エコバディス、人権リスク評価Ululaを買収。グローバルサプライチェーンにおける人権インパクト向上へ

仏評価専門会社のエコバディスは9月4日、人権リスク評価会社のUlulaを買収したと発表した(*1)。エコバディスはUlulaを傘下に収めることで、グローバルサプライチェーンにおける人権インパクトの向上に生かす。

Ululaの従業員エンゲージメント・プラットフォームは、エコバディスのサプライチェーン全体で顧客が利用できるソリューションの拡充や信頼性の向上につながり、世界中で責任ある公正な雇用慣行を推進するのに寄与する。

Ululaは、サハラ以南のアフリカの方言であるチチェワ語で「明らかにする」を意味する。ニジェール川のデルタからペルーの高地まで70か国の農業、鉱業、エネルギー産業のコミュニティや労働者と長年にわたって関わってきた後、2015年に設立された。社会や環境、人権などを配慮して経営しているB Corp認定も取得している。

Ululaの従業員エンゲージメント・プラットフォームは、エコバディスのプラットフォームのデータを大幅に強化し、自動化された労働者調査、苦情処理管理システム、分析ダッシュボードを通じて更なる洞察を促進する。Ululaのツールは、約70カ国、150社超の企業が世界中のサプライチェーンで400万人以上の労働者にリーチするのを支援してきた。

企業は同プラットフォームを通じて労働者や地域社会と直接関わり、サプライチェーン全体の人権・労働権のリスクを特定し、継続的に更新されるデータに基づいて実行可能な洞察を構築できる。リスクに対処し、改善へのアクセスを促進することも可能だ。

エコバディスはUlulaの独自プラットフォームが加わったことで、労働者の定期的な調査とサンプリングを拡大し、匿名の第三者システムによる機密性を確保できる。いつでも、どこからでも、如何なるデバイスからでも、114の言語でアクセスすることも可能である。

Ululaのアントワーヌ・ユーティ創業者兼最高経営責任者(CEO)は「弊社の労働と人権に関する直接的なデータ収集と信頼できる洞察力をエコバディスのグローバルなプラットフォーム・ネットワークと組み合わせ、これまでにない規模でポジティブなインパクトをもたらすことができる」と述べた(*1)。

国際労働機関(ILO)のデータによると、世界で強制労働の状態にある2,800万人の男性、女性、子どものうち63%が民間部門、主に企業のサプライチェーンに存在する。反奴隷制および人権デューデリジェンスは、現代奴隷法、企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)および企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の中核をなすものである。その影響はグローバル・バリュー・チェーン全体に波及する。

これらの法律は、バリューチェーンのサステナビリティ・パフォーマンスの開示を支援するために、かつてないレベルの厳格さと検証可能な詳細な情報を要求している。特にCSDDDは、2029年までに欧州で4億5,000万ユーロ(約712億円)以上の売上高を持つ全ての欧州連合(EU)および非EU企業に、サプライチェーンにおける苦情処理メカニズムの導入を義務付ける。新指令に違反した場合には全世界の売上高の最高5%までの罰則も認める。

EUの強制労働規制や米国の1930年関税法第307条のような強制労働による製品の禁止は、既にサプライチェーン全体でより厳しいデューデリジェンスを指示している。ドイツのサプライチェーン・デューデリジェンス法(LkSG)やカリフォルニア州サプライチェーン透明性法など現代奴隷法や苦情処理メカニズムの要件は、各国・地域でも採用され続けている。

エコバディスはUlulaの買収を通じ、労働と人権の状況について、労働者とコミュニティから定期的な現場フィードバックを得ることで、従来のメカニズムによる情報格差の解消を図る。

【参照記事】*1 エコバディス「EcoVadis Acquires Ulula To Help Improve Human Rights Impact Across Global Supply Chains

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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