個人の債券投資、何がおすすめ?債券のプロが教える投資の始め方
投資をスタートするにあたり、「債券」という言葉をよく耳にすることは多いと思います。実際に投資を行っている方の中でも「債券=安全資産」という固定観念を持たれている方は多いと思いますが、実際には債券という商品でも色々特徴は異なることから、「債券だから安全」という認識は捨てた方がいいでしょう。
ここでは個人が行う債券投資について、元クレジットトレーディング業務を行っていた筆者の経験から投資の始め方を解説したいと思います。
目次
1.債券の基本的特徴とは
最初に債券というのはどのようなものか、そしてどのような特性があるのかをコメントしたいと思います。債券というのは発行体が借り入れした際の借用書であり、満期になると元金を一括で返済する義務が発生するものです。借り入れする間は金利が発生し、年に数回決められた回数、債券保有者に対して金利の支払いが必要になります。
金利が低下すると債券価格が上昇し、反対に金利が上昇すると債券価格は下落するという動きとなります。投資初心者のうちはこのイメージがつきにくいことも多いと思いますので、一つ例を示したいと思います。
自身が借り入れを行いたいと思った際に、自分の信用力が上昇して借用書である債券の信用度が上がり価格が上昇した場合、「投資家が信用してくれているなら少し借入金利を下げて欲しい」と思うでしょう。これが債券の値動きを理解する一つの方法です。
金利が下がれば借り手には有利ですし、信用を得ている債券であればそのぶんリスクが低くなるため、価格が相対的に高く(=投資家利回りが低く)なっても買い手が付くと考えられるため、人気があるなら金利の支払いは下げたい、という基本的な需要と供給の仕組みが働くことになるのです。
そして株価が下落すると債券価格は上昇しやすくなります。これはマーケットに「株が下落→景気下支えとして中央銀行の利下げバイアスがかかる→金利が下がる→債券価格が上昇する」という思考回路が働くことや、株を売ったお金を残しておくこともできないファンドが債券を安全資産として購入するパターンもあります。
そのため株が下落すると債券価格は上昇しやすいということです。
1-1.債券固有のリスクとは
次に債券投資の基本としてどのようなリスクが存在するのかチェックしましょう。債券のリスクは2つあります。1つ目は「金利リスク」で2つ目は「信用リスク」です。
金利リスクとはこのような仕組みです。先ほど少し説明したように、マーケットでは債券金利というものが存在し、金利の上下で債券価格が決定します。景気がよければ金利は上昇するため債券価格が下落し、金利が低下すると債券価格が上昇するということになります。
また、債券は発行体が発行した借用書のようなものと説明しました。この発行体が満期時に投資家に元本を返還する義務があり、その発行体に資金がなければ返還ができないということになります。この返還することが可能かどうかのリスクが信用リスクと呼ばれています。
1-2.先進国債券と新興国債券の違い
次に投資信託を投資初心者は購入するケースが多いですが、債券の注意点として先進国債券と新興国債券の違いは覚えておかないといけません。先ほど債券の特徴として「株下落→債券価格上昇(金利低下)」ということを基本的な動き方として説明しましたが、新興国債券は全く違います。
新興国債券も国ごとで特徴は異なりますが、新興国債券の場合、国によっては「株下落→債券価格下落(金利上昇)」という動きになるケースもあります。これは国の信用度がそもそも低いことから債券自身のデフォルトリスクが意識され、この動きに繋がっているということです。
国債の場合、国が借り手となって債券を発行しています。つまり満期時に国に返済の資力がないと元金は返ってこないということです。日本やアメリカ等の先進国はそのリスクが低いことから債券の信用度が高いため、安全資産として認識されていますが、新興国のトルコやブラジル等は国自体のリスク(デフォルトリスク)が意識されていることから先進国とは違った値動きになります。
2.投資初心者が債券投資を行う方法
次に投資の初心者が債券を購入する方法をご紹介します。債券と一言で言っても個人向け国債という日本国債から、投資信託では外債と呼ばれる海外の国債や社債等様々な種類があります。債券の購入方法は「投資信託を購入」もしくは「直接証券会社から購入」の2つの方法があります。
投資信託の場合は、アセットマネージャーが投資信託としてどこの国債や社債に投資をするのかを目論見書に明示して、その対象の中でファンドマネージャーが投資を行います。一方で証券会社から直接購入する場合は自分自身でどの債券を購入するのか選定し、購入することになります。
投資信託の場合は投資対象をプロであるファンドマネージャーが選定して運用してくれるため、任せることが可能です。投資信託はたくさんの投資家のお金が一つのファンドに集まって運用されるため、少額の金額でも分散投資を行うことが可能になります。
一方で債券を直接購入する場合は、自分自身で債券の銘柄を選定して購入する必要があります。そして債券の銘柄を増やす場合は一つ一つ自分で選んで購入する必要があります。そのため初心者は投資信託を購入する方がベターでしょう。
3.投資信託を購入する場合の注意点は
次に債券の投資信託を購入する場合の注意点を説明します。大体債券の投資信託は外債の投資信託のラインナップが多いのですが、「債券だから安心」と思われる方も多いでしょう。
しかし外国債券の投資信託の場合「為替リスク」が発生する場合があります。為替ヘッジなしと記載がある場合は為替リスクが発生するため注意しましょう。特に外国債券の場合は為替リスクの認識がとても大事です。
その理由は、債券価格の値動きは大きく動いても数%というケースが多い一方、外国為替の変動リスクは年間で数十%動くこともあるからです。そのため外国債券の投資は、債券価格が上昇したとしても、為替差損で投資信託の基準価格が下落することがあります。外国債券の場合、投資のリスクは債券価格の変動リスクよりも外国為替の変動リスクを考慮しましょう。
また次に注意しないといけないことは、国によっては価格の値動きが異なるということです。先ほど少し説明を入れましたが、新興国債券の場合金利が高いものの、株が下落した場合債券価格も一緒に下落し、また為替も自国通貨安に動きやすいため、債券安と通貨安によってダブルで損失を受けることがあるため注意しましょう。
また値動きの幅がとても大きく、債券とは思えない変動幅になることもあります。また通常、債券はその国の景気が落ち込みやすい時に債券価格の上昇が見込まれることから、それに合わせて購入することが多いのですが、新興国の場合、その国の通貨が落ち込むと債券も下落することが多いため、その下落幅を考える必要があります。
まとめ
これまでのことを踏まえた上で、どのように投資をスタートするのが望ましいのかまとめていきたいと思います。
投資の初心者で債券投資を行う場合には、まず投資信託を選ぶことです。そして投資対象は先進国の債券を対象としたものにしましょう。これによって価格変動リスクと信用リスクは大きく低下することになります。
そして投資として利用できる金額の20%を目安として、先進国債券に投資している投資信託を選んで購入すると良いでしょう。20%というのは後ほど買い増して行くための余力を残しておくという意味になります。そして投資信託の基準価格が下落したタイミングで20%ずつ購入していくというように、計画的に買い増して行くことが大切です。使えるから全て使ってしまうのは自殺行為であり、それは投資ではなく博打になります。
投資信託のご利用は計画的に行い、資産運用として有意義に投資信託を使って頂ければと思います。
Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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