ブロックチェーンとIoTの組み合わせは効果的?IoTの基本と関連事例を紹介
- 目次
はじめに
ブロックチェーンとIoTはどちらも注目を集めている技術として、メディアなどで目にする機会が多いのではないでしょうか?
実は、両技術は相性が良いと考えられており、IoTが抱える課題をブロックチェーンによって解決できるのではないかと期待されています。そこで本記事では、IoTの概要を紹介しつつ、ブロックチェーンとIoTを組み合わせたユースケースを解説していきます。
IoT(Internet of Things)とは?
IoT(Internet of Things)とは、文字通りインターネットに接続された様々なモノを指しています。ネットワーク経由でセンサー情報が取得され、デバイスの制御が行われるシステムや概念を指してIoTを表現する場合もあり、話者や文脈によって説明に多少の差異があるのが現状です。
IoTの具体例としては、スマホやパソコンなど日常的に使うデバイス、温度や湿度、土壌の水分量などを測る農業用センサーなどが挙げられ、IoTデバイスは既に社会の至るところに浸透しています。
IoTの構成要素
すべてのIoTシステムは、以下の基本的なコンポーネントで構成されています。各コンポーネントが役割を果たし、互いに通信しながらシステム全体を機能させているのです。
- デバイスあるいはセンサー:外部環境から情報を収集するためのもの
- コネクティビティ(接続性):他のデバイスやネットワークへの接続しやすさ。センサーの収集したデータは、低電力ネットワークやBluetooth、Wi-Fiなどを介してクラウドに接続され、送信される
- ゲートウェイ:プロトコルとネットワーク間のデータトラフィックを管理する。センサー内の相互運用性も確保する
- クラウドシステム:センサーから取得した大量のデータを管理するツールを提供する
- データプロセシング:必要に応じてデータの処理を行う
- アナリティクス:処理されたデータが分析され、新しいデータが提供される
- ユーザーインターフェース:すべてのデータを集めて、送信・処理・分析した後、ユーザーに出力を表示する
上記のコンポーネントによって、IoTは収集した情報に基づいて人間が介在せずに、特定のタスクを遂行できるようになります。作業の効率化や自動化が期待されるIoTですが、現状ではいくつか課題も指摘されています。
IoTの課題
IoTには以下のような課題があると言われています。
- データ形式の多様性
- 相互運用性の欠如(インターフェースの相違など)
- デバイスの増加によるスケーラビリティ問題
- データの完全性・可用性の担保
- プライバシーリスク(GPSによる位置情報の特定など)
- セキュリティリスク
- デバイスの多様性
- ハードウェア障害
- 製造段階でのコンプライアンスの欠如
- リソースの制約
- ユーザーの認識・知識不足
IoTのセキュリティに関しては、ソフトウェアとハードウェアの両面で、充分なセキュリティ水準をクリアする製造・ソフトウェアの更新プロセスが確立されていないと言われています。また、DDoS攻撃(Distributed Denial of Service attack)に対しても脆弱です。
さらに、ユーザー自身もIoTデバイスに関する知識や理解が不足しており、リスクを正しく認識できていない状況だと言えるでしょう。例えば、スマート家電として電子錠を導入した住宅は、クラッキングによって不正に玄関のドアが解錠・施錠されてしまう可能性がゼロではありません。
ブロックチェーンを導入することでIoTシステムを改善・解決できる可能性
前述の課題すべてではありませんが、ブロックチェーンを導入することで、IoTシステムの課題を解決できるのではないかと期待されています。
例えば、ブロックチェーンベースの分散型ネットワークによって、信頼性と接続性の確立されたIoTシステムを構築可能です。また、ネットワークへの認証・認可をデジタル署名と共にブロックチェーンに記録することで、認証・認可情報の管理ができます。
さらに、デバイスのソフトウェアアップデートの管理は、スマートコントラクトによる自動更新が可能です。そして、センサーによって取得したデータは、最終的にブロックチェーン上に記録されるため、改ざん耐性が保証されます。
ブロックチェーン×IoTに適したブロックチェーン
それでは、ブロックチェーンとIoTの活用を考えている企業が選択し得る、有力なプラットフォームを紹介していきましょう。
Enterprise Ethereum
パブリックチェーンとして有名なイーサリアムのエンタープライズ版である「Enterprise Ethereum」は、まず選択肢として入るプラットフォームだと言えるでしょう。Enterprise EthereumはIoTに限らず、すべての業界で利用可能です。ただし、スループット(単位時間あたりの処理能力)が若干低い点には留意する必要があります(2020年1月現在)。
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企業向けブロックチェーン「Enterprise Ethereum」とは?特徴やユースケースを解説
Hyperledger
「Hyperledger」は、「The Linux Foundation」がサポートするエンタープライズ向けブロックチェーンの開発プロジェクトです。複数のフレームワークが開発されており、特に「Hyperledger Fabric」はユースケースが多く、他社とのコラボレーションも期待できるでしょう。
また、モジュール型のアーキテクチャは、プラグアンドプレイサービス(機器の組み込みと設定を自動的に行うサービス)が提供されるため、IoTとブロックチェーンを組み合わせるのに向いています。
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概要を知りたい人ための全Hyperledger分散台帳プロジェクトまとめ
Quorum
イーサリアムをエンタープライズ向けにアレンジし、フォークしたプラットフォームが「Quorum」です。取引を当事者間のみで共有するプライベートトランザクション機能などを搭載しており、プライバシーの問題を抱えるIoTシステムに向いていると言えるでしょう。
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許可型ブロックチェーンQuorumとは?事例&特徴を解説
VeChain Thor
2015年に上海で創業したブロックチェーン企業「VeChain」は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューションを提供しています。ソフトウェアとしては、VeChain社と非営利団体「VeChain Foundation」が協力して、IoTと親和性の高いエンタープライズ向けブロックチェーン「VeChain Thor」を開発しています。
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IOTA
IOTAは、IoTのブリッジ通貨となるべく作られたもので、センサーデバイスとの相性が良く、実際に様々なPoCで利用されています。
厳密に言うとIOTAはブロックチェーンではなく、下記で紹介しているHashgraphと同様に有向非巡回グラフ(DAG:Directed Acyclic Graph)を利用した分散型台帳技術です。しかし、プロジェクトの早い段階からIoTをターゲットに展開している注目プロジェクトの一つとして、本記事でご紹介しています。
▼ Hashgraphについてはこちらを参考
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ブロックチェーン×IoTのユースケース
既にブロックチェーンとIoTを組み合わせたプロジェクトの事例は複数あります。いくつか紹介していきましょう。
MaerskとIBMが開発するサプライチェーン管理システム
世界最大手の海運企業「Maersk」(マースク)と「IBM」は、ブロックチェーンとIoTを活用したサプライチェーン管理システムを開発・提供しています。多くの関係者が関わるサプライチェーンにおいて、当事者間での情報共有を素早く行い、改ざん困難な形でログが記録されるため、効率性・透明性の高いシステムが構築可能です。
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大手製薬会社が参画するMediLedger
「MediLedger」は医薬品向けのサプライチェーン管理システムです。世界的な製薬企業である「ファイザー」や「ジェネンテック」、「マクケッソン」などが参画しており、偽造医薬品の撲滅や医薬品の来歴管理に関する法令遵守を目的としています。
MediLedgerもまた、IoTによるデータ取得と改ざん困難性や透明性を備えたブロックチェーンの特徴を活かしたプラットフォームだと言えるでしょう。
参考:MediLedger
なお、MediLedgerには2019年6月、小売大手「ウォルマート」が参画しており、同コンソーシアムは目的の達成へ向けて、着実に拡大しています。
参考:Walmart Joins Pharmaceutical-Tracking Blockchain Consortium MediLedger
まとめ:ブロックチェーン×IoTのプロジェクトは増加していく可能性が高い
本記事でも紹介したように、ブロックチェーンによってIoTが抱える課題を解決・改善していくと期待されています。どちらも成長産業であり、既に大企業がプロジェクトを推進していることからも、今後ブロックチェーンとIoTを活用した事例が増えていくでしょう。
この組み合わせは、特にサプライチェーンにおけるトレーサビリティ向上やデータ共有の効率化などで威力を発揮します。当メディアでは、製造業×ブロックチェーンの領域でIoTデバイスを用いた事例も紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
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【THE 事例集】製造業×ブロックチェーン – 自動車業界編 part.1
Source: 仮想通貨ニュースサイト
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