熱貯蔵スタートアップのロンド、130億円調達。欧州で3つの産業脱炭素化プロジェクト推進
熱貯蔵スタートアップの米ロンド・エナジー(Rondo Energy)は6月26日、7,500万ユーロ(約130億円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、欧州でのプレゼンスを拡大し、低コストのクリーンエネルギーを供給するプロジェクトを推し進める。
今回の資金提供により、ブレークスルー・エナジー・カタリスト(BEC、#1)、欧州委員会(EC)、欧州投資銀行(EIB)およびロンドは、欧州で3つの産業脱炭素化プロジェクトを推進する。
各プロジェクトは、地元や遠隔地の風力・太陽光発電施設から低コストで断続的なエネルギーを取り込むよう最適化されている。食品・飲料、クリーン燃料、化学製品の生産者にドロップイン(置き換え)テクノロジーを提供して脱炭素化を支援する。これらの設備は、低コストで連続的、高圧のゼロカーボン・スチームと電力をサービスとして提供する。
BEVの責任者を務めるマリオ・フェルナンデス氏は「ロンドの技術は、産業界に安価な再生可能電力で脱炭素化を実現する、またとない機会を提供する。欧州の製造業が天然ガスへの依存をなくす方法を緊急に模索している今、同社のソリューションを活用することが極めて重要だ」と述べた(*1)。
化学大手コベストロは、ドイツ北部の生産施設でクリーン・エネルギー・サービスを提供するために、ロンド製の熱電池であるロンド・ヒート・バッテリー(RHB)を導入する。RHB100は、断続的な再生可能エネルギーで継続して蒸気を供給し、コベストロのサーキュラリティ(循環)と脱炭素化に貢献する。
デンマークの国立研究施設GreenLabは、グリーン・循環工業団地のパイオニアである。ロンドは同施設内の企業にグリーン熱を供給するクリーン・ユーティリティ・コアを建設する計画だ。
RHB100は自然エネルギーを動力源とする。高圧蒸気を発生させて熱電併給システム(CHP)を稼働し、断続的な電力をベースロード電源に変換して工業団地の複数の企業に供給する。ロンドの熱電池の恩恵を受ける最初の企業の1つは、グリーン熱を利用して低炭素バイオガスを生産し、その過程で化石燃料の使用をなくす予定である。
ロンドは、オンサイトとオフサイトの太陽光発電から電力を供給する第3のプロジェクトを立ち上げ、欧州の食品・飲料業界の生産者の脱炭素化を支援する取り組みの詳細を近日中に発表する予定でもある。
ロンドは2020年に創業し、米カリフォルニア州アラメダを本拠地とする熱貯蔵スタートアップだ。
RHBは100年以上の歴史を持つ素材と最先端のオートメーションを組み合わせ、断続的再生可能エネルギーを産業界が必要とする継続的で高温の熱と電力に変える。RHBは高耐久性の素材から作られており、既存の産業用機器やプロセスにシームレスに統合できるように設計されている。
(#1)BEC…米マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏が設立した ブレイクスルー・エナジーが立ち上げたプログラム。脱炭素関連のうち、研究開発段階を終えて商用化を目指す事業に投資するファンドとなる。
【参照記事】*1 ロンド・エナジー「Rondo Energy announces €75M project funding with Breakthrough Energy Catalyst and the European Investment Bank」
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