東京23区のマンション経営、家賃や物件価格のデータから見る注目のエリアは?

区分マンションで不動産経営を始めるなら、東京23区は多くの方に取って選択肢のひとつとなるでしょう。他府県からの転入超過によって人口推移も上昇傾向にあり、豊富な賃貸需要を見込んだ不動産運用が可能です。

今回は東京23区にクローズアップして、注目のエリアについてまとめました。今後東京でのマンション投資をしようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 東京23区のマンション賃料・価格・人口流入のランキング
    1-1.マンションの賃料上位
    1-2.マンション価格の上位
    1-3.若年層の人口流入にも着目
  2. 東京23区におけるマンション投資の注目エリア
    2-1.千代田区
    2-2.江東区
    2-3.品川区<!–2-4.葛飾区–>
  3. まとめ

1 東京23区のマンション賃料・価格・人口流入のランキング

1-1 マンションの賃料上位

東京23区において、ワンルームのマンション賃料の上位10区は次のとおりです。

東京23区マンション賃料(ワンルームの上位10区をもとに降順で掲載)


出所:ハトマークサイト(全宅連・全宅保証)「賃料相場:東京都
2024年07月20日時点

こちらのデータをふまえると、港区・渋谷区・千代田区・中央区といった区の賃料が高水準です。賃料収入が高ければ、月々潤沢なキャッシュフローを獲得するチャンスがあります。賃料水準はマンション経営の立地選びにおける参考指標のひとつとなるでしょう。

1-2 マンション価格の上位

続いて、成約ベースのマンション平均価格が上位の区をみてみましょう。不動産情報ライブラリを元に2023年の取引価格をもとに集計しました。

マンション成約価格


1DKと1Kの取引価格を集計
出所:不動産情報ライブラリ「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード

上位の区は家賃水準と変わらず、港区・渋谷区・千代田区・中央区等が上位を占めています。上位3区は、ワンルームでありながら平均価格は3,000万円台と相対的に高額です。なお、23区の平均は2,374万円で、上記では第9位にあたる品川区までが23区の平均を上回っています。

下位の地域を見ると、練馬区以下が2,000万円以下で購入が可能です。特に江戸川区・葛飾区は1,500万円以下と、取引価格ベースでは突出した安価となっています。

1-3 若年層の人口流入にも着目

今後の人口動態もエリア選びにおいては重要なポイントです。都市部のワンルームマンションや1DK程度のコンパクトマンションは、学生などの若年層や働き盛りの単身世帯からの需要が多く見込めるためです。

東京都が集計している2045年までの若年層の人口増減率をみてみましょう。相対的に減少率が小さい、もしくは2045年時点の人口が2020年時点の減少率10%以内に抑えられる区は次の通りです。

20歳~34歳の2045年の対2020年の人口減少率が10%以内の区


出所:東京都の統計「東京都の人口予測
2020年の各区の人口率を100として指数化。たとえば2045年の中央区の指数「127.8」はおよそ2020年対比で27.8%増加する予想であることを意味する。

中央区・千代田区・港区・江東区までは、2045年時点で2020年よりも若年層の人口が増加する見通しです。交通網が発達していて利便性も高いこれらの地域は、豊富な賃貸マンション需要が期待できます。

また、若年層の人口減少傾向にはあるものの、世田谷区・文京区・品川区も相対的に減少幅が小さく、他の地域と比べれば堅実なマンション経営がしやすい地域といえるでしょう。

2 東京23区におけるマンション投資の注目エリア

23区内には、堅実なマンション経営をしやすい地域が複数ありますが、今回はそのなかでも注目の区を紹介します。これからマンション経営を考えている方は、地域選びの参考にしてください。

2-1 千代田区

千代田区は、港区・中央区と並んで東京の中心地を形成する区のひとつです。そのなかで、千代田区は価格・賃料のバランスがよく、さらに当面の若年層の人口増加が見込まれる点でマンション投資がしやすいといえます。

主要3区の平均価格・ワンルーム賃料・若年層増減率の見通し

区名 平均価格 ワンルーム賃料 若年層増減率見通し
2020年~2045年
千代田区 3,035万円 11.64万円 +11.9%
港区 3,331万円 12.93万円 +8.4%
中央区 2,792万円 8.7万円 +27.8%

出所:ハトマークサイト(全宅連・全宅保証は)「賃料相場:東京都」、不動産情報ライブラリ「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」、東京都の統計「東京都の人口予測

ワンルームの賃料は、港区と千代田区が突出しており、3区のなかでは中央区は相対的に賃料が低くなります。港区と千代田区を比べると、物件価格も賃料も港区の方が一回り高い状況であるため、一概に優劣を付けられる状態ではありません。

一方で、将来の人口想定も加味すると、千代田区を選択するというのも一つの考え方となります。千代田区は、2020年から2045年にかけて若年層の人口が10%以上増加する人口予測となっており、今後も賃貸需要の増加が期待できます。

オフィスや商業施設の多いイメージがある千代田区ですが、神田や市ヶ谷、淡路町、飯田橋などマンションが立ち並ぶ地域も複数あります。千代田区内には東京駅もあり、東京都内の主要駅へのアクセスも良好です。

2-2 江東区

江東区も注目すべき地域のひとつです。江東区は、エリアによって様相が異なる点が特徴です。下町の雰囲気を残す深川エリア・城東エリアに対して、近年急速に開発が進み、都心勤めの方にも人気の臨海エリアがあります。

  • 深川エリア:門前仲町・深川・森下・白河など
  • 城東エリア:亀戸・大島・南砂など
  • 臨海部(湾岸)エリア:有明・豊洲・新木場など

東京駅を始めとした東側の都心部や、お台場周辺へのアクセスがよいのが特徴です。豊洲・有明エリアを中心に、近年急速にマンション開発が進んでいるため、投資物件も見つけやすいでしょう。

江東区は2045年の若年層の人口が2020年対比で+6.2%の見通しとなっていて、千代田区と同様に、長期でマンション経営を進める上でプラスに評価できるポイントです。マンション価格の平均は2,488万円と都心部の主要3区と比べると一回り安く、初期費用やローン借入を抑えてマンション投資を始めるのであれば、江東区を選ぶのも選択肢のひとつです。

2-3 品川区

品川は23区の南側の交通の要所です。品川駅は新幹線停車駅で、都内・遠方への移動双方において便利なため、人気エリアの一つとなっています。

再開発を見込んで投資を始める方法もあります。品川区内では高輪ゲートウェイ駅~泉岳寺駅などの再開発が進められています。2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅の周辺では、オフィスを中心とした複合的な機能を持つビル群の再開発が進められています。また、泉岳寺駅は高輪ゲートウェイ駅と至近の駅ですが、こちらも開発が進められています。2024年7月時点で進められているプロジェクトは下記です。

  • 高輪ゲートウェイシティ:2025年開業予定
  • 泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業:2028年工事完了予定

(※参照:東日本旅客鉄道株式会社「高輪ゲートウェイシティ(仮称)のまちづくりについて」、東京都庁都市整備局「報道発表資料」)

高輪ゲートウェイ駅のプロジェクトは「第一期」となっているため、将来さらなる開発が進められる可能性もあります。品川のマンション価格の平均は2,438万円で、23区のうち第10位と中位に位置しています。賃料もワンルームで見ると9位と同程度です。しかし、再開発により街の魅力・利便性が向上すれば、賃料・価格共にさらに上昇する可能性もあります。

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2-4 葛飾区

葛飾区は物件の平均価格では1,471万円となっていて、23区内で平均価格は最低値となっています。一方で2045年時点の若年層の人口減少率は-11%に留まり、物件価格を極力抑えたい場合には葛飾区も

23区全体で8番目(増加率が高い・減少率が小さい区を上位として集計した場合)の水準で、平均価格が近い江戸川区や葛飾区などとくらべても減少率が小さい見込みです。

葛飾区内でも地域によっては利便性が良く、人気エリアとなっています。たとえば綾瀬駅は足立区と葛飾区にまたがった地域ですが、千代田線の始発駅で大手町まで20分程度でアクセスできる地域となっています。

さらに、葛飾区では、2024年現在「葛飾区中川かわまちづくり計画」のもと、新小岩駅・京成立石駅・金町駅といった複数のエリアで再開発が進められています。もともと葛飾は下町の印象が色濃い地域でしたが、再開発によって便利で住みよい街として進化していくと期待されています。–>

3 まとめ

東京23区内には、利便性の高い地域が多数あり、初心者がマンション経営を始めるうえで適した地域の一つといえます。

今回は不動産価格や賃料、人口予想などをふまえて、そのなかでも有力な選択肢となりうる区を4つ紹介しました。23区の中からどこを選べば良いか見当がつかない場合には、今回の記事を参考に投資する地域を選んでみるのも一つの方法です。

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