【FX初心者向け】追加証拠金(追証)、ロスカットとは?取引のポイントも解説

FX取引を始めようと考えているなら、追加証拠金とロスカットについては必ず理解しておかなくてはなりません。なぜなら、それぞれが負債となってあなたに降りかかる可能性があるためです。

今回は、FX取引における追加証拠金(追証)とロスカットについて解説します。

目次

  1. FXでの追加証拠金とは
    1-1.追証はどうして起こるのか
    1-2.追証を解消するための方法
    1-3.追証を支払えないと強制決済
  2. ロスカットと追証の違い
    2-1.ロスカットがあるのに追証が発生する理由
    2-2.ロスカットと追証は同時に発生することもある
  3. 追証の危険性
    3-1.追証という名の借金を背負う可能性
    3-2.追証が破産者を生んだスイスフランショック
    3-3.FXのレバレッジには十分な注意を
  4. 追証を発生させないためのポイント
    4-1.追証前に証拠金を入金する
    4-2.逆ポジションを持つ
    4-3.保有しているポジションを決済する
    4-4.追証が発生するリスクを最小限に抑える
  5. まとめ

1.FXでの追加証拠金とは

FX取引を行なう場合、口座を開設しているFX会社に証拠金を預けます。そして、この証拠金が取引の損失などによって、保有中のポジション金額に対して一定割合未満に減少した場合、FX会社から証拠金を追加で入金するよう要求されます。

これがFXにおける追加証拠金です。追加証拠金を省略した「追証(おいしょう)」という言葉でも頻繁に使われます。追証が発生した場合は、FX会社が指定する期日までに追加証拠金を入金する必要があります。

1-1.追証はどうして起こるのか?

追証は証拠金が一定以上減少した場合に発生します。より具体的にいうと「証拠金維持率」が一定水準以下になった場合に追証が求められます。

証拠金維持率とは、現在保有しているポジション(通貨を買ったり売ったりしている状態)が、口座の証拠金残高に対してどれくらいの比率なのかを表す数字のことをいいます。

証拠金維持率は、以下の計算式で算出されます。

  • 証拠金維持率=有効証拠金(純資産)÷必要証拠金×100
  • (※有効証拠金=資産合計額+評価損益額-出金依頼額)

有効証拠金というのは、FX口座に入金されている資金(=純資産)のことです。すでに買いポジションや売りポジションを保有していて含み益、含み損がある場合も合計して計算します。

例えば、FX口座に50万円を入金していて、1ドル100円のときに10万通貨(1,000万円分)の買い注文を入れたとしましょう。

FX会社の多くは最大25倍のレバレッジを設定しているので、1,000万円分の買いポジションを持つためには、以下の証拠金が必要となります。

1,000(万円)÷25(倍)=40万円

必要証拠金が40万円ですので、証拠金維持率は以下のようになります。

50(万円)÷40(万円)×100=120(%)

つまり、証拠金維持率は120%ということになります。

そして、追証が発生する証拠金維持率の水準はFX会社によって異なります。例えばマネックス証券ならば、証拠金維持率が100%を下回った場合に追証が発生(マージンコールが発動)することになっています。

1-2.追証を解消するための方法

FX会社から追証を求められた場合には、以下の2つ以外に解消する方法はありません。

  1. 証拠金を追加入金する
  2. 保有しているポジションを決済する

以上のいずれかの方法によって、期限内に追証を解消できなかった場合には、ペナルティーが発生することになるので要注意です。

1-3.追証を支払えないと強制決済

FX取引によって追証が発生し、その期限内に追加証拠金の入金がなかった場合、FX会社によって保有しているポジションが強制的に決済されることになります。また、強制決済でも追証を解消できないほど大きな損失となってしまっている場合は、FX会社から損失分の一括返済が求められることになります。

一括返済に至るような損失となる前に、後述する強制ロスカットが行われるケースが多いため、このような事態が発生することは稀ですが、相場の急落などにより全く起こらないとは言い切れません。

レバレッジの倍率を数倍程度に抑える、自分で損切りのルールを設定するなど、自分の身を守るための対策が必要になることを覚えておきましょう。

2.ロスカットと追証の違い

FX取引では、ロスカットという仕組みが導入されています。追証と似ている部分もあるため、あわせて理解しておきましょう。

ロスカットというのは、証拠金維持率が一定の水準を下回った場合に、FX取引を行なっている投資家の意思に関係なく、FX会社によってポジションが強制的に決済される仕組みのことをいいます。

そもそも、ロスカットはある水準以上に損失が広がらないようにするために導入されています。つまり、投資家を守るためのものということです。

2-1.ロスカットがあるのに追証が発生する理由

FX会社のほとんどがロスカットを導入していますが、それでも追証は発生します。その理由は、ロスカットと追証のそれぞれが発生する基準が異なるためです。

例えば、先ほどのマネックス証券では、ロスカット率を50%・60%・70%・100%のなかから選択することができます。

自分で設定したロスカット率よりも証拠金維持率が下回った場合、取引中のすべての新規注文が取り消されることになります。そして、それでも証拠金維持率がロスカット率以下となっている場合、通知なしでマネックス証券によってすべての未決済建玉が強制的に決済されます。

2-2.ロスカットと追証は同時に発生することも

ロスカットと追証は設定基準が異なりますので、相場の値動きやその対応によっては、両方とも発生する可能性があります。一般的には、追証が先に来て、その後ロスカットがあると考えておくといいでしょう。

ただしロスカットされたとしても、それによる証拠金維持率によっては追証による追加入金が求められることがあるので、十分に注意する必要があります。

FX取引を行なう場合は、なるべく追証もロスカットもどちらも発生しないよう、慎重に取り組まなければならないといえます。

3.追証の危険性を認識すべき

FX取引に参加する投資家にとって、追証はできるだけ避けたいものであり、避けるべきものです。その理由は、追証は投資家にとって負債となる可能性があるためです。

ここでは、追証の危険性について解説します。

3-1.追証という名の借金を背負う可能性

為替相場が急激に変動したり、自分でロスカットをせずに損失を放置し続けたりした場合、含み損がどんどん膨らんでいく可能性があります。すると、証拠金が0を通り越してマイナスに突入してしまうことがあり、そのマイナス分は投資家の借金として残ることになるのです。これはレバレッジ倍率を高くするほど起こりやすくなります。

このような事態を避けるために、FX会社では先述した強制的にロスカットする仕組みを導入しています。

ここで、1つの疑問が浮かびます。それは「ロスカットシステムがあるなら、借金にはならないのではないか」ということです。ですが、理解しておくべきは、「ロスカットシステムは、正常に機能しないことがある」ということです。

FXの世界では有名なあるエピソードをご紹介しましょう。

3-2.追証が破産者を生んだスイスフランショック

2015年1月15日、スイスのフランという通貨が大暴騰を起こすという出来事がありました。いわゆる「スイスフランショック」です。

そのきっかけとなったのが、スイス中央銀行がユーロに対する為替介入を突然やめると発表したことでした。これにより急激な「ユーロ安・スイスフラン高」が発生します。そして、約20分間で40%も値が動く事態になりました。わかりやすく言えば、1ドル100円だったのが、急に60円になるようなものです。

スイスフランは価格を提示できなくなり、提示価格をもとに売買価格を設定していたFX会社でも取引が全くできない状態になりました。

そして、取引ができるまで回復した頃、スイスフランをショートしていた(売り建てた)投資家のロスカットレベルを遥かに超えた状態の値が付き、さらにその値で強制ロスカットが発動したため追証が大きく膨らみ、負債を抱えることになった投資家が溢れてしまったのでした。

つまり、国内のFX会社が設定する強制ロスカットは、スイスショックでのあまりの値動きの早さと大きさについていけず、正常に機能しなかったということです。

3-3.FXのレバレッジには十分な注意を

スイスフランショックのような出来事は、極めてまれなケースといえるものです。ですが、実際に発生してしまい、証拠金のマイナスによって破産する人も生み出してしまいました。そのため、ロスカット機能について過信しないこと、常にリスクヘッジをしながら取引を行なうことが重要になります。

FXではレバレッジによって、本来の資金の何倍もの取引が可能になります。それはつまり、利益だけではなく、損失のリスクも大きくなるということです。この点をしっかり理解しておくようにしてください。

4.追証を発生させないためのポイント

追証は、FX取引を行なう投資家にとって負担になります。そのため、追証にならないように普段から心がけておくことが極めて重要です。

最後に、追証を発生させないためのポイントについて解説したいと思います。

4-1.追証前に証拠金を入金する

追証を発生させない確実な方法は、追証前に証拠金を入金するということです。

実際、追証が発生してからの金額と、追証が発生しそうな場合に支払う金額には、それほど大きな差がない場合がほとんどです。どうせ入金をするのなら同じだろうと思う方もいるかもしれませんが、自分で入金しているほうが、断然気は楽になります。これによって落ち着いて取引ができるようになり、勢いでミスをしてしまう心配が減るのはメリットでしょう。

いずれにしても、充分な証拠金があってこそFX取引ができるわけですから、自分が取引できる範囲を常に確認しておくことが大切です。

4-2.逆ポジションを持つ

証拠金の減少を抑えるために、逆ポジションを持つのもポイントの1つです。似た値動きをする通貨ペアの「買い」と「売り」の両方のポジションを持つことができれば、利益と損失が相殺されるためです。

ただ、通貨の組み合わせによっては、スワップポイントがマイナスになる(通貨の金利差によって、投資家に金利分の支払い義務が生じる)ケースもありますので、注意が必要です。

4-3.保有しているポジションを決済する

追証を発生させないためには、保有するポジションを決済してしまうのもポイントとなります。特に大切になるのが、損失が出ているポジションを早めに清算しておく「損切り」です。損切りすることで損失は確定しますが、その範囲を限定でき追証も発生しなくなります。

正しく損切りができることは、FXをはじめとした投資での基本となりますので、損失を最小限に抑えるためにもルールを決めて確実に実行するようにしましょう。

ただし、いざ含み損の状況に直面すると当初のルール通りに損切りをするのが心理的に難しいこともあるため、リスクヘッジの手段としてロスカットラインを高く引き上げたり、損失幅を限定できる「ノックアウトオプション」を利用したりするなど、自動的に損切りルールを適用できる状態に設定しておくのも良いでしょう。

4-4.追証が発生するリスクを最小限に抑える

そのほか、追証が発生するリスクは最小限に抑えることを意識しましょう。

例えば、マイナーな通貨は値が激しく変動することがあります。急騰・急落によって追証が発生しやすくなるので、初めから取引しないようにすることも1つの対策といえるでしょう。

また、損失額が納得できる範囲を超えてしまうような高いレバレッジを掛けるのもリスクが大きいといえます。自分の身の丈に合った取引を行なうことで、追証の発生を防ぐことができます。

まとめ

今回はFX取引における追加証拠金とロスカットについて解説しました。

FXの魅力の一つは、レバレッジによって大きな利益を狙えることですが、それはすなわち借金をすることなので、それぞれの仕組みや対策を知らなければ痛い目にあう可能性があります。本記事を参考にしっかりレバレッジや追証の仕組みを理解してFX取引に取り組んでください。

Source: 仮想通貨の最新情報BTCN | ビットコインニュース
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