ブランド保護の最前線ーブロックチェーンで実現するトレーサビリティと信頼性向上
当サイトでは、製造品のトレーサビリティにブロックチェーン技術がどのように活用されているかを解説してきました。製品のトレーサビリティは、アパレルの高級ブランド品、自動車部品、食品、宝石など、複雑なサプライチェーンを持つ製品や、真贋の確認が求められる製品で特に重要です。この分野では、ブロックチェーンの活用が進んでいます。リーガルテック株式会社は、ブロックチェーンと独自のアルゴリズムを用いたブランド&知財保護システム「HyperJ.ai」を、自治体の地方創生や企業に提供しています。
ここでは、同社が提供するシステムの特徴や「HyperJ.ai」の導入事例、トレーサビリティにおけるブロックチェーンの利用背景について詳しく解説します。
目次
- ブランド&知財保護システム「HyperJ.ai」とは
1-1.リーガルテック社とは
1-2.ブランドのボトリングティーにブロックチェーンを使う理由 - 製造業やブランド業界がブロックチェーンを使う理由
2-1.ブロックチェーン技術の基本的な概要
2-2.トレーサビリティにブロックチェーンを活用するとは?
2-3.ブロックチェーンがトレーサビリティに使われる理由 - 日本酒の偽造防止にNFC/RFIDデジタルペアリングを活用した事例
3-1.SBIトレーサビリティ「SHIMENAWA」とは - まとめ
①ブランド&知財保護システム「HyperJ.ai」とは
「HyperJ.ai」は、最先端のブロックチェーン技術と独自のアルゴリズムを組み合わせることで、模倣品を排除し、「日本製」で「本物」であることを証明するソリューションです。このシステムは、リーガルテック社の子会社であるJAPAN MADE事務局を通じて、農業やエンターテインメント業界で既に実績を上げています。
「HyperJ.ai」は、データの改ざんが事実上不可能なパブリックブロックチェーンを使用しており、高度なセキュリティを提供するブランド保護システムです。このシステムに登録された「ホンモノストーリー動画」は、メーカーが提供する商品とHyperJ.aiのアプリが直接連携することで、ユーザーはメーカーが伝えたい真実のメッセージをそのまま動画で確認できます。
1-1.リーガルテック社とは
リーガルテック株式会社は、国内外の訴訟支援サービスや、知的財産プラットフォーム「Tokkyo.Ai」、ブロックチェーン基盤の電子契約プラットフォーム「Keiyaku SaaS」、法令判例検索サービス「Legal Search」、ブランド&知財保護システム「HyperJ.ai」など、デジタルトランスフォーメーションを実現する新たなブランド戦略サービスを提供する企業です。
ブランド&知財保護システム「HyperJ.ai」を使った事例
リーガルテック株式会社は、子会社であるJAPAN MADE事務局を通じて、福岡県八女市の「八女伝統本玉露推進協議会」が開発した「八女伝統本玉露“YAME”」ボトリングティーに「HyperJ.ai」を導入しました。この商品は、農林水産省のGI(地理的表示保護)制度に認定されたGI製品であり、JAPAN MADE事務局が運営するGIブランドストア「Japanマルシェ」で販売されます。「HyperJ.ai」と「Japanマルシェ」の連携により、国内外でブロックチェーンを活用した知財保護とブランド証明を実現する、世界最高峰の玉露ボトリングティーとしてプロデュースされています。
※GI(地理的表示保護)制度とは、農林水産省が管理する制度で、特定の地域で育まれた産品の品質や特性を保護するためのものです。
1-2.ブランドのボトリングティーにブロックチェーンを使う理由
「HyperJ.ai」は、スマートタグとブロックチェーン技術を組み合わせた次世代のシステムで、製品の真贋性を証明し、特許取得のブロックチェーンPR動画を通じて生産者のビハインドストーリーを直接購入者に届けることができます。八女伝統本玉露“YAME”のボトリングティーがブロックチェーン技術を利用する理由について、以下の3点が挙げられます。
1.製品の真贋性の証明と安全性の確保
「HyperJ.ai」は、スマートタグとブロックチェーン技術を組み合わせることで、製品の真贋性を確実に証明します。これにより、偽造品や模倣品を排除し、消費者が安心して購入できる環境を提供します。
2.生産者のビハインドストーリーの直接伝達
特許取得のPR動画技術を使用して、生産者が商品の背景やこだわりを直接購入者に伝えることができます。これにより、八女伝統本玉露の魅力を生きた言葉で伝え、商品価値を高めることが可能になります。次世代のマーケティングシステムとして、新たなブランド価値の創出にも貢献します。
3.日本茶ブランドの信頼構築と国際的な高級茶市場での地位確立
