急成長するDePIN、ソーラーファーム×ブロックチェーン 「Glow」が描く持続可能なエネルギーの未来

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. DePINとは
    1-1. DePINの概要
    1-2. DePINが注目される背景
  2. Glowとは
    2-1. Glowの概要
    2-2. Glow誕生の背景
  3. Glowの特徴
    3-1. アクセスの民主化
    3-2. 拡張性と柔軟性
    3-3. 2種類のトークン
    3-4. インセンティブ設計
  4. Glowのカーボンニュートラルへの効果
    4-1. 再生可能エネルギーの普及
    4-2. 分散型インフラの効率化
    4-3. インセンティブによるカーボンクレジット市場への貢献
    4-4. 産業界や交通分野への応用
  5. まとめ

DePIN(ディーピン)は、2023年に著しい成功を収めたことが話題となっており、その資金調達額は前年比で296%増加したほか、総時価総額は400%増の200億ドルに達しています。

また、そんなDePINプロトコルの中でも3番目に収益が高いとされているのが、クリプト経済システムの提供を行っている「Glow」です。Glowは、高い品質を有するソーラーカーボンクレジットを創出するシステムを構築しており、カーボンニュートラルへの取り組みが急がれている現在、画期的なソリューションとして期待されています。

そこで今回は、DePINで注目されているGlowについて、その概要や特徴、また、カーボンニュートラルへの効果などを詳しく解説していきます。

1. DePINとは

1-1. DePINの概要

DePINは「Decentralized Physical Infrastructure Network」の略で、日本語では「分散型物理インフラネットワーク」と訳されます。これは、トークンエコノミーを活用してインフラの構築と運営を効率的に調整可能にしたシステムです。

DePINの登場により、現実世界のさまざまな物理インフラをブロックチェーンで構築・管理できるようになりました。これまで物理インフラは政府や大企業などが中央集権的に管理してきましたが、DePINのテクノロジーによって、世界中の人々がネットワークにアクセスし、インフラ運用に参加することが可能になっています。

特筆すべきは、DePINが2023年に著しい成功を収めたことです。その資金調達額は前年比で296%増加し、総時価総額は400%増の200億ドルに達しています。物理インフラ、ミドルウェア、ブロックチェーンなど、さまざまな環境からのデータを正確かつ安全に収集し、データの完全性とアクセシビリティの保証を実現しています。

1-2. DePINが注目される背景

分散型物理インフラネットワークが注目を集める背景には、中央集権的なインフラ管理の課題とブロックチェーン技術による新しい解決策への期待があります。従来、インフラは政府や大企業によって管理されており、集中化による地政学リスクや災害時の脆弱性が指摘されてきました。特にエネルギー供給や通信基盤の依存度の高さは、世界的な課題となっています。

ブロックチェーンは非中央集権的で透明性の高い管理を可能にします。DePINがこれを基盤とすることで、小規模事業者や個人がインフラ管理に関与し、分散管理を実現するモデルとして期待されています。この分散型モデルは、コスト削減やリスク軽減につながり、より持続可能で柔軟なインフラ運営を可能にします。

さらに、気候変動やエネルギー問題の解決策として、DePINは再生可能エネルギーやスマートシティにも応用されています。分散型エネルギーグリッドや自律輸送ネットワークなど、効率的かつサステナブルなシステム構築が進んでいます。今後、コスト削減や環境負荷の軽減、地域ごとのニーズに応じたインフラ運営の再構築が一層進むと見込まれています。

2. Glowとは

2-1. Glowの概要

引用:Glow


Glowは、ブロックチェーン技術とDePINの原則を活用したクリプト経済システムです。主な目的は、ソーラーカーボンクレジットを創出することで採算性の低いソーラーファームの設立を奨励し、経済的な持続性を確保することにあります。

カーボンクレジットは企業間で温室効果ガス削減量を売買する仕組みとして知られており、補助金なしでの排出削減プロジェクト支援としても用いられています。しかし、ソーラーカーボンクレジットには経済的に自立した発電所での活用や、削減量の判定が難しいという課題があり、信頼性と透明性の欠如が市場の成長を妨げてきました。

Glowはこの課題に対し、厳格な監査システムを構築し、参加するソーラーファームに対して高い品質基準を課すことでカーボンクレジットの信頼性を高めることを目指しています。太陽光発電パネルの導入促進と効果的な二酸化炭素削減を目的としたカーボンクレジット利用を提案しており、検証可能なクレジット創出システムの確立によって、費用対効果の最大化とグローバルな標準の確立が期待されています。

2-2. Glow誕生の背景

Glow誕生の背景には、地球規模の気候変動危機と持続可能なエネルギーへの転換という課題があります。従来の化石燃料依存のエネルギー供給は、気候変動の主要な要因の一つとされ、再生可能エネルギーの普及が急務となっています。しかし、これまでのエネルギーシステムは中央集権的で、地域ごとのエネルギー需要に対応する柔軟性に欠けており、持続可能なエネルギーへの移行には多大な時間とコストがかかるとされてきました。

Glowはこの課題に対し、ブロックチェーン技術を活用したDePINプロトコルを導入し、分散型のアプローチでクリーンエネルギーへの転換を目指しています。分散型ネットワークによって個人や小規模事業者の参加を促し、地域ごとの需要に対応した柔軟なエネルギー供給の実現を目指しています。

さらにGlowは、環境保護の枠を超えた「豊かさ」の追求も行っています。従来の気候活動が資源節約や犠牲を強調する一方で、Glowは余剰エネルギーの創出を目指し、社会全体がシームレスに持続可能なエネルギーへ移行できる環境を整えています。温室効果ガス排出削減と経済成長の両立をビジョンに掲げ、グローバルなクリーンエネルギー革命を推進しています。

3. Glowの特徴

3−1. アクセスの民主化

Glowは、エネルギーの生成と供給における参加の民主化を実現しています。太陽光や風力などの再生可能エネルギー技術の導入を容易にし、個人やコミュニティがエネルギー生成の一部を所有して市場に供給できるシステムを構築しています。このアプローチにより、エネルギーの地産地消が促進され、地域経済への貢献も期待されています。

3−2. 拡張性と柔軟性

Glowの分散型アプローチは、優れた拡張性を特徴としています。小規模なコミュニティから大規模な都市まで、あらゆる規模で適用が可能です。エネルギー需要に応じた柔軟な対応ができるだけでなく、エネルギーインフラが地理的に分散しているため、災害や障害の影響を受けにくく、信頼性の高いエネルギー供給を実現しています。

3−3. 2種類のトークン

Glowは、「Glowトークン(GLW)」と「Glowカーボンクレジット(GCC)」という2種類のトークンを採用しています。

GLWはERC-20トークンとして設計され、プロトコル参加者のネイティブ報酬トークンとして機能するとともに、GCCを獲得するための通貨としても利用されます。GLWは毎週230,000トークンが配布され、年間で約1200万トークンのインフレ設計となっています。

一方、GCCはトークン化されたカーボンクレジットとして機能し、GLWを使用して購入することができます。カーボンクレジット市場は拡大を続けており、信頼性の高いカーボンクレジットへの需要も高まっているため、GCCの需要は今後も安定的に推移すると予想されています。

3-4. インセンティブ設計

Glowのインセンティブ設計は、ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)システムをモデルとしており、創設者はこれを「Foundational DePIN」と呼んでいます。ビットコインが物理的なマイニングインフラの大規模な展開を促したように、Glowはソーラーファームにおいても同様の効果の実現を目指しています。

ソーラーファームの運営において、最も大きな障壁は高額な初期費用です。しかし、Glowのプロトコルを通じて継続的に米ドル建ての報酬を受け取ることができるため、この初期投資の回収が容易になります。これによりソーラーファームは長期的な視点でカーボンクレジットの創出に取り組むことができ、持続可能なビジネスモデルが実現します。

さらに、トークンのインフレを調整したGLWの下限価格の上昇や、2030年までに15〜50倍に増加すると予測されるカーボンクレジットの需要により、GLWの本質的な価値の向上が期待されています。

4. Glowのカーボンニュートラルへの効果

4−1. 再生可能エネルギーの普及

Glowは、従来の化石燃料を利用したエネルギー供給をクリーンエネルギーに置き換えることを目指しています。これにより、化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素排出を大幅に削減し、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出抑制が期待されています。特に電力網全体のクリーンエネルギーへの転換により、エネルギーセクター全体の脱炭素化を進めることが可能となっています。

4−2. 分散型インフラの効率化

Glowの分散型インフラは、エネルギー供給の効率性を大幅に向上させています。従来の中央集権的なエネルギー供給システムでは、エネルギーの生成から消費地への輸送中に大きな損失が発生していましたが、Glowの分散型モデルでは、エネルギーを地産地消の形で供給することで、このロスを最小限に抑えることに成功しています。

4−3. インセンティブによるカーボンクレジット市場への貢献

Glowは、独自のインセンティブシステムを通じてカーボンクレジット市場に大きく貢献しています。再生可能エネルギーの供給者は、余剰エネルギーやカーボンオフセットをカーボンクレジットとして取引することが可能です。この経済的なインセンティブを通じて、企業や個人が自発的に二酸化炭素削減に貢献する仕組みが形成されています。

4−4. 産業界や交通分野への応用

Glowのエネルギー供給モデルは、エネルギー集約型の産業や交通分野にも広く応用可能です。工場や物流、電気自動車(EV)などのクリーンエネルギー化を促進することで、これらの分野における二酸化炭素排出の大幅な削減が実現しつつあります。

5.まとめ

Glowは、2023年から大きな注目を集めているDePINを活用し、革新的なクリプト経済システムを構築しています。再生可能エネルギーの普及と分散型インフラの確立を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要なプラットフォームとなっています。

エネルギー効率の向上、二酸化炭素排出の削減、サスティナブルなインフラの普及を同時に達成することで、気候変動対策の重要な役割を担っています。エネルギーとカーボンクレジットは、今後のカーボンニュートラルへの取り組みにおいて重要なキーワードとなることが予想され、急成長を遂げているGlowの今後の展開が注目されています。

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Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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