ドイツ、ガスプロム元子会社を通じてパイプライン会社を国営化。欧州のエネルギー安全保障とエネルギー転換に貢献へ
ドイツ政府が、国営エネルギー大手SEFE(前身はロシア国営ガスプロム独子会社)を通じ、ガスパイプライン運営会社ヴィガ(Wiga)を国営化することが明らかになった(*1)。欧州のエネルギー安全保障を強化するとともに、ヴィガが有するガスパイプラインの水素輸送への転換を進める方針だ。
SEFEはすでにヴィラ株の49.98%を保有している(*2)。今回、独化学大手BASFの子会社ウィンターシャルより、残りの50.02%を買い取り、全額出資子会社にする。買収価格は公表されていないが、ウィンターシャルによると、ヴィガの資産(過去の費用実績をベースに将来価値を評価したRABベース)は約30億ユーロ(約4,900億円)になる(*2)。
ヴィガはガスネットワーク事業者であるGASCADEとNELを所有しており、両社合わせてドイツ国内で約4,150kmのネットワークを構築している。同ネットワークは、ロシア国営天然ガス大手ガスプロム保有の海底パイプライン「ノルドストリーム」とも接続しており、欧州のエネルギー安全保障とグリーンエネルギー転換にとって重要な役割を担っている。
SEFEの最高経営責任者(CEO)を務めるエグベルト・レーゲ博士は「SEFEがヴィガの単独株主となることで、GASCADEは既存の高性能インフラを将来的に水素輸送に転換できるようになる」と述べた(*1)。
SEFEは、セキュアリング・エナジー・フォー・ヨーロッパの略で、前身はロシア国営天然ガス大手ガスプロムの独子会社、ガスプロム・ゲルマニアだ。ロシアのウクライナへの全面侵攻後、ガスプロムが独事業から撤退したため、2022年11月にドイツ政府が国営化していた。
SEFEは28年末までに民営化する計画である。その際、欧州のエネルギー安全保障とグリーンエネルギー転換の観点から、ノルドストリームとの接続を含むガスパイプラインネットワークを構築するヴィラの重要性が高まっている状況だ。
ヴィガの国営化は、ドイツと欧州におけるSEFEの安全で信頼できるエネルギー供給という役割を強化するとともに、水素に関する専門性を高めるものだが、欧州委員会(EC)より買収と補助金規制の承認を得る必要がある。
ロシアによるウクライナ侵攻後、ドイツが国家安全保障を守るためにエネルギー資産の管理を強化する中、今回の取引は夏までに完了する見込みである。
【参照記事】*1 SEFE「SEFE TO BECOME SOLE SHAREHOLDER OF WIGA」
【参照記事】*2 ウィンターシャル「WINTERSHALL DEA ANNUAL REPORT 2023」
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