世界の緑茶ファンの増加と共に、偽造品や模倣品の問題が深刻化しています。日本産だと信じて購入している海外消費者も多く、日本のお茶文化とブランド価値を守ることが急務となっています。「HyperJ.ai」の導入は、ブランド価値の創出や国際市場での信頼構築に寄与し、高級茶市場での地位を確立するための重要なステップとなります。
②製造業やブランド業界がブロックチェーンを使う理由
多くの製品は複雑なサプライチェーンを持ち、原産地が不明確なことも少なくありません。これにより、環境破壊や児童労働の問題が潜んでいることがあります。また高級ブランド業界も模造品の横行により長年、大きな経済的損失を被ってきました。OECD(経済協力開発機構)によると、2016年に著作権侵害物の取引額は過去最高を更新し、その金額は5090億ドルと推計されています。このような被害を防ぐために、高級ブランド業界ではブロックチェーンの利用による対策が始まっています。
ブロックチェーンは、分散型台帳と暗号化技術を駆使し、情報の透明性と信頼性を確保することが可能です。これを活用することで、生産者に対する利益の還元と市場競争力の強化が図れます。
2-1.ブロックチェーン技術の基本的な概要
ブロックチェーンを一言で説明するのは難しいですが、その基本的な特性としては、中央管理者が不要でデータの改ざんが難しい、取引履歴を維持できるデジタル台帳という点が挙げられます。ブロックチェーンは仮想通貨の基盤としても知られていますが、その根底にある技術は、改ざんの難しい取引履歴の維持という目的を達成するためのものです。
ブロックチェーンは各ノードが台帳を共有し、取引履歴を分散的に管理するという特徴を持っています。そのため、ブロックチェーンは「分散型台帳技術」(Distributed Ledger Technology)とも呼ばれています。この構造により、ハードウェアの障害によるシステムの停止リスクを大幅に減らすことができ、誰でも取引履歴を追跡することが可能となります。
物流業界や食品業界では、このブロックチェーンの特性を利用して、生産元から消費者までの履歴の正当性を証明し、流通に関わる全ての業者がそのトレーサビリティを確認できるようなシステムを構築しています。
2-2.トレーサビリティにブロックチェーンを活用するとは?
ブロックチェーンの特徴と利用事例を高級ブランドの問題に適用すると、原材料や製品のトレーサビリティの高度化が期待できます。製品のライフサイクル全体にわたる情報をブロックチェーンに記録することで、その製品がどの段階を経て消費者の手に渡ったのかを追跡することが可能になります。
ブロックチェーンに情報を記録することで一元的に管理が可能となり、業者から消費者まで、真正なブランド商品を確認するシステムを構築できます。流通過程の記録や証明書などは、商品に付けられたQRコードをスマートフォンでスキャンすることで簡単に確認でき、真贋判定をスムーズに行うことができます。
例えば、アメリカの大手スーパーマーケットチェーンである「ウォルマート(Walmart)」では、ブロックチェーン技術を活用して食品のトレーサビリティを確立し、安心・安全な食品購入環境を提供しています。詳しい内容については以下のリンク先の記事をご覧ください:https://hedge.guide/feature/walmart-bc202304.html
2-3.ブロックチェーンがトレーサビリティに使われる理由
真贋性の確保と信頼性の向上
ブロックチェーン技術は、不変かつ改ざん不可能なデータベースを提供します。これにより、製品の履歴や真贋性を確実に記録できるため、消費者は製品が本物であることを確認できます。信頼性の高い情報が提供されることで、ブランドの信頼性も向上します。
サプライチェーンの透明性と効率化
ブロックチェーンは、サプライチェーン全体の透明性を確保します。各段階での情報がリアルタイムで記録され、関係者全員がアクセスできるため、製品がどのように生産・流通されてきたかを明確に追跡できます。これにより、不正行為やトラブルの早期発見と対処が可能になり、サプライチェーンの効率化が図れます。
ブランド価値の保護と強化
偽造品や模倣品の排除がブロックチェーン技術により実現されることで、ブランドの価値が保護されます。消費者は信頼できる製品を手に入れることができ、ブランドの評判が向上します。また、生産者のビハインドストーリーや品質に関する情報を直接消費者に届けることができるため、ブランドの魅力や独自性を強化し、新たなブランド価値の創出にも繋がります。
③日本酒の偽造防止にNFC/RFIDデジタルペアリングを活用した事例
