米エネルギー省、CO2輸送インフラの拡充に向けて最大770億円拠出。国内CCS産業の成長支援

米エネルギー省(DOE)は5月2日、全米の二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献し、CO2輸送インフラの拡充を支援するプロジェクトに対して、最大5億ドル(約770億円)を提供することを発表した(*1)。この取り組みを通じ、国内のCO2の回収・貯留(CCS)産業の成長を支援する狙いがある。

今世紀半ばまでにネットゼロ・エミッションを実現するというバイデン政権の目標を達成するためには、産業活動や発電から排出されるCO2を回収し、大気から直接CO2を除去する技術の開発と展開を加速させる必要がある。

このような取り組みは、回収したCO2を永久的に地中貯留、あるいは実用的で耐久性のある製品に転換するために輸送できる、安全で信頼性の高いシステムによって支えられなければならない。

DOE化石エネルギー・炭素管理局(FECM)のブラッド・クラブツリー次官補は「我々の気候変動目標を成功裏に達成するためには、今後25年間で増加するCO2の量に対応できる十分なインフラを確保することが重要である」と述べた(*1)。

米国のCO2輸送システムは、パイプライン、トラック、貨物などの複数の輸送手段を含め、年間約6,000万トンのCO2を輸送し、すでに相当な規模になっている。

DOEは、2050年までにネットゼロを達成するために、年間約4億~18億トンのCO2を回収し、永久に貯蔵する必要があると試算する。炭素回収・貯留(CCS)産業の急成長に対応するためには、今後10年間でCO2輸送のためのインフラを大幅に拡大しなければならない。

この資金提供公募(FOA)は、超党派インフラ法を通じて利用可能となったDOEのCO2インフラファイナンスイノベーション法(CIFIA)に基づき、助成金を提供するものである。

助成金は、CO2輸送網の設計、開発、建設に対する資金援助を目的としており、CO2の直接回収(DAC)施設などが建設され、CO2貯留や転換施設が稼働する際に、追加で利用できるようになる。

FOA の下では、輸送システム(パイプライン、鉄道、トラック、はしけ、船舶を含む)は、直接的または間接的に、2か所以上の CO2 排出源と1か所以上の転換サイトまたは安全な地層貯留施設を接続しなければならない。

FOAの助成に選定されたプロジェクトは、コミュニティと労働者にベネフィットをもたらす戦略を策定・実施し、その取り組みと成果を報告することも求められる。

FECMは21年1月以来、CO2輸送、貯留の研究開発および導入を推進するプロジェクトに8億4,200万ドル超を拠出してきた。この取り組みは、経済発展、技術革新、高賃金の雇用を促進するために不可欠である、とDOEは指摘する。

【参照記事】*1 米エネルギー省「DOE Announces $500 Million to Build a Safe and Reliable Carbon Dioxide Transportation System

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