ウェルスナビで確定申告が必要な人は?3種類の口座と確定申告方法を解説
資産運用・管理を支援してくれる投資一任型のロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」では、発生した所得によって確定申告が必要な場合とそうでない場合があり、取引口座の種類によっても条件は異なります。
なお、確定申告をする義務があるにも関わらず申告をしなかった場合は、重いペナルティを課せられることもあるため、細心の注意が必要です。
この記事では、ウェルスナビで確定申告が必要な場合や具体的な申告方法について詳しくご紹介します。ウェルスナビをご利用中の方は、参考にしてみてください。
目次
- ウェルスナビで確定申告が必要な人は?
1-1.給与所得以外に20万円を超える所得がある人
1-2.「主たる給与以外の給与」+「給与以外の所得」が20万円を超える人 - 確定申告が不要になる口座とは?
2-1.ロボアドバイザーは申告分離課税
2-2.ウェルスナビの口座は3種類 - 確定申告が不要でも申告をしたほうがいい場合とは
3-1.損益通算を行う場合
3-2.譲渡損失の繰越控除を行う場合
3-3.外国税額控除を行う場合
3-4.ウェルスナビの自動税金最適化機能
3-5.所得20万円を超えないときは申告をしないほうが良い場合もある - 確定申告の方法
- まとめ
1 ウェルスナビで確定申告が必要な人は?
まずはウェルスナビで資産運用をした方で確定申告が必要になる条件を確認していきます。
1-1 給与所得以外に20万円を超える所得がある人
給与所得・退職所得以外に年間20万円を超える所得がある方は、原則、確定申告が必要になります。会社から支給される給与は年末調整を受けるため確定申告は原則不要ですが、副業でウェルスナビの投資を行っており、年間20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要となります。
なお、基準額の20万円とは年間収入ではなく、経費などを差し引いた所得であることに注意しましょう。
1-2 「主たる給与以外の給与」+「給与以外の所得」が20万円を超える人
2か所以上の会社から給与収入があり、年末調整を受けなかった給与と、給与所得・退職所得以外でウェルスナビ投資など副収入の合計が年間20万円を超える所得がある人も、確定申告が必要です。
つまり、ウェルスナビ投資による所得が20万円に達しなくても、年末調整されなかった給与と合計すると20万円を超えるときは、確定申告が必要となるため注意が必要です。
2 確定申告が不要になる口座とは?
ウェルスナビによる所得が20万円を超えていても、開設する口座の種類によっては確定申告を行わなくてもよい場合があります。
2-1 ロボアドバイザーは申告分離課税
ウェルスナビをはじめとするロボアドバイザー投資による所得は、「申告分離課税」に区分されます。申告分離課税とは、株式投資やFXなどで所得が生じた場合に、他の所得と区分して税額を計算し、確定申告により納税を行う方式です。
サラリーマンの方の給与収入や不動産収入などは総合課税の方式であるため、所得が大きいと最高55%の税率がかかります。しかし、申告分離課税は総合課税とは切り離され、どれ程多く稼いでも一律20.315%(所得税15%・住民税5%・復興所得税0.315%)の税率となります。
2-2 ウェルスナビの口座は3種類
ウェルスナビで口座開設を行う際は、口座の種類を以下の3つから選択することになります。
口座の種類 | 確定申告が必要かどうか |
---|---|
特定口座(源泉徴収あり) | 不要 ⇒ウェルスナビの収益から税が源泉徴収されるため、確定申告が不要です。 |
特定口座(源泉徴収なし) | 必要 ⇒ウェルスナビから年間の取引を計算した「年間取引報告書」の送付を受け、それを基に確定申告をします。 |
一般口座 | 必要 ⇒ウェルスナビから「年間取引報告書」が送られてこないため、自分で1年分の取引結果を調べて損益を計算し、確定申告をします。 |
3種類の中で最も手間がかからないのは、「特定口座(源泉徴収あり)」です。ウェルスナビで資産運用を行っている方の多くがこの口座タイプを選択しています。
「特定口座(源泉徴収なし)」では確定申告をする必要はありますが、ウェルスナビから送付される「年間取引報告書」を利用することができます。「年間取引報告書」とは、年間の取引成果をまとめた確定申告で必要になる書類です。ウェルスナビのサイトで電子交付されたものをダウンロードでき、また、連絡すれば書面を郵送してくれます。
一方、「一般口座」は「年間取引報告書」が送られてこないため、利用者自身で1年分の取引結果を調べて損益を計算し、確定申告書を作る必要があります。
3 確定申告が不要でも申告をしたほうがいい場合とは
「特定口座(源泉徴収あり)」の口座タイプを選択すれば、確定申告の手間は必要ありませんが、次のように確定申告をしたほうが良いケースもあります。
3-1 損益通算を行う場合
1つ目が損益通算を行う場合です。ウェルスナビの投資で損失が生じた場合、他の投資による利益や配当金収入と相殺することができます。例えば、ウェルスナビでマイナス50万円の損失が生じ、株式投資で100万円の利益が出た際、このまま確定申告をしなければウェルスナビの損失に税金はかかりませんが、株式投資の利益分は課税されることになります。
しかし、確定申告で損益通算を行うと(ウェルスナビ投資の損失)マイナス50万円+(株式投資の利益)プラス100万円=(損益通算後の利益)プラス50万円となり、利益額を圧縮して節税することができます。この損益通算は、「特定口座(源泉徴収あり)」の場合でも、確定申告を行わなければ適用することができません。
なお、損益通算ができる対象は、ウェルスナビと同じ「株式等に係る譲渡所得等」に限られるため注意が必要です。
ロボアドバイザーと損益通算できる所得
- 株式投資(売却益・配当金)
- 投資信託(償還差益・収益分配金)
- 他のロボアドバイザー(売却益)
以下の所得は、「先物取引に係る雑所得等」となり種類が異なるため、損益通算はできません
ロボアドバイザーと損益通算ができない所得
- FX(取引差益)
- CFD・先物・オプション(取引差益)
- 仮想通貨(取引差益)
3-2 譲渡損失の繰越控除を行う場合
譲渡損失の繰越控除を行う場合も確定申告をしたほうが良いでしょう。ウェルスナビで損失が生じた場合、次のように翌年以降3年間に渡って繰り越し、各年の利益から控除することができます。
・損失繰越の例
- 本年:ウェルスナビで100万円の損失が出た場合
100万円の損失を翌年以降3年間に渡って繰り越し可能 - 翌年:ウェルスナビ投資で40万円の利益が発生
⇒40万円の利益を、繰り越した損失100万円で控除すると利益はゼロとなるので課税なし
⇒さらにマイナス60万円(40万円-100万円)を翌年度に繰越し - 2年目:ウェルスナビ投資で20万円の利益が発生
⇒20万円の利益を、繰り越した損失60万円で控除すると利益はゼロとなるので課税なし
⇒さらにマイナス40万円(20万円-60万円)を翌年度に繰越し - 3年目:ウェルスナビ投資で30万円の利益が発生
⇒30万円の利益を、繰り越した損失40万円で控除すると利益はゼロとなるので課税なし
⇒30万円-40万円=マイナス10万円の控除しきれなかったぶんは、4年目以降の繰越し不可
損失の繰越しについても、「特定口座(源泉徴収あり)」の場合でも確定申告を行わなければ適用することはできません。
3-3 外国税額控除を行う場合
ウェルスナビの投資対象は、海外のETF(上場投資信託)です。その海外ETFは、外国の株式や債券を組み合わせて構成されています。そのためウェルスナビの収益に対して、日本の税金が課される前に外国の税金がかけられており、日本と外国とで重複して課税されると、二重課税となります。
この二重課税を防ぐため、外国で既に課せられた税金を申告し還付を受けることが認められています。
具体的にはウェルスナビの年間取引報告書をもとに、ウェルスナビの分配金や外国税額を確定申告書に記載して提出します。この外国税額控除も、自分の口座が「特定口座(源泉徴収あり)」であったとしても、確定申告を行わなければ適用することはできません。
3-4 ウェルスナビの自動税金最適化機能
ウェルスナビには、「DeTAX(デタックス)」という自動税金最適化機能があります。ウェルスナビで配当金を受け取る、運用途中におけるリバランスによりETFの売却益が生じるといった場合、その利益に税金がかけられます。そのため、ポートフォリオの中に含み損の未決済銘柄があれば一旦決済を行い、その損金と売却益を相殺して税負担を繰り延べることができます。
なお、自動税金最適化機能が働く条件は、「分配金の受け取りや資産配分最適化によるETFの売却利益に対する税負担が2万円以上となる場合」です。
3-5 所得20万円を超えないときは申告しないほうが良い場合もある
確定申告の必要がある人は、原則、給与所得以外に20万円を超える所得がある方です。そのため、会社勤めの傍ら副業でウェルスナビ投資を行ったとしても、年間20万円を超える所得が発生しなければ確定申告をする必要はありません(ウェルスナビだけでなく、株式投資やFXなど他の所得も合算する必要はありません)。
しかし、「特定口座(源泉徴収あり)」にしていた場合、年間20万円を超える所得がなくても自動的に税金が源泉徴収されます。「特定口座(源泉徴収あり)」は確定申告の手間をなくせる便利な機能ですが、払わなくてもよい税金を払う場合もあることを認識しておきましょう。
そこで、例えばウェルスナビを少額投資で運用しており、毎年の所得が20万円を超えない見込みの場合には、口座タイプを「特定口座(源泉徴収なし)」としておくのも一つの方法です。
「特定口座(源泉徴収なし)」の口座で、通常の年間20万円を超える所得がなかった年は確定申告を行わず(=所得税の課税なし・ただし住民税の申告は必要)、逆に年間20万円を超える所得があった年にのみ「年間取引報告書」に基づいて確定申告を行えばよいということになります。
4 確定申告の方法
給与所得以外に副業で20万円を超える所得があり、特定口座(源泉徴収なし)や一般口座の方は確定申告が原則必要となります。また、特定口座(源泉徴収あり)でも、損益通算や譲渡損失の繰越控除、外国税額控除などを行う場合も申告をしたほうが良いでしょう。
確定申告では、申告の目的や所得の種類などにより使用する様式が決まっています。なお、確定申告に慣れていない、または初めて申告を行う方が、自分で調べて申告書を作り上げようとすると結構な作業負担となり、ミスも犯しやすくなります。
できるだけスムーズに誤りのない申告書を作るには、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用するとわかりやすく便利です。
「確定申告書作成コーナー」では、画面の案内に従って質疑応答形式で入力していけば、申告の目的や所得の種類に応じた様式の申告書を自動的に作成することができます。また、出来上がったら申告書を印刷することもできるため、そのまま税務署に提出すれば申告作業は完了です。
確定申告書類は最寄りの税務署で職員の指導を直接受けながら作成することもできますが、確定申告の期間は人で混み合い、時間もかかります。作業の効率化を図るためにも、「確定申告書作成コーナー」を利用するのがおすすめです。
5 まとめ
確定申告をする必要がない「特定口座(源泉徴収あり)」の場合でも、損益通算、譲渡損失の繰越控除、外国税額控除を行うには申告が必要になるので注意しましょう。
また、少額投資で所得が20万円を超えない見込みの場合には「特定口座(源泉徴収なし)」にし、投資額が大きく20万円を超える可能性が高い場合には「特定口座(源泉徴収あり)」にする方法もおすすめです。
なお、確定申告は毎年2月16日〜3月15日となります。申告する必要のある方は忘れずに申告するようにしてください。
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