奈良県にある油長酒造が、SBIトレーサビリティが提供するブロックチェーントレーサビリティサービス「SHIMENAWA」の導入を決定したと、2023年5月30日に発表されました。「SHIMENAWA」の導入は、油長酒造が誇る「水端(みづはな)」ブランドから実施され、その後も、油長酒造の代表銘柄に採用されました。
油長酒造の他にも、「梵」を提供する福井県の加藤吉平商店や、「零響(れいきょう) – Absolute 0 -」を提供する宮城県の新澤醸造店といった、他のプレミアムラインの日本酒提供者も、「SHIMENAWA」を導入しています。
創業162年の加藤吉平商店が提供する「梵」は、国賓歓迎晩餐会や国際行事で採用されるなど、105ヶ国に輸出される日本酒として知られています。海外市場では、こうしたお酒の空き瓶が高額で取引され、それを利用した偽造品が横行している問題があります。残念ながら、「梵」もその被害に遭っているとの報告があります。
このような「商品偽造」の問題を解決するため、「梵」は「コルダ」やNFC/RFIDを用いたデジタルペアリングを採用し、未開封の「梵」であることを確認できるようにしました。
3-1.SBIトレーサビリティ「SHIMENAWA」とは
SBIトレーサビリティが提供する「SHIMENAWA(しめなわ)」は、米国R3社の開発したエンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ(Corda)」と、サトー社のNFC/RFID技術を組み合わせたデジタルペアリングを利用しています。また、今回、日本酒の不正流通を防ぐための新機能が追加されました。
「SHIMENAWA」は日本酒の不正流通を防ぐ目的で、品質の「真贋証明」や「開封検知」、そして「日本酒のストーリー可視化」などのサービスを提供しています。ブロックチェーンを用いた「真贋証明」機能により、日本酒を購入する消費者に対し、酒造メーカーとして本物を提供する確証を与えることができます。これにより、消費者からの信頼性が向上することが期待されます。
また、「開封検知」機能を利用すると、銘柄が「いつ」「どこで」「どれだけ」消費されたかのデータを取得できます。このデータは、酒造メーカーにとっては経営判断の一助となるだけでなく、消費者に対しては、購入した特別な日本酒の希少性を強調するという新たな価値を提供することが可能となります。
2021年9月に発表された「SHIMENAWA」は、同年12月よりコンビニエンスストアのローソンで、生産地情報表示のプラットフォームとして導入されました。中国上海のローソンでは、おにぎりのパッケージにQRコードを添付し、それを「SHIMENAWA」で読み取ることで、使用されているお米の産地情報を確認することができます。
④まとめ
ブランド保護やトレーサビリティの向上において、ブロックチェーン技術の導入は非常に効果的です。特に、製造業や高級ブランド品においては、模倣品や偽造品の問題が長年の課題となっており、OECDの報告によれば、2016年の著作権侵害による被害額は5090億ドルに達しています。このような背景から、ブランドの信頼性を確保し、サプライチェーンの透明性を向上させるため、ブロックチェーンが重要な技術として注目されています。
リーガルテック株式会社が提供する「HyperJ.ai」は、ブロックチェーン技術と独自のアルゴリズムを活用した先進的なブランド&知財保護システムです。このシステムは、農業やエンターテインメント業界での実績もあり、模倣品を排除し、本物であることを証明することで、製品の信頼性を高めます。また、スマートタグとブロックチェーンを連携させ、商品の生産背景やブランドのメッセージを動画で直接消費者に伝えるというユニークな機能を持っています。
さらに、日本酒業界でもブロックチェーン技術が導入されています。SBIトレーサビリティの「SHIMENAWA」は、NFC/RFID技術を用いたデジタルペアリングを提供し、プレミアム日本酒の真贋証明や偽造防止に貢献しています。特に、国際的に高い評価を受ける日本酒「梵」では、偽造品の問題が深刻化しており、NFC/RFID技術を導入することで消費者が本物を確認できる仕組みを構築しています。
これらの事例からもわかるように、ブロックチェーン技術は、製品の真贋性を証明し、サプライチェーン全体の透明性を確保することで、ブランド価値の保護と強化に大きく貢献しています。今後も、製造業やブランド業界におけるブロックチェーンの活用は拡大し、新たなサービスや技術が登場することで、さらなる価値の創出が期待されます。
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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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