近年、ウェルスナビとTHEOは、投資一任型ロボアドバイザー(以下、ロボアド)の代表格として注目されており、ロボアド業界を牽引する存在として競い合っています。しかし、投資一任型のロボアドサービスを始めたい場合に、どちらを選べば良いのかで迷っている方も多くいるでしょう。
そこでこの記事ではウェルスナビとTHEOのどちらを選べばよいかについて、「利回り」「コスト」「最低投資額」などさまざまな視点から徹底的に比較します。ロボアド選びの参考としてぜひご活用ください。
目次
- ウェルスナビとTHEOの概要
1-1.ウェルスナビとは
1-2.THEOとは - ウェルスナビとTHEOを徹底比較
2-1.投資戦略の比較
2-2.ポートフォリオの比較
2-3.コスト面(手数料)の比較
2-4.利回りの比較
2-5.最低投資額の比較
2-6.節税機能の比較 - どっちのロボアドを選べばいいの?
3-1.ウェルスナビが向いている人
3-2.THEOが向いている人 - まとめ
1 ウェルスナビとTHEOの概要
まずは、ウェルスナビとTHEOのサービス概要、それぞれの運営企業について簡単にご紹介します。
1-1 ウェルスナビとは
ウェルスナビは投資一任型のロボアドで、ウェルスナビ株式会社が提供しているサービスです。投資一任型とは、顧客の年収や資産額などの投資環境、投資を行う場合のリスク許容度を自動的に判定、個人に最適な運用プランを構築し、資産運用を行ってくれるものです。
「ウェルスナビ」運営企業の概要
運営企業 | ウェルスナビ株式会社 |
住所 | 東京都渋谷区渋谷2-17-5 |
設立年月 | 2015年4月 |
資本金(資本剰余金含む) | 56億8,578万円 |
自己資本規制比率 | 462.7%(2019年3月末) |
(注)自己資本規制比率は企業経営の健全性を表す重要な財務指標で、金融商品取引業者は、この自己資本規制比率が120%を上回るよう努めることが義務付けられています。
1-2 THEOとは
THEOは、ウェルスナビと同じく投資一任型のロボアドで、株式会社「お金のデザイン」がサービスを提供しています。
「THEO」運営企業の概要
運営企業 | 株式会社お金のデザイン |
住所 | 東京都港区赤坂1-9-13 |
設立年月 | 2013年8月 |
資本金(資本剰余金含む) | 121億円2,392万円(2019年3月現在) |
自己資本規制比率 | 599.17%(2018年3月末) |
2 ウェルスナビとTHEOの比較
ウェルスナビとTHEOは、運用プランの提案・構築からポートフォリオのリバランスまで任せられる投資一任型サービスである点は同じです。両者の違いを「投資戦略」「ポートフォリオ」「コスト」「利回り」などから細かく見ていきます。
2-1 投資戦略の比較
資産の運用方針について、ウェルスナビとTHEOは共通して次のものを掲げています。
- 資産運用アルゴリズムを活用し、個人に最適な資産運用プランを提案する
- リスクの時間的な分散を図るため【長期投資】を主軸に置く
- リスクの地理的な分散を図るため【国際投資】を主軸に置く
- リスク分散のため株式・債券・不動産など【分散投資】を主軸に置く
これらの資産運用方針をまとめると、「個々の顧客に対応する長期国際分散投資」の方針になります。ウェルスナビでは世界50か国・11,000の銘柄から、THEOでは世界86の国・地域、11,000以上の銘柄から投資対象が選定されています。
2-2 ポートフォリオの比較
ウェルスナビとTHEOともに、資産運用方針は長期国際分散投資であり、主な投資対象は海外ETFとなっています。
項目 | ウェルスナビ | THEO |
---|---|---|
投資対象 | 海外ETF | 海外ETF |
選定基準 | インデックス型の銘柄が主体 【選定条件】 ・一定以上の資産規模があり、総口数が急減少していない ・一定以上の流動性がある ・金融庁に外国投資信託の届出がされている ・運用コストが低い |
インデックス型の銘柄が主体 【選定条件】 ・一定以上の資産規模がある ・一定以上の流動性がある ・運用コストが低い ・一定期間以上の継続安定性がある |
投資銘柄数 | 7銘柄 | 約30銘柄 |
投資対象の選定基準では、ウェルスナビ、THEOともに、「一定以上の資産規模・流動性がある」「運用コストが低い」ことを基準としていますが、ウェルスナビでは「金融庁に外国投資信託の届出がされている」こと、THEOでは「一定期間以上の継続安定性がある」ことを条件としているなど若干の違いがあります。
ETF選定の考え方では、ウェルスナビ、THEOともに、マーケットの平均的な動きに連動するインデックス運用、長期的な安定性、低運用コストを重視するなど、共通点は多くあります。
実際に投資対象とする銘柄数をみると、ウェルスナビでは、海外ETFの中でも純資産総額が大きい7銘柄を選定し、それらの配分比率を変えて運用プランを作成しています。一方、THEOではETFから30銘柄を選定するなど、ウェルスナビと比べて多くの銘柄を投資対象にし、それらを組み合わせて運用プランを作成しています。
このように選定する銘柄数には違いがあるものの、両者のポートフォリオ構築の考え方や基本路線は似ています。
2-3 コスト面(手数料)の比較
ウェルスナビとTHEOの基本となる手数料はほぼ同じです。基本手数料は、両者とも年率で預かり資産の1%(税別)としており、預かり資産が3,000万円を超える部分は、0.5%と安くなっています。基本となる手数料に加え、両者ともに割引サービスを設けています。
ウェルスナビでは、運用期間と運用金額に応じて手数料の割引が拡大する「長期割」のサービスがあります。運用金額50万円以上200万円未満で6ヶ月ごとに年率0.01%、運用金額200万円以上で6ヶ月ごとに年率0.02%を割り引いてくれるという内容です。最大で年率0.9%まで手数料が割り引かれます。
一方、THEOでは、利用状況に応じて顧客のカラーを決定する「カラーパレット」というサービスがあります。顧客のカラーによって基本手数料をさらに割り引いてくれるもので、毎月の積立と対象期間内に出金していないことを条件として、運用金額1万円以上で年率0.9%、50万円以上で年率0.8%、100万円以上で年率0.7%、1,000万円以上で年率0.65%まで手数料が割り引かれます。
このように基本的な手数料は両者同じですが、割引サービスを加えて総合的でみると次のような違いがあります。
- 毎月の積立を行い頻繁に出金しない場合、THEOが有利
- THEOの割引条件を満たさず、50万円以上の運用を行う場合、ウェルスナビが有利
- ウェルスナビとTHEOの割引条件を満たさない場合、割引がない基本手数料は同じ
2-4 利回りの比較
ウェルスナビとTHEOでは過去の運用実績を公開しているため、そのデータから利回りを比較することができます。
ウェルスナビは、顧客のリスク許容度に応じて、ローリスクローリターン型の「リスク許容度1」からハイリスクハイリターン型の「リスク許容度5」まで、5段階の運用プランを用意しています。例えば2016年1月〜2019年4月までの運用実績は、以下のとおりです。
リスク許容度 | 期間トータルの利回り(円建て) |
---|---|
1 | 9.1% |
2 | 14.0% |
3 | 17.0% |
4 | 20.1% |
5 | 22.1% |
※ウェルスナビがサービスを開始した2016年1月に100万円、その翌月から毎月3万円ずつ積み立てながら投資した場合のもの。
一方、THEOは、投資対象を世界の株式ETFとするハイリスクハイリターン型の「グロース」、投資対象を債券ETFとするローリスクローリターン型の「インカム」、投資対象をコモディティ・不動産・物価連動債とする資産防衛型の「インフレヘッジ」の運用プラン構成要素を設定しています。その3つの構成要素の配分比率を変えることで、顧客のリスク許容度に応じた228通りの運用プランを用意しています。
THEOの2016年3月から2019年4月までの運用実績は、以下のとおりです。
プラン | プラン構成要素の配分 | 年率利回り(円建て) |
---|---|---|
最も運用実績が高かったプラン | ・グロース81% ・インカム17% ・インフレヘッジ2% |
9.39% |
最も運用実績が低かったプラン | ・グロース5% ・インカム66% ・インフレヘッジ29% |
1.44% |
※利回りは、「月初めに時価評価額が100万円以上である」「月中に入出金にともなう取引がない」「月中に譲渡税の支払い・還付、配当税の還付がない」「月中に資産運用方針(ポートフォリオ配分比率)の変更がない」の条件を満たす実際の口座のリターンの時価評価額加重平均。
両者ともに過去の運用実績を公開していますが、それぞれ集計の方法やデータの元となるポートフォリオの組み方などが異なっています。例えば両者の集計期間は、開始時期が異なっており一致していません。また、ウェルスナビの利回りは、集計期間トータルの利回り数値であるのに対し、THEOは1年ごとの年率数値です。
また、データの元となるポートフォリオの組み方では、ウェルスナビは、特定のモデルケースについて運用した場合の実績で、THEOは一定の条件を満たす実際の顧客のポートフォリオについて、その運用実績を年率に換算した数値です。
両者の利回りは集計期間や集計方法、ポートフォリオの組み方などが異なるため、単純な比較は難しいですが、双方ともに年率でプラスを維持し、運用成績の良いものは高い数値を示しています。
リスク許容度別に見ると、集計期間中は比較的良好な景気状況であったこともあり、双方ともにハイリスクハイリターン型のポートフォリオのほうが、ローリスクローリターン型よりも運用成績が良好です。
2-5 最低投資額の比較
ウェルスナビとTHEO両者の最低投資金額は、次のとおりです。
- ウェルスナビ 10万円(多くの場合)
- THEO 1万円
ウェルスナビは、利用するサービスにより最低投資金額が異なりますが、ほとんどのサービスで10万円となっています。
一方、THEOは1万円と非常に低く設定されているため、少額で始めるにはTHEOが有利といえます。
2-6 節税機能の比較
従来は、ウェルスナビにのみ「DeTAX(デタックス)」という自動税金最適化機能がありました。DeTAXは、配当金を受け取る、または運用途中で最適化を行う場合に売却益が生じると課税対象となるため、ポートフォリオの中に含み損の未決済銘柄があれば同数量の決済を行い、その損金と売却益を相殺して税負担を繰り延べることができる機能です。
ただ、2019年6月よりTHEOにも「THEO Tax Optimizer」という自動税金最適化機能が備わります。税金最適化の方法は、基本的にはウェルスナビと似ています。そのため節税機能の比較では、これまでウェルスナビが有利でしたが、現在はほぼ互角と言えるでしょう。
3 どっちのロボアドを選べばいいの?
ウェルスナビとTHEOの両者ともに、長期国際分散投資を運用の基本方針としており、投資対象銘柄の選定やポートフォリオの作成基準もよく似ています。具体的な投資銘柄数などでそれぞれの個性はあるものの、基本的にはリスクを分散するため広範囲な投資対象をターゲットにするという共通点を見ることができます。
そのため、両者を比較するには、他の評価項目であるコストや最低投資額を基準に選ぶと良いでしょう。
3-1 ウェルスナビが向いている人
コスト面では、基本的な手数料はウェルスナビとTHEOの両者ともに同じですが、割引サービスの適用条件や内容に差があります。毎月の積立と対象期間内に出金しないというTHEOの割引条件は満たさないが、50万円以上の金額で運用ができるという方は、ウェルスナビの「長期割」特典を受けられるため、向いています。
最低50万円以上のまとまった額で積み立てるよりも投資そのものに価値をおきたいという方は、ウェルスナビを検討してみましょう。
なお、ウェルスナビは2019年8月1日~2019年8月30日の期間中に①新規で口座開設、②20万円以上の入金、③8月30日までに資産運用を開始するなど規定の条件を満たした方に対して「最大10万円がプレゼント」されるサービス公開3周年記念キャンペーンを実施中です。(※キャンペーンの適用条件の詳細は、タイアップ特設ページにてご確認下さい。)
さらに、HEDGE GUIDE経由で2019年8月30日までにウェルスナビに申し込みし、「サービス公開3周年記念キャンペーン 」の適用条件を満たした方には「1000円がプレゼント」される期間限定タイアップキャンペーンも実施中ですので、ぜひこの機会にご検討されてみてください。
3-2 THEOが向いている人
THEOの手数料割引サービスの適用を受けるには、毎月の積立を行っていること、および対象期間内に出金していないことが条件となります。毎月積立を行い、頻繁に出金しない方は、THEOの割引サービスが適用されるため、向いています。
なお、THEOの割引条件を満たすと同時に、50万円以上の運用というウェルスナビの割引条件もクリアする場合でも、THEOのほうが割引率は大きくなります。
最低投資金額で比較すると、ウェルスナビが10万円でTHEOが1万円であることから、より少額投資で始めたい方はTHEOが適しています。投資初心者に多く見られる、少額で始め毎月少しずつ積み立てを行うタイプの方は、最低投資金額と割引サービスの両面でTHEOを検討してみましょう。
なお、THEOでも2019年8月末までに合計20万円以上の入金を行った方に対して、入金額に応じて「最大15万円がプレゼント」される夏のボーナスキャンペーンと、HEDGE GUIDE経由でTHEOに申し込んだ場合に「500円がプレゼント」されるタイアップキャンペーンを実施中です。
4 まとめ
ウェルスナビとTHEOのサービス内容を詳細に比較しました。コスト面で始めやすいTHEOを選ぶか、ある程度まとまった資金で運用を始めるのに向いたウェルスナビを選ぶかは個人の状況次第です。
ロボアドをこれから始める方は、この記事を参考に、ご自身に合ったロボアドサービスを選んでみてください。
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