S&P500・オルカン以外に買っておきたいファンドは?投資のプロが注目する投資信託5選【新NISA】
2024年1月に新NISAが始まりました。つみたて投資枠で購入可能なファンドは約2,700本、成長投資枠で購入可能なファンドは約2,000本です。 外国株や米国株などの一部のファンドに資金が集中していますが、一つのカテゴリーに集中投資することはリスクが伴います。
この記事では、投資における分散投資の重要性と、おすすめの5つのファンドについて紹介します。新NISAでの投資を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
参照:日本経済新聞「つみたて投資枠・成長投資枠の対象投信」
※本記事は2024年4月2日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 人気が高まる世界株とS&P500を対象にしたインデックスファンド
- バランスファンドでGPIFと同じポートフォリオを作る
2-1.iFree 年金バランス - 新興国株や中小型株のファンドを購入する
3-1.いちよし中小型成長株ファンド
3-2.eMAXIS Slim新興国株式インデックス - REIT(不動産投資信託)やコモディティなどオルタナティブ資産を組み入れる
4-1.eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
4-2.三菱UFJ純金ファンド - まとめ
1.人気が高まる世界株とS&P500を対象にしたインデックスファンド
2024年1月から新NISAが始まりましたが、1月は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に約3,440億円、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に約2,090億円の資金流入がありました。個人投資家の間では、世界に幅広く投資する世界株ファンドと米国株ファンドが人気を二分しているのです。
ただし世界中の株式に分散投資しても、リスクは残ります。とくに、2024年2月末時点では、世界株式の約60%が米国株です。
米国株が調整局面に入ると、世界の株式に投資しているインデックスファンドの基準価額も下落する可能性が高くなります。長期投資では、リスクを抑えるために外国株だけでなく、国内株や外国債券、国内債券などに幅広く分散投資することが大切です。
参照:MAB「投信マーケット概況」
そこで参考になるのが、公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。GPIFでは、以下を基本ポートフォリオとしています。
- 国内債券 25%
- 外国債券 25%
- 国内株式 25%
- 外国株式 25%
参照:GPIF「2023年度第3四半期運用状況(速報)」
そして、2001年の市場運用開始以来、年率+3.99%のリターンとなっています。
参照:GPIF「2023年度の運用状況」
「オルカン」や「S&P500」など外国株式ファンドに集中投資すれば、高いリターンを狙えます。ただ毎年、最もパフォーマンスのよい資産クラスを正確に予測できれば、大きな利益を得ることができますが、これは非常に困難であり、一般的には不可能とされています。一方で、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式という4つの主要な資産クラスに均等に投資したポートフォリオの結果はどうだったでしょうか。
参照:GPIF「分散投資の意義①1位になる資産は当てられない」
2006年から2023年の間にこのようなポートフォリオ(国内債券、国内株式、外国債券、外国株式)で運用した場合、1位になることはありませんでしたが、最下位になることもありませんでした。
基本的に外国株式が高いリターンを出すことが多いものの、2008年のリーマン・ショックのときは-53%と大きなマイナスリターンとなっています。長期では高いリターンになっている外国株ですが、一時的な大きなマイナスに耐えられるかどうかが課題となります。
これは、様々な資産に分散投資することで大きな損失を避けることができるという重要な示唆を与えています。つまり、分散投資はリスクを管理し、安定したリターンを追求するための重要な戦略であるといえるでしょう。
2.バランスファンドでGPIFと同じポートフォリオを作る
バランスファンドを購入することで、GPIFの運用と似たようなポートフォリオを構築できます。
2-1.iFree 年金バランス
- つみたて投資枠 ✕
- 成長投資枠 ✕
- 基準価額 1万5174円
- 信託報酬 0.1749%(年率・税込)
- 純資産残高 78億円
- ※2024年2月末時点
参照:大和アセットマネジメント「マンスリーレポート」
たとえば、「iFree 年金バランス」は、GPIFの基本ポートフォリオに近づけることを目標とするファンドです。ただ、新NISAの対象ファンドではないので、新NISAを利用して投資信託を購入したい人は、後述するREIT(不動産投資信託)を含んだバランスファンドを購入するようにしてください。
3.新興国株や中小型株のファンドを購入する
新興国株や中小型株のファンドのような、ボラティリティが大きく、リスク・リターンの高い投資信託は、「リスク分散」と「時間の経過による平均化」の2つの要素により、長期積立投資に適していると言えます。
リスク分散
長期的な視点から見ると、リスクの高い投資は高いリターンをもたらす可能性があります。しかし、その反面、価格変動が大きいため、短期的な損失のリスクも高くなります。これを緩和するために、投資家は多数の異なる銘柄や資産クラスに投資することでリスクを分散するのです。これにより、一部の投資が損失を出しても、他の投資が利益をだすことで全体のリターンが安定します。
ドルコスト平均法
長期的な積み立て投資では、市場の上下動を利用してドルコスト平均法の効果を発揮します。つまり、株価が高いときは少ない株を、株価が低いときは多くの株を買うことになります。これにより、長期的には平均的なコストで投資することができ、リスクを軽減できます。
したがって、ボラティリティが大きく、リスク・リターンの高い小型株や新興国株のファンドは、これらの要素を最大限に活用するため、長期の積み立て投資に適していると言えます。
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を購入している投資家は、こういったファンドを組み入れることによって、リスクを分散しながら、より高いリターンを狙えます。新NISAで購入できる中小型株と新興国ファンドを紹介します。
3-1.いちよし中小型成長株ファンド
- つみたて投資枠 ✕
- 成長投資枠 ◯
- 基準価額 1万7583円
- 信託報酬 1.584%(年率・税込)
- 純資産残高 814億円
- ※2024年2月末時点
日本の中小型株式の中から個別企業の調査に基づき、中長期的に投資魅力が高いと判断される銘柄に積極投資するアクティブファンドです。DX(デジタル・トランスフォーメーション)やEV(電気自動車)、AI(人工知能)、ヘルスケアなど様々な成長テーマに対応できるマルチ・テーマ型運用を行います。
2024年2月末時点における、組入上位銘柄は、以下の通りです。
<table summary="組み入れ比率
参照:いちよしアセットマネジメント「月次レポート」
3-2.eMAXIS Slim新興国株式インデックス
- つみたて投資枠 ◯
- 成長投資枠 ◯
- 基準価額 1万4,705円
- 信託報酬 0.15180%(年率・税込)
- 純資産残高 1,403.54億円
- ※2024年2月末時点
MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み、円換算ベース)に採用されている新興国の株式に投資するインデックスファンドです。新NISAの成長投資枠だけでなく、つみたて投資枠でも購入できます。
2024年2月末時点における組入上位国・地域は、以下の通りです。
<table summary="組み入れ比率
参照:三菱UFJアセットマネジメント「月次レポート」
4.REIT(不動産投資信託)やコモディティなどオルタナティブ資産を組み入れる
GPIFでは、オルタナティブ資産にも投資しています。オルタナティブ資産とは、伝統的な投資対象である上場株式や債券とは異なるリスク・リターン特性を持つ投資資産のことです。GPIFでは、インフラストラクチャー、プライベートエクイティー、不動産などのオルタナティブに投資をしています。
これらをポートフォリオに組み入れることで運用の効率性を向上させ、年金財政の安定に寄与することが期待されています。一般的に、オルタナティブ資産は伝統的資産に比べて流動性が低いですが、その分利回りが高いとされています。
GPIFは長期の投資家であり、株や債券など豊富な流動性資産を有しているため、流動性の低いオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れ、投資ポートフォリオの効率性を向上させつつ、超過プレミアムを獲得することを目指しています。
GPIFはこのように幅広い商品に分散投資していますが、投資信託でもバランスファンドを利用して国内外の株式や債券、不動産投資信託(REIT)など幅広い資産に分散投資したポートフォリオを作ることが可能です。
4-1.eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
- つみたて投資枠 ◯
- 成長投資枠 ◯
- 基準価額 1万5,811円
- 信託報酬 0.143%(年率・税込)
- 純資産残高 2,519.69億円
- ※2024年2月末時点
国内株式・ 先進国株式・ 新興国株式 ・国内債券 ・先進国債券・ 新興国債券 ・国内リート ・先進国リートの8資産に均等に分散投資するバランスファンドです。株式ファンドよりはリターンが低くなるものの、リスクを分散できます。
参照:三菱UFJアセットマネジメント「月次レポート」
また、オルタナティブ投資の一環として、金などの商品(コモディティ)を組み入れることもリスクを軽減する分散投資として有効です。GPIFのポートフォリオを基本としながらも、5~10%程度コモディティ関連ファンドを組み入れるといいでしょう。
4-2.三菱UFJ純金ファンド
- つみたて投資枠 ✕
- 成長投資枠 ◯
- 基準価額 2万3,964円
- 信託報酬 0.99%(年率・税込)
- 純資産残高 1,617.43億円
- ※2月末時点
純金上場信託(金の果実)を主要投資対象とします。「金の果実」は国内に保管されている金の現物を裏付け資産としており、国内の取引所における金価格を反映します。2024年2月末時点における1年騰落率は22.3%となっています。
参照:三菱UFJアセットマネジメント「月次レポート」
5.まとめ
本稿では、以下の5つのファンドを紹介しました。
- iFree 年金バランス
- いちよし中小型成長株ファンド
- eMAXIS Slim新興国株式インデックス
- eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
- 三菱UFJ純金ファンド
長期投資では、幅広い資産に分散投資することが大切です。これまでのパフォーマンスが良好だからといって、外国株式など一つのカテゴリーに集中投資するのではなく、複数の資産に分散投資するようにしましょう。
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