン製品に期待するのと同じフィット感、肌触り、品質も提供している。
この試作品は、ファッション業界がサーキュラーエコノミー(循環経済)システム構築に一歩近づくための重要なマイルストーン(節目)となる。
年間およそ400万トンのナイロン6,6が生産されている。ナイロン6,6は繊維産業で最も一般的に使用されるプラスチックの1つで、ルルレモンがベストセラー製品の多くに使用している繊維である。その強靭な特性から、ファッション、自動車、電子機器など幅広い産業で使用されているが、リサイクルが難しいことでも知られている。
サムサラはルルレモンと協働し、使用済み段階の繊維製品からナイロン6,6を生成して廃棄物を有効利用する新技術(特許出願中)を生み出し、アパレルの完全なサーキュラーエコノミーを実現する可能性を示した。
サムサラの製造工程は、プラスチックを分解する酵素を使い、低温で数時間以内に完了する。バージン(新品の素材だけを使用して製造した)・ナイロン6,6の生産に比べ、同社の無限のリサイクル・プロセスは、毎年数千万トンもの二酸化炭素(CO2)の排出を削減できる可能性がある。
ルルレモンにとっても、サムサラとの複数年にわたる協業は、2030年までに環境にとって望ましい素材と使用済みソリューションで全製品を作るという目標達成に近づく方法の1つとなる。
サラサムの最高経営責任者(CEO)兼創業者であるポール・ライリー氏は「これまで、繊維製品をリサイクルしてナイロン6,6を生成する繊維to繊維は不可能だった。私たちがルルレモンと作成したサンプルは、繊維廃棄物の未来にとって世界初の画期的なものだ。ルルレモンとの取り組みは、衣服に無限の命を与える可能性を示した」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 Samsara「Samsara Eco and lululemon unveil world’s first enzymatically recycled nylon 6,6 product」
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