物件価格上昇で都心の区分マンション投資は利回り2%台へ。これから利益を出すための不動産投資戦略は?【取材あり】

都心の不動産価格は高騰を続け、中古マンションの価格も過去最高水準で推移しています。その結果、都心の区分マンション投資では表面利回りが3%前半も珍しくなく、物件によっては2%台に突入するケースも増えてきています。

このような状況下で、「今から不動産投資を始めても、本当に利益は出るのだろうか?」「高値掴みになって損をするのではないか?」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

しかし、物件価格が上昇し、家賃も下がりにくい現在の市場環境は、確かな戦略があればむしろチャンスとなり得ます。重要なのは、表面的な利回りだけでなく、将来の家賃上昇や資産価値向上まで見据えたトータルリターンで投資を判断することです。

本記事では、利回り2%台時代とも言える現在の市場で、着実に利益を狙うための不動産投資戦略を解説します。さらに、豊富な実績を持つ不動産投資会社「エイマックス」の宮地氏に、プロが見る現在の市況感や、利益を出すための具体的な物件選びのコツを伺いました。

目次

  1. 都心区分マンション投資の現状
  2. なぜ都心の物件価格は高騰し、家賃は下がらないのか?
    2-1. 物件価格が高騰する背景
    2-2. 家賃が下がりにくい背景
  3. 低利回り時代に利益を出すための不動産投資戦略
    3-1. 家賃アップによるインカムゲイン向上
    3-2. 資産価値上昇によるキャピタルゲインの獲得
  4. 【専門家インタビュー】利回り2%台でも利益を出すための物件選びと運用術
    4-1. エイマックス 宮地 英氏 プロフィール
    4-2. Q1:最近の都心区分マンション市場をどう見ていますか?利回り2%台は普通ですか?
    4-3. Q2:低利回りでも利益を出すために、どのような物件を仕入れていますか?
    4-4. Q3:これから投資を始める人が、利益を出せる物件を見極めるポイントは?
  5. まとめ

1. 都心区分マンション投資の現状

まず、3%前半の表面利回りが具体的にどの程度の価格・家賃水準にあるのか確認しましょう。

たとえば、物件価格4,000万円の都心の区分マンションで、家賃10.5万円の表面利回りを計算すると、以下のようになります。

月額家賃10.5万円(年126万円) ÷ 物件価格4,000万円 = 表面利回り3.15%

今後の価格高騰がさらに進み、この物件に4,400万円の値が付いた場合、利回りは下記のように低下します。

月額家賃10.5万円(年126万円) ÷ 物件価格4,400万円 = 表面利回り2.86%

このように、物件価格の上昇によって表面利回りは3%を割り込み、2%台に突入するケースが現実に出てくることが予想されます。さらに、ここから固定資産税や管理費、修繕積立金などの諸経費を差し引いた「実質利回り」はさらに低くなるため、キャッシュフローは以前より厳しくなっているのが実情です。

2. なぜ都心の物件価格は高騰し、家賃は下がらないのか?

では、なぜこれほどまでに都心の不動産市場は過熱しているのでしょうか。その背景には「物件価格」と「家賃」それぞれに要因があります。

2-1. 物件価格が高騰する背景

東京カンテイの調査によると、首都圏の中古マンション70㎡価格は2025年5月時点で東京23区は10,088万円と13ヵ月連続の上昇、集計開始以降で初の1億円を突破しました。この背景には、主に以下の要因が挙げられます。

  • 歴史的な低金利: 金融緩和政策により、不動産投資ローンの金利が低水準で推移。少ない自己資金でも融資を活用して投資を始めやすい環境が続いています。
  • インフレヘッジ需要: 物価上昇や円安を背景に、現金の価値が目減りすることへの対策として、実物資産である不動産に資金を移す動きが活発化しています。
  • 建築コストの上昇: インフレによる資材調達やコスト増により建築時のコストが上昇し、新築物件の価格が上昇を続けています。
  • 海外投資家の流入: 円安により、海外の投資家にとって日本の不動産が割安になっています。特に資産価値の安定性が高い都心の物件に人気が集中しています。

2-2. 家賃が下がりにくい背景

一方で、家賃も物件価格を追うように上昇傾向にあります。東京カンテイの調査によると、分譲マンション賃料は2025年6月時点で、東京23区は4,803円/㎡と7ヵ月連続で上昇しています。

家賃が下がりにくい、むしろ上昇している背景には、以下のような複合的な要因があります。

  • 若年層の都市部流入: 進学や就職を機に地方から都市部へ移り住む若者が増えており、単身者向けマンションの賃貸需要は非常に旺盛です。
  • 供給の不均衡: 旺盛な需要に対し、新築マンションの供給が追いついておらず、需給バランスが引き締まっています。
  • 賃金の上昇: 大企業を中心に初任給の引き上げなどが相次ぎ、若年層の家賃支払い能力が向上していることも、家賃相場を押し上げる一因です。
  • ライフスタイルの変化: リモートワークの普及で自宅で過ごす時間が増え、「より快適な住環境」を求める傾向が強まっています。これにより、多少家賃が高くても設備の整った質の高い物件が選ばれるようになっています。

しかし、物件価格の上昇ほどには家賃は上昇しておらず、それが現在の利回り低下につながっているのです。

3. 低利回り時代に利益を出すための不動産投資戦略

表面利回りが低下する中、これからの不動産投資では目先の利回り数字だけに囚われない、中長期的な視点での戦略が不可欠です。主な戦略は2つあります。

3-1. 家賃アップによるインカムゲイン向上

購入時の利回りが低くても、将来的に家賃を上げることで収益性を改善する戦略です。物件購入時に「家賃アップの余地」があるかを見極めることが重要になります。

たとえば、長期間同じ入居者が住んでいた物件などは、現在の家賃相場と乖離している場合があります。退去後の再募集や、更新のタイミングで適正家賃に設定し直すことで、利回りを向上させることが可能です。

また、質の高いリフォームや設備の追加(例:無料Wi-Fi導入など)によって物件の魅力を高め、相場より高い家賃設定を目指す方法もあります。

3-2. 資産価値上昇によるキャピタルゲインの獲得

家賃収入(インカムゲイン)だけでなく、将来物件を売却した際の利益(キャピタルゲイン)を狙う戦略です。

再開発計画があるエリアや、人口増加が見込まれるエリアの物件は、将来的に資産価値が上昇する可能性が高く、物件価格が上昇する可能性があります。

また、駅からの距離、建物の管理状態、ブランド力のあるマンションなど、普遍的な価値を持つ物件は、景気変動の影響を受けにくく、資産価値が落ちにくいため、安定した資産価値を維持しやすい傾向にあります。

これらの戦略を成功させるには、物件のポテンシャルを正確に見抜く専門的な知見が求められます。

【専門家インタビュー】利回り2%台でも利益を出すための物件選びと運用術

では、不動産のプロは現在の市場をどう捉え、どのようにして利益を生み出しているのでしょうか。投資用中古マンションの販売・管理を手掛ける「エイマックス」の宮地 英氏にお話を伺いました。

エイマックス 宮地 英氏 プロフィール

株式会社エイマックス 宮地 英(みやち すぐる)氏

    國學院大学法学部を卒業後、新卒で大手銀行系不動産会社の営業職に従事。その後メガベンチャー不動産投資会社に入社し、社内トップの実績を残す。投資用マンション販売実績日本一である天田浩平氏の想いに共感し、創業メンバーとしてエイマックスに入社。現在はコンサルティング部部長として活動中。

Q1:最近の都心区分マンション市場をどう見ていますか?利回り2%台は普通ですか?

「肌感覚として、物件価格は今年に入ってからもかなり上がっています。 その結果、おっしゃる通り表面利回りは低下傾向にあり、都心6区などの人気エリアでは2%台の物件も出てきています。

しかし、それでも融資の力を借りて投資をしたいという方はまだまだ多くいらっしゃいます。 これは、低金利が続いていることに加え、円安やインフレへの懸念から『現金で持っているより不動産に換えて、インカムゲインやキャピタルゲインを狙いたい』というニーズが非常に強いためです。皆さん、目先の利回りだけでなく、都心不動産が持つ資産価値の安定性や、家賃の下落しにくさに魅力を感じているのだと思います。」

Q2:低利回りでも利益を出すために、どのような物件を仕入れていますか?

「弊社が最も重視しているのは、購入後に家賃を上げられるポテンシャルがあるかどうかです。仕入れの段階で、周辺物件の家賃相場や賃貸履歴を徹底的に調査し、『現在の家賃が適正か、もっと高く貸せる可能性はないか』を厳しく判断しています。

実際に、直近でも表面利回り3%前半で購入した都心の物件が、購入後の家賃見直しに成功し、利回り3.8%まで向上した事例があります。

このように、購入時の利回りが低くても、家賃を上げることでインカムゲインを増やし、結果的に投資全体の収益性を高めることが可能です。家賃が上がれば、物件の収益性から評価される売却価格(キャピタル)も上昇するため、一石二鳥の効果が期待できます。」

Q3:これから投資を始める人が、利益を出せる物件を見極めるポイントは?

「家賃が下がりにくく、むしろ上昇が期待できる物件を選ぶことが絶対条件です。その特徴として、具体的には以下の3点を意識すると良いでしょう。

人気の設備が揃っているか(特に独立洗面台)

3点ユニットバスの物件は、現代の入居者ニーズから敬遠されがちです。特に女性からの支持が高い『独立洗面台』は、家賃を高く設定しても入居が決まりやすい必須の設備と言えます。

専有面積が25㎡以上あるか

リモートワークの普及により、居住空間の広さが以前にも増して重視されるようになりました。特に25㎡以上の広さがあると、ベッドとワーキングスペースを両立しやすく、競合物件との差別化になります。

賃貸需要が旺盛なエリアか(都心6区など)

千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区の『都心6区』に代表されるエリアは、交通利便性や生活利便性が高く、常に高い賃貸需要があります。こうしたエリアのハイグレードなマンションは、景気が変動しても家賃が下がりにくく、資産価値も安定しています。

これらのポイントを押さえた物件は、たとえ購入時の利回りが低く見えても、長期的に安定した収益と資産価値をもたらしてくれる可能性が高いです。」

まとめ

都心区分マンション投資は、物件価格の高騰により表面利回りが2%台に突入するなど、一見すると厳しい市場環境にあります。しかし、その背景には旺盛な賃貸需要と、資産防衛を目的とした根強い投資ニーズが存在します。

これからの不動産投資で成功するためには、目先の利回り数字に一喜一憂するのではなく、
「家賃アップによるインカムゲインの向上」
「将来の資産価値上昇によるキャピタルゲインの獲得」
という2つの視点から、物件のポテンシャルを総合的に判断することが不可欠です。

今回インタビューしたエイマックスのように、仕入れ段階で家賃上昇の可能性を徹底的に分析し、購入後のバリューアップまで見据えた不動産投資を行うことが、低利回り時代を勝ち抜くための鍵となるでしょう。

エイマックス

A-MAX(エイマックス)

エイマックスは、資産(Asset)の最大化(MAX)を社名・理念として掲げる不動産投資会社で、東京23区の投資用マンションの仕入れ・販売を手掛けています。日本でトップの不動産販売実績(※)を有する代表の天田 浩平氏を中心に少数精鋭の営業体制できめ細やかなサービスを提供しています。(※投資用マンション部門 天田氏の個人取引実績 年間最高売上高83.9億円 年間387部屋)

エイマックスでは、購入後の家賃アップ戦略を強みとしており、管理戸数711戸・入居率99.1%(2023年7月時点)という高い実績を誇ります。その結果、不動産投資オーナーのリピート率82%、紹介率37%(いずれも2022年1月集計)という非常に高い満足度につながっています。

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