商船三井・MISC・PETRONAS、アジア初の本格的CO2輸送事業で合弁会社設立 2026年の排出量取引義務化見据え

商船三井、マレーシアのMISC BERHAD、PETRONAS CCS Venturesの3社は6月17日、液化CO2(LCO2)運搬船の開発・運営を手掛ける合弁会社「Jules Nautica」を設立したと発表した。アジア太平洋地域で国境を越えたCO2輸送インフラを構築し、炭素回収・貯留(CCS)事業の商業化を加速させる。日本では2026年度から大規模事業者にCO2排出量取引が義務付けられることから、CCSへの需要拡大が見込まれる。

新会社が開発する62,000立方メートル型のLCO2運搬船は、2024年12月に船級協会DNVから設計認証を取得済み。低圧低温でCO2を輸送する技術としては「業界で最も開発が進んだ設計の一つ」(同社)という。CO2を排出する産業施設から回収したCO2を液化し、船舶で貯留適地まで輸送することで、CCSの事業化を支える。

アジア太平洋地域では、日本や東南アジアの産業集積地の近隣に適切なCO2貯留地が限られており、船舶による長距離輸送が不可欠となっている。新会社は排出事業者と貯留事業者をつなぐ輸送インフラとして、地域全体のCCSプロジェクトを支援する方針だ。

日本では2023年5月に成立したGX推進法により、2026年度から年間CO2排出量10万トン以上の事業者に排出量取引制度への参加が義務付けられる。2028年度には炭素税の導入も検討されており、大規模排出事業者にとってCCSは重要な脱炭素手段となる。欧州でも2026年から炭素国境調整メカニズム(CBAM)が本格運用され、輸出企業への脱炭素圧力が高まることから、CCS需要の急拡大が予想される。

商船三井の橋本剛社長は「この協業は、マレーシアと日本にとどまらず、アジア太平洋地域全体の脱炭素化の取り組みをリードし、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する」と述べた。MISCのザヒド・オスマン社長も「CCSバリューチェーン全体の技術の成熟を加速させる」と強調した。

3社はそれぞれの強みを生かし、商船三井が海運ノウハウ、MISCが東南アジアでのネットワーク、PETRONASがエネルギー産業の知見を提供する。今後、CO2排出事業者や貯留事業者との商業契約締結を進め、2020年代後半の事業本格化を目指す。

【参照記事】MOL, MISC and PETRONAS Announce Landmark Joint Venture to Advance Cross-Border CO2 Transportation